ピアノ教室を運営していると、
レッスンそのものとは別のところで、心を使う場面がたくさんあります。

 

月謝改定をお伝えする時。
月謝納入について、デリケートなお願いをしなければならない時。
保護者の方が、他の生徒さんと比べて不安や戸惑いを感じている時。
教室としての判断を、きちんと伝えなければならない時。

 

どれも、先生にとっては「言いにくいこと」です。

 

本当は、保護者の方と良い関係でいたい。
できるだけ気持ちに寄り添いたい。
不安があるなら、きちんと受け止めたい。

そう思うからこそ、言いにくいことを伝える時に、先生の心がとても疲れてしまうことがあります。

 

「こんなことを言ったら、冷たい先生だと思われるかもしれない」

「月謝のことを言うのは気が重い」

「保護者の不安に、どこまで寄り添えばいいのだろう」

「優しくしたいけれど、全部受け入れていたら自分が苦しくなる」

そんなふうに感じたことのある先生も、いらっしゃるのではないでしょうか。

 

今回、伊藤楽器様で開催していただくセミナーでは、
この「言いにくいことを、どうやさしく伝えるか」をテーマにお話しします。

言いにくいことも、やさしく伝える

今回の講座タイトルは、

言いにくいことも、やさしく伝える
教室運営を支える“やさしい線引き”
「エモロジカル・コミュニケーション」講座

です。

 

伊藤楽器様では、2024年から保護者とのコミュニケーションをテーマに継続してセミナーを開催させていただいています。


2024年は保護者対応の総論と個別事例、2025年はエモロジカルの考え方を取り入れた実践編と個別事例、また教室規約についてのセミナーも行いました。

 

これまで3回のセミナーをずっと聞いてくださっている伊藤楽器のご担当者様から

「この考え方を必要としている先生方にさらに届けていきたいです!」

という熱いお声をいただき、3年目、4回目の開催となります。

 

そこで今回は、これまでお話ししてきた内容を土台にしながら、特に

  “やさしい線引き” 

に焦点を当ててお話しします。

 

やさしさだけでは、先生が苦しくなる

保護者対応で悩む先生の多くは、決して冷たい先生ではありません。

むしろ、やさしい先生ほど悩みます。

 

保護者の方の事情を分かってあげたい。
困っているなら、できる限り対応したい。
子どものためになるなら、多少無理をしてでも何とかしてあげたい。

 

その気持ちは、とても大切です。

でも、やさしさだけで全部を受け入れ続けていると、先生自身が苦しくなってしまいます。

一度だけのつもりで受け入れたことが、いつのまにか当たり前になってしまう。
他の生徒さんとの公平性が保てなくなる。
教室として大切にしたいことが、だんだん曖昧になってしまう。

そして、先生自身が疲れきってしまう。

 

それは、決して良い関係ではありません。

やさしくあることと、すべてを受け入れることは違います。

ここは、今回の講座で特に大切にお伝えしたいところです。

 

受け取ることは、すべてを受け入れることではない

今回の講座で大切にしたいテーマのひとつが、
「受け取ること」と「すべてを受け入れること」は違う、ということです。

 

保護者の方の不安や事情を受け止めることは、とても大切です。

けれど、受け止めることと、教室としての方針や判断をすべて変えることは、同じではありません。

 

相手の気持ちを大切にしながら、先生自身や教室の軸も大切にする。

 

線引きは、関係を冷たく切るためのものではなく、
安心して関係を続けていくためにも必要なものだと考えています。

当日は、そうしたバランスを、具体的な場面をもとに一緒に考えていきます。

 

☆エモロジカル4ステップで考えていきましょう

エモロジカル4ステップとは、
「整える・受け取る・問いかける・届ける」の4つの流れで、感情と論理の両方を大切にしながら、相手に届く言葉を考えていくための考え方です。

 

今回の講座では、このエモロジカル4ステップを軸に、ピアノ教室の現場で起こりやすい「言いにくいこと」について考えていきます。

 

