嵐の中をあるく
傘はさっき壊れてしまった
土に穴を開けながらはじける雨粒
折れることを喜ぶように必死に幹をうねらせる木
闇の中でじっとひそんでいる鳥は
私を見ている
真っ黒い空に青白い輪郭が浮かびあがる
すがるように私はそっと手をのばしたけれど
まるでとがめるように
雨は矢のように落ちてくる
腕は赤く腫れ
足は泥だらけ
忍耐強く開かれていた目も
閉じるしかなかった
雨は降り続ける
頭にも肩にもつま先にも
すべてに
私は上を向く
この雨はどこから落ちてくるのだろうと
そんなことより
私はただ温まりたかったことを思い出す
まだ雨は私の上に降る
今度は湯気を立ててやさしく降り注ぐ
地平線に虹がかかる
さっきまでの嵐はのんきな天気雨に変わっていった
あちらの方は明るく見える
こちらももうすぐ雨はやむだろう
私は弾むように足をあげた