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お久しぶりです。まさかの、こんなに間が開くとは…![]()
こんなに時間開いたんだから、書籍化の話もちょっとは進んでくれてたら良かったのに!え、私が情報見落としてます…?もしかして何かお知らせとかありました…?
では、お待たせしすぎた高杉さんです。最愛の推し旦那様です。
ひとことではまず言えないので、某大好きな名場面の主人公ちゃんの言葉をお借りします。
尊大で、不遜で、傲慢で。大人びた色気で私をくらくらさせたかと思えば、子供みたいに不器用なやり方で機嫌を取ろうとして。
一瞬の閃光みたい。気付いた時にはかき消えて、それなのに心に焼き付いて離れない。
……うんうんうんって全力で頷きたい!私も本当これだった!こうして高杉さんに落ちた!
高杉さんルートの主人公ちゃんといえば、恋に突っ走る行動力が凄いですよね。高杉さんの望む女性(太夫)になろうとし、高杉さんをどこまでも追いかけ、苦しい時も側にいて。結エンドなんて、分かっていながらもう1回それするんですよ!?ハンパないわ。
ま、そういう私も高杉さんのご実家まで押しかけた女ですけどね←萩の旅。
そんな高杉さんと頑張った主人公ちゃんに捧ぐ、送るシリーズ最終話。今までの話もどれも短いし内容も薄いですが、艶旦那様達にただの日常をただ幸せに過ごしてほしい、その思いだけ込めて書いてきました。
未来が見えることって凄く幸せなことだと思います。
未来を描く、未来を夢見る、言い方は色々ありますが、高杉さんちの主人公ちゃんは、どんな時でもいつも彼の側にいる未来を見ていたんだろうな、と。
二人で幸せになって!!
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『嬉