月謝改定。
月謝納入に関するやりとり。
他の生徒さんとの比較による保護者の方の不安。
教室運営上の判断。

 

どれも、先生がひとりで抱え込みやすいテーマです。

当日は、そうした場面を取り上げながら、どうすれば、やさしさを失わずに、必要なことを伝えられるのかを一緒に考えていきたいと思います。

 

すぐに使える正解をひとつお渡しするというより、先生ご自身の教室で考える時の土台になるような時間にできたらと思っています。

 

今回扱う予定の内容

今回のセミナーでは、チラシに掲載している内容に沿って、次のような場面を扱う予定です。

 

・月謝改定をどう伝えるか
・月謝納入に関するデリケートなやりとりや判断
・他の生徒さんと比べて不安や戸惑いを感じている保護者への向き合い方
・保護者との信頼関係の築き方
・「言いにくいこと」をどう相手に届く形で伝えるか

 

どれも、ピアノ教室を続けていれば、多くの先生が一度は悩むテーマだと思います。

こうした場面に、正解がひとつだけあるわけではありません。

だからこそ、具体的な場面をもとに、ご自身の教室ではどう考えられるかを、一緒に整理していけたらと思っています。

 

ひとりで抱えなくて大丈夫です

保護者対応は、外からは見えにくい仕事です。

レッスン中の指導と違って、誰かが横で見ていてくれるわけではありません。

LINEの返信ひとつ。
月謝についてのお願いひとつ。
保護者の不安への返事ひとつ。

先生は、それを一人で考えて、一人で言葉にしていることが多いと思います。

だからこそ、悩みます。

でも、そこに考え方の型があると、少し楽になります。

 

感情だけで反応しない。
でも、感情を置き去りにもしない。

 

論理だけで押し切らない。
でも、必要なことを曖昧にもしない。

 

そのバランスを取るための考え方として、エモロジカル4ステップをお伝えしたいと思っています。

 

今回のセミナーが、保護者対応に悩む先生にとって、
「少し整理できた」
「次はこう考えてみよう」
「言いにくいことも、もう少し落ち着いて伝えられそう」
と思える時間になれば嬉しいです。

 

会場受講だけでなく、Vimeo視聴もあります。

遠方の先生や、当日ご都合の合わない先生にもご受講いただけます。

…でもやっぱり、会場でお会いできたら嬉しいです。伝わる”熱”が違います!

ご都合のつく方はぜひ会場へ!

そしてセミナー後にランチもご一緒しませんか?

 

必要な先生に届きますように!!

 

セミナー詳細

 

言いにくいことも、やさしく伝える
教室運営を支える“やさしい線引き”
「エモロジカル・コミュニケーション」講座

日時:2026年7月3日(金)10:30〜12:30

会場:伊藤楽器 船橋本店 3階
ミュージックサロン船橋 1番教室

受講方法:会場受講/Vimeo視聴

受講料:
前売 一般 4,500円
前売 PTNA会員・伊藤楽器PTC会員 4,000円
当日 各500円増し

教材:
『レッスンの言葉がけ&コミュニケーション』
当日会場で販売予定
音楽之友社

主催:伊藤楽器

後援:一般社団法人 全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)

お問い合わせ・お申し込み:
伊藤楽器 エリアミュージック船橋
〒273-0005
千葉県船橋市本町1-9-9 ルナパーク船橋2F
TEL:047-431-0111
FAX:047-432-7818

ピティナwebからもお申し込みいただけます。

 

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実際の教室の様子や、日々のレッスンで大切にしていることは、教室ブログに綴っています。ぜひこちらもご覧くださいね♪
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●ONTOMO MOOK『レッスンの言葉がけ&コミュニケーション』

 

 MOOKには以下の連載の内容がまとまっています。

 ・ムジカノーヴァ(音楽之友社)2020年4月号~2022年11月号

  ~ふるるん先生の 保護者と良好な関係を築くための伝え方講座~ 

  ~A4一枚でまとめよう!トラブルを未然に防ぐ教室規約の作り方&運用法~


●ムジカノーヴァ(音楽之友社)2019年8月号~10月号連載

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生徒さんや保護者の方から、「ピアノをやめたい」という言葉が出た時。

