ふだんは通らない麦畑を見ながら、満ちたりた気分で散歩しているときに。頭のすぐ上で、

重たい羽ばたきを感じました。黒いかたまりが飛び去っていきます。ここは縄張りだったの

かな。

七十二候の【麦秋至】に入ります。

「ばくしゅういたる」と読みます。七十二候の24番目で、二十四節気「小満」の末候です。

6月5日まで。

麦の実りときを迎えます。「秋」の意味は、実りの季節のこと。この時期を「麦秋(ばくしゅう・

むぎあき)」といいます。

麦秋至 Mugi no toki itaru    
“Wheat ripens and is harvested.”  May 31-June 5
〔wheat;小麦 ripen;熟する harvest;収穫する〕

 



麦の仲間には、大麦、小麦、ライ麦、裸麦、燕麦(えんばく)などがあります。稲を収穫した

あとの裏作の作物で、これを二毛作といいます。

楽しさは皐月(さつき)の空に麦実り
 二毛作なる田畑見るとき

二毛作は、同じところで違う作物を1年に2回栽培することです。二期作は、違うものを作り

ます。遠い昔、学校で習ったことを思い出しました。

麦刈りのころ獲れる鯊(はぜ)はとても大きく「麦藁(むぎわら)鯊」と呼ばれて釣り人を喜ばせ

ます。しかし「麦藁鯛」は産卵を終えたばかりの痩せた鯛で味もおとります。すこし前までは

桜鯛といわれていたのに。
「麦藁蛸(たこ)」は歯ごたえがよく夏祭りのころには珍重されます。しかし、夏がすぎ薄(すすき)の穂がなびくころには「尾花(おばな)蛸」となり、味が落ちます。
同じものでも、時期が変わると味と名前が変わるのですね。

あなたが幸せでありますように 
琵琶湖を望む草庵にて