校長室に行くと
担任と教頭と校長の3人がいた

ソファに案内されて
担任と教頭が前に立った

「対応が遅れてしまい
申し訳ありません」

何度めの言葉だろ?
口ばかりで
全然改善されてない

教頭がそう言って
頭を下げたとき
担任も一緒に頭を下げた

校長は自分のデスクに座り
一部始終を見てた
まるで他人事のようだ

担任が言う
「今回、掃除の時間に起きたことですが、○○くん(息子)の掃除場所は今、図書室なんです。だから、僕がその場にいたわけではなくて、図書の先生がいたのですが、△△くん(いじめリーダー)が机の上で寝そべってまして、その横を掃除していた○○くんに、足が当たったみたいなんです」

当たったという担任の言葉に
カッとなった

「当たったじゃなく、蹴りましたよね?顔にアザが出来てますけど?」

私が言うと

「いや、当たったみたいなんです」
担任が言う

「先生はいなかったんですよね?図書の先生はそれを見ていたんですか?」

「いや、図書の先生も他のことをしてまして、机に寝そべっていたことは注意したみたいなんですけど…」

「見てないんですか?」

私の言葉に間があって
担任が「はい…」と頷いた

「それなら、△△くんの言いたい放題ですよね。他の子達は△△くんの言いなりじゃないですか。どこに真実があるんですか?また見逃すんですか?」

担任が
「いや、その…」
言葉に詰まる

「そもそも、こんなことがあったのに図書の先生は何してたんですか?状況を把握してなかったんですか?」

もう怒りは止まらない

「図書の先生が○○くんが泣いていることには気づいたのですが…」

担任が言葉を詰まらせたので

「なにもしなかった。なにもしなかったんでしょ?なぜ泣いているかも聞かず、保護者に連絡もなかったですよね」
私が言葉の続きを言う

「対応も遅すぎますよね。息子はもう学校には行きたくないって言ってますよ。いつもいつも、なんでこんなに対応が遅いんですか?頑張って学校へ行っても、先生たちがいじめを止めれないなら、意味ないですよね?」

今まで我慢してきたものが
爆発していた

「もう何もかも遅いんですよ。息子を傷付けているだけです。どうしてくれるんですか?」

担任をにらみつけてやった
こんな私は初めてだろう

今まで息子のためにと
我慢してきたものが
溢れ出てきた

そんな私に
担任がビックリして
焦っているのもわかった

「いや、あの…対応が遅れてしまい、本当に申し訳ありません」

またまた頭を下げたが
許せなかった

「もう取り返しがつかないことってあるんですよ。傷ついた心をどうしてくれるんですか?」

私の言葉に教頭が
まぁまぁと間にはいった

そして
重い腰を上げて
校長がやってきた

「お母さん、とりあえず学年の先生を呼んでいいですか?」

それは唐突だった

「これからなにか問題があったときに、たくさん話せる先生がいた方がいいので、学年の先生にも入ってもらいましょう」
そう提案をしてきた

このなんの力にもならない
担任から逃れれるなら
その方がいい

諦めたつもりの小学校生活
今日で終わりにするつもりだったのに
気持ちが揺らいだ

そして校長室に
学年の2人の先生が入ってきた

1人はベテランの女の先生(1組担任)で
もう1人は新任の男の先生(3組担任)
だった

2人が入ってきて
挨拶を済ませたあと
ベテランの女の先生が
中心に話を始めた

「お母さん、これからを考えましょう。私たちも力になります」

女の先生が無理矢理でも
明るい方に話を持っていこうと
しているのがわかった

当然ながら
担任にも学校にも怒りが
おさまってなかったけれど
このベテランの女の先生を
頼るしか
今はないのかなとも
思っていた

ベテランの女の先生が
「とにかく○○くんが学校へ来れるように考えましょう」
いろいろ提案をしてくれた

先生たちの関係を見ていると
女の先生を中心に
担任ともう1人の男の先生が
動いている感じだった


これから先も
話し合う場を何回も作って
息子にとって
学校へ来やすい環境を整えようと
いうことになった

女の先生な言葉には
今までなかった
力強い安心感があった

味方が出来て
素直にうれしかった

夏休み中
担任は何度か家にやってきた

息子とカードゲームをしたり
必死で仲を深めようと務めていた


たぶん
これも女の先生の指示だと思う