 

先生の心は、少なからず…いえ、大きく揺れるものだと思います。

 

残念に感じたり、何かできることがあったのではないかと考えたり、引き止めた方がいいのか、それともそのまま受け入れた方がいいのか迷ったり。
結果、焦って対応して後悔したりしますよね(私もしていました)。

でも長年やってきて分かってきたんです。
「ピアノをやめたい」という言葉の中には、いろいろな気持ちが含まれているということが。

だから、やめたいと言われたときに大切なのは、すぐに説得することでも、すぐに諦めることでもなく、まずはその言葉を丁寧に扱うことではないかと思っています。

 

本当にピアノから離れたい場合もあります。
生活全体が忙しく、いったん休むことが必要な場合もあります。
練習が負担になっているだけの場合もあります。
今の曲や宿題の量が、その子に合っていない場合もあります。
保護者の方が、おうちで練習を促すことに疲れている場合もあります。

 

同じ「やめたい」という言葉でも、その背景は一人ひとり違うんですよね。

だからこそ、私はすぐに「やめるか、続けるか」の二択で、決めてしまわないでほしいなと思います。

 

☆エモロジカル4ステップで考えてみましょう

エモロジカル4ステップとは、
「整える・受け取る・問いかける・届ける」の4つの流れで、感情と論理の両方を大切にしながら、相手に届く言葉を考えていくための考え方です。

 

この考え方を実践することで、「やめたい」と言われてしまった時にも落ち着いて対処することができます。

①日ごろから先生の心を整えておく

「ピアノをやめたい」と言われた時にそなえて、その言葉を受け止められるように、日ごろから先生自身の心を整えておくことが大切です。

 

教室には、出会いもあれば別れもあります。
どの年齢でピアノと出会い、どのくらいの期間学び、人生のどの段階で一度離れるのかは、一人ひとり違います。
長く続ける子もいれば、数年で離れる子もいます。
一度やめても、また音楽に戻ってくる子もいます。
教室を離れてから、別の形でピアノや音楽と関わり続ける子もいます。

 

だから、先生は「辞める」ということを、極端に恐れすぎなくてもよいのだと思います。もちろん、大切に育ててきた生徒さんが離れていくのは寂しいことですし、残念に思うのも自然なことです。

でも、退会を恐れすぎると、相手の話を聞いているようで、実は「どうしたら引き止められるか」にばかり気持ちが向いてしまうことがあるんですね。それでは、本当にその子のためを考えた対処になりにくくなってしまいます。

 

先生自身の心が整っていれば、続けるための提案も、休むための提案も、場合によっては気持ちよく送り出すことも、自己保身ではなく、その子のために考えることができます。

まずは、そこを先生自身の中に持っておく。

それが、「やめたい」と言われた後の行動の土台になるのだと思います。

 

 

②まずは気持ちを否定せずに受け取る

次に大切なのは、まず、とにかく、相手の気持ちを受け取ることです。

 

「なぜ?」 「どうして?」 「何が嫌なの?」 と、すぐに聞きたくなるかもしれません。でも、その前にまず、相手が話すことをだまって聞くことが大切です。
「そう感じているんですね」
「やめたいと思うくらい、今しんどくなっているんですね」
しっかりとその気持ちを受け止めるところからしか良いコミュニケーションは取れません。

 

これは子どもに対しても、保護者の方に対しても同じです。

「やめたい」
「辞めさせた方がいいのかもしれない」
そんな言葉が出る時には、そこに何らかの負担や迷いがあります。

その気持ちをすぐに否定されると、相手はそれ以上話しにくくなってしまいます。


先生としては、続けてほしい気持ちがあるかもしれません。
でも、まずは相手の言葉をそのまま受け取る。
相手が今感じていることを、大切に扱うこと。

そこから、次の対話が始まります。

 

