樹木希林さん最後の出演作の
日日是好日を見る機会があった。

たんたんと流れる物語。
家族で食卓を囲むシーン。
父親役の鶴見辰吾さん。
娘役の黒木華さん。

今週末典子が帰ってくるから
一緒にごはん食べようって親父が言ってた

病院の廊下で兄妹の会話。

みんなで一緒にごはん食べたのって
いつだったっけ

と、黒木華が頭を壁に打ち付けるシーン。

胸が苦しかった。

食べることってとても大切。

去年の今日、3/19に父は入院して
そのまま帰らぬ人となった。

私は後悔してることがある。
きっと死ぬまで忘れない。
スイッチが入ると急に涙が流れる。

昨夜も、ジャガイモの皮を剥きながら
急に泣き出した私をみて
旦那がおろおろしていた。

これは、
涙が出なくなるまで泣かなくちゃダメだ。
と思うので
ずっと蓋してきたことを書こうと思う。

お時間のあるかたはお付き合いください。



入院前日の18日の夜。

食欲がなくなっていて元気がない父に
お粥を炊いて、その上に漬物やしらす干し
刻んだお野菜をのせて父の前に出した。

元気がない父が、急に不機嫌になって
「たまには違ったもの食わせろ」
と強い口調で言った。

父はお粥の上にのせられるのが好きじゃない。
知っていたのに、ついうっかりのせた。

私も疲れていて、早く食べて寝たかったから。

イラついた私は父に向かって

「ごはんのこと文句言えるなんて
 元気になった証拠だね。
 じゃ、私、川越に帰るね。」

そう言い捨てて片付けもせず
2階に上がって寝た。帰った振りをして。


父は暮れからあまり体調が思わしくなかったが
3/16に孫の結婚式が九州であり
それに出席することを励みに頑張っていたので
薄氷を踏むように過ごしてきていたの。

九州から帰ってきたばかりで
食材もそんなになく
工夫して作ったごはんに
文句言われたのが悔しかった。

昼間、食材を買いに行けばよかったのに
どうせそんなに食べないし
私も疲れが抜けなくて、明日でいいやって
買い物にいかなかったの。

布団のなかで、
チクチクする胸の痛みを感じながらも
私こんなに頑張ってるのに!
って、父を責めていた。

実際、九州から帰って
そのまま実家に泊まってるから
自宅のごはんは
旦那が作るか、お総菜か、コンビニ弁当。

私の家族を犠牲にして父のそばにいる。
そんな気持ちが父を責めてしまったのだ。


翌朝、普段通り起きて父を起こすと
ビックリしたように目をぱちくりさせていた。

夕飯は全部食べていた。

朝ごはん後、予定通り病院へ。
最低限の会話しかせず、ぎくしゃくしてた。


朝の9時過ぎに病院で受付をして、順番を待つ間
どんどん具合が悪くなっていく父。

点滴をするために、
椅子に移動することもできない状態。

普段かかっている病院ではできない検査をしてもらうため、紹介状をもっての通院だったが
ややこしいルールがあるらしく
うちの科では入院はできない、
ベッドがない、の一点張り。

どうやって連れて帰ればいいのだろうと
途方にくれていると

たまたま通りかかった救命救急の医師が、
この状態で帰すことはできないでしょ!
と、入院させてくれたのは18時過ぎのこと。

昼も食べられず、丸9時間。
一度実家に帰り、色々準備して病院に戻り
自宅に帰れたのは22時を回っていた。

疲れ果てて入ったお風呂のなかで
私は自分の乳房にしこりがあるのを発見したの。

父が入院したその日に
私は自分の乳ガンを見つけたのです。

つづく。