 

③問いかけながら、本当の理由を見つけていく

気持ちを受け取ったうえで、必要に応じて問いかけていきます。

ここで初めて「やめたい」の中にある本当の理由を探っていく段階に入ります。

 

子どもの「やめたい」は、必ずしも「ピアノそのものが嫌い」という意味とは限りません。

練習が面倒なのか。
曲が難しすぎるのか。
宿題の量が負担なのか。
レッスンに来ること自体は嫌ではないのか。
学校や習い事全体で疲れているのか。
保護者の方がおうちで練習を促すことに疲れているのか。

そうしたことを、少しずつ確認していきます。

 

たとえば、

「いちばん大変なのは、練習することかな」
「曲が難しく感じているのかな」
「レッスンに来ることはどう感じているかな」
「宿題を少なくしたら、少し気持ちは楽になりそうかな」

そんなふうに問いかけていくと、最初の「やめたい」という言葉の中に、いくつかの気持ちが混ざっていたことが見えてくることがあります。

 

 

私の体感では、最初に「やめたい」という感情が生まれやすいのは小学3~4年生ごろかなと思います。このころ子どもの世界は少しずつ広がり始めるのですね。

それまでは家族と自分、親と自分、きょうだいとの関係など、比較的近い世界の中で過ごしていた子どもが、友だちが多くなったり、クラス全体が見えるようになってきたりすることで、周りとの比較の感情が生まれてきます。
さらに、ゲームやショート動画のようにすぐに結果が出ることや、分かりやすく楽しいことへの関心が強くなってきます。

そうなるとピアノは、どうしても「面倒くさいもの」の箱の中に入ってしまうんですね。
 何度も同じところを弾く。
 楽譜を読む。
 少しずつ自分で考えて練習する。
めんどくさいですよね。ハッキリ言って(笑)

でも、それは他と比べてピアノの練習がめんどくさいだけであって、必ずしも、音楽から離れたいということではない場合も多いのです。だからこそ、問いかけながら、言葉の奥にある本当の理由を見ていくことが大切なのだと思います。

 

④見えてきた理由に合わせて届ける

問いかけによって理由が少し見えてきたら、先生としてできることを届けていきます。

「もう少し頑張りましょう」、「ここでやめるのはもったいないです」…
こんな単純な言葉だけでは、相手には届きませんね。


大切なのは、見えてきた理由に合わせて、具体的な提案をすることです。

・たとえば、練習の負担が大きいなら、宿題の量を一時的に減らす。

・家で難しいところに向き合うのが大変なら、レッスンの中である程度できる状態にしてから宿題にする。

・前に進むことが苦しくなっているなら、基礎に戻ったり、曲を変えたり、少し違う角度から取り組む。

・生活全体が忙しいなら、少しペースを見直す。

・そして、本当に心や体が疲れている場合や、今は離れることが必要だと感じる場合には、休むことや退会も含めて考える。

 

「続けること」だけが正解ではありません。
でも同時に、
「やめたい」という言葉だけで、すぐにすべてを終わらせる必要もありません。

 

やめるか、続けるかの二択ではなく、今のその子に合った関わり方を一緒に探すこともできるのです。
探していく中で、また子どもの中に「それならできるかも」「やってみようかな」という気持ちが生まれるかもしれません。
保護者の方も、「そういうやり方があるならがんばれるかも」と思われるかもしれません。

「やめたい」の奥にあるものを見る

長く教室を続けていると、小さい頃にはなかなか練習できなかった子が、高学年になってから急に伸びてくることがあります。楽譜を読む力がついてきたり、繰り返し練習することの意味が分かってきたり、自分で練習方法を考えられるようになってきたり。

 

小さい頃には受け取れなかった言葉が、年齢が上がり、心が成長した時に、その子自身の力として立ち上がってくることがあります。


もちろん、すべての子に同じ形が当てはまるわけではありません。
それでも、子どもの気持ちは一言では決められない、ということは覚えておきたいのです。

 

「練習は嫌いだけれど、教室はやめたくない」という子もいます。

「面倒だけれど、本当は弾けるようになりたい」という気持ちが残っている子もいます。

 

だからこそ、先生は「やめたい」という言葉を、すぐに最終結論として受け取らないで、その生徒に合う方法を一緒に探していくことも大切ではないでしょうか?

何度も同じところを練習すること。
できないところを見つけること。
自分なりの練習方法を考えること。
停滞する時期を過ごしながら、それでも少しずつ進んでいくこと。

 

これらの経験は、ピアノの技術だけでなく、考える力、続ける力、乗り越える力にもつながっていきます。それは今後長く生きていく子どもたちにとって大きな力になると私は思っています。



退会相談は、先生にとって楽なものではありませんよね。

 

けれど、その時間は、ただ引き止めるか見送るかを決める時間ではなく、
その子の今の気持ちや成長の段階を、一緒に見つめ直す時間にもなります。

退会を極端に恐れすぎず、
まず気持ちを受け取り、
問いかけながら本当の理由を探り、
見えてきたことに合わせて必要なことを届ける。

このエモロジカル4ステップのプロセスの中で、その子にとって今いちばんよい形が見えてくるのではないかと思います。

 

 

このテーマについては、保護者の方向けにも教室ブログで書いています。

同じ内容を保護者の方へどのように伝えているか、指導者の先生方にも参考にしていただけるかもしれません。

▶「ピアノをやめたい」と言われたら。


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●ONTOMO MOOK『レッスンの言葉がけ&コミュニケーション』

 

 MOOKには以下の連載の内容がまとまっています。

 ・ムジカノーヴァ(音楽之友社)2020年4月号~2022年11月号

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ピアノの先生は、溢れるほどの優しさを持った方がとても多いと感じます。

 

「生徒さんの気持ちに寄り添いたい」

「保護者の方の事情も、できるだけ受け止めたい」

「困っているなら、できる範囲で力になりたい」

私自身も、全く同じ想いで教室を運営してきました。生徒さんや保護者の方に安心して通っていただくこと、困った時に本音で話していただける関係性を築くことは、ピアノ教室を続けていくうえで不可欠な土台です。

 

しかし、長く教室を続けていると、誰もが直面する壁があります。 それが、「寄り添うこと」と「何でも受け入れること」のバランスです。

多くの先生方のお悩みを伺う中で分かったのは、このバランスが崩れてしまうことで、先生自身が疲弊しているケースが非常に多いという現実です。

 

たとえば、急な振替の要望、レッスン時間の変更、月謝や規約への意見、発表会の参加に関する相談など。

一つひとつは、決して大きな問題ではないかもしれません。 しかし、「今回だけだから」とその場しのぎで受け入れ続けていると、確実に歪みが生じます。

  • いつしか特例が「当たり前」になってしまう
  • 他の生徒さんとの公平性が保てなくなる
  • 教室として大切にしたい理念が、少しずつ曖昧になる

そして何より、先生自身の心が疲れてしまうのです。これは、教室にとっても生徒さんにとっても、決して良い形ではありません。

 

相手の事情を大切にすることと、教室の軸を手放してしまうことは違います。自分ばかりが苦しくなる優しさは、本当の優しさではないのです。

だからこそ、私は「エモロジカル4ステップ」というアプローチを提唱し、大切にしています。 これは、感情(エモーショナル)と論理(ロジカル)の両方を掛け合わせ、相手にまっすぐ届く言葉を導き出すための4つのステップです。

 

① 整える(自分の心を整える)

何かを要望された時や、心にモヤッとしたものを感じた時、すぐに返事をする必要はありません。 「断ったら冷たいと思われるかも」「でも、これを受け入れると後で困る」と心が揺れた時こそ、まずは自分の内側に目を向けます。自分が何に引っかかり、本当は何を大切にしたいのか。 自分の軸を確かめないまま相手に合わせすぎてしまうと、必ず後から苦しさが残ります。まずは深呼吸をして、自分の心を整えることが最優先です。

 

② 受け取る(相手の背景を聴く)

すぐに「ルールですからできません」と突き放すのではなく、相手が何に困っているのか、どんな背景があるのかをまずは受け取ります。ここが、先生の「優しさ」の本領です。 ただし、「受け取る」ことと「引き受ける(YESと言う)」ことは全く別物です。 「そういうご事情だったのですね」「お話しくださってありがとうございます」と、相手の気持ちに共感することと、教室のルールを曲げることは切り離して考えていきましょう。

 

③ 問いかける(本質を見極める)

保護者の方の言葉の裏には、まだ整理されていない本音が隠れていることがあります。 本当に困っていることは何なのか、何を希望されているのか。あるいは、こちらの意図が正しく伝わっているか。 丁寧に問いかけることで、最初に見えていた問題とは違う、本当の解決策(困りごと)が見つかる場面は多々あります。

 

④ 届ける(伝えるべきことを伝える)

相手の事情を受け取ったうえで、教室として大切にしていること、できること・できないことを明確に伝えます。 ここで大切なのは、冷たく突き放すことではなく、相手の心に届く言葉を選ぶことです。

 

  • 「お気持ちはとてもよく分かります。ただ、教室としては公平性を守るために、このように対応させていただきますね」
  • 「今回はこの形で対応いたします。次回からは、こちらのルールに沿ってお願いいたしますね」

このように、優しさをベースに残しながら、必要な線を引くことは十分に可能です。

「線引き」という言葉は、一見冷たく聞こえるかもしれません。 しかし、それは決して相手を拒絶するためのものではありません。

  • 教室の秩序を守るため

  • 他の生徒さんとの公平性を守るため

  • 教室の理念を守るため

  • そして、保護者の方と長く良好な関係を続けていくため

これらを守るために、どうしても必要な「教室の軸」なのです。

つまり、優しさとルールは対立するものではありません。むしろ、「優しい先生であり続けるためにこそ、凛とした境界線を持つこと」が大切なのです。

 

保護者対応で悩む時、先生はつい「私が我慢すれば丸くおさまるのかな」と自分を責めてしまいがちです。ですが、先生自身も、自分の教室も、もっと大切にしてよいのです。

 

ピアノ教室は、先生の自己犠牲の上に成り立つ場所であってはなりません。先生も、生徒さんも、保護者の方も、全員が安心して関わっていける場所であるべきです。

感情と論理のハイブリッドである「エモロジカル4ステップ」を意識すれば、保護者対応や教室運営の中での迷いは確信に変わります。

 

今後はこのブログで、具体的な場面に応じたステップの活用実例を少しずつ紹介していきますね。一緒に、ぶれない強い軸を持った教室を作っていきましょう!

 

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少し前に、

「大切にしてきたことを、あらためて」

という記事を書きました。

 

その中で、私が長年ピアノ教室を続ける中で大切にしてきた、「感情」と「論理」の両方を大切にする考え方について書きました。

 

感情だけに流されるのではなく、
正論だけで相手を押し切るのでもなく、

自分と相手、両方の気持ちを大切にしながら、
必要なことを考え、言葉にしていく。

 

私はその考え方を、Emotion と Logical を合わせて「エモロジカル」と呼んでいます。

 

そして今、その考え方をもう少し具体的に、現場で使いやすい形にするために、
「エモロジカル4ステップ」として整理しています。

 

①整える
②受け取る
③問いかける
④届ける

 

まず自分の心を整える。
相手の話を受け取る。
問いかけながら、あいまいな部分を少しずつ明らかにしていく。
そして、こちらの思いや必要なことを、相手に届く形で伝える。

 

 

この4ステップを、現場で起きていることを例に、これから少しずつ書いていきたいと思っています。

 

なんでもそうですが、正解はひとつではありませんよね。

保護者とのコミュニケーション。
生徒とのコミュニケーション。
教室のルールや規約。
発表会の運営。
そして、指導者自身の心の整え方。

だからこそ、その時々で立ち止まり、自分なりに考えていくことが大切なのだと思います。

 

私自身がどう考え、どう受け止め、どう言葉にして伝えてきたかを書くことが、日々のレッスンや教室運営の中で悩みを抱えている指導者の皆さんの参考になればいいなと思います。

 

「エモロジカル4ステップ」は、相手とのコミュニケーションのための考え方ですが、
同時に、指導者自身が自分の迷いや違和感を整理するための道筋にもなるのではないかと感じています。

その点についても、少しずつ書いていけたらと思っています。

 

これからまた、どうぞよろしくお願いいたします。

 

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先日、大阪で
「保護者と良好な関係を築くための伝え方講座」を担当させていただきました。

ピアノ教室を運営する中で、多くの先生が悩む「保護者との関係づくり」についてていねいにお話させていただきました。

 

セミナーは、基本的な部分はすでにできているコンテンツではあるものの、

毎回扱う事例が違ったり、

自分の考えがまた一歩進んでいたりして、

結局毎回ディープに練り直すことになっています。

 

今回もまたしっかり準備をして臨みましたので、
お伝えしたいことはすべてきちんとお話しできました。

会場参加してくださった皆様のアンケートでも温かい反応をいただき、ほっとしています。
お忙しい中、足を運んでくださった先生方、本当にありがとうございました。

 

 

ここ数年、楽器店のリアルセミナーには人が集まりにくい状況が続いているそうです。
コロナ後、その流れはさらに加速していると店長様がおっしゃっていました。

今回も会場参加の方よりもZoom受講の方の方が多かったです。

 

それでもこうしてセミナーを打ち出して、
先生方に足を運んでいただきたい、業界を少しでも活性化したい、
そんな思いで開催してくださっているそうです。

そのお話を伺って、私も身が引き締まる思いでした。

 

だからこそ、リアルの場をどう守るかは大きなテーマで、

Zoom配信をするかどうかも毎回悩まれるそうです。
Zoomだからこそ受講できる方がいる一方で、

会場参加できそうな方もZoomに流れている現実もあるとのこと。

 

往復新幹線代、宿泊費…。
すべてをご負担してお声がけいただけるのはとてもありがたい反面、

正直なところプレッシャーもありました。

 

だからこそ、私も中途半端な準備はできないな、と思っています。

こういった楽器店の皆様の熱い思いに応えるためにも、

内容を磨くだけでなく、

私自身がもっと「会いに行きたい人」にならないと、と改めて思いました。

 

そして今回、会場で聞いてくださった先生が、こんな言葉をかけてくださいました。

「やはりリアルで聞くと違う。肌で感じるものがある」

これを伺って本当に嬉しかったです。

私の温度を感じていただけること、それこそが私の願いだからです。

 

私の文章はわりと固め…きちんとした印象のようです。

そのため

「もっとこわい感じの、きちっとした先生だと思っていました」

と告白されることがあります。

実は、面白いオバちゃんなんですのよ(笑)

会いに来ていただけると、画面越しよりたくさん伝わる温度があると思っています。

もしご都合が合いましたら、ぜひお越しくださいませ!

 

3/11(水)大阪・枚方
大東楽器様「教室規約の作り方&運用法」

詳細はこちらから → 大東楽器ミューズデュオ様ホームページ

 

3/12(木)東京・池上
スター楽器様「教室規約の作り方&運用法」

詳細はこちらから → スター楽器様ホームページ

 

会場でお会いできましたら嬉しいです。

 

 

 

 

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●ONTOMO MOOK『レッスンの言葉がけ&コミュニケーション』

 

 MOOKには以下の連載の内容がまとまっています。

 ・ムジカノーヴァ(音楽之友社)2020年4月号~2022年11月号

  ~ふるるん先生の 保護者と良好な関係を築くための伝え方講座~ 

  ~A4一枚でまとめよう!トラブルを未然に防ぐ教室規約の作り方&運用法~


●ムジカノーヴァ(音楽之友社)2019年8月号~10月号連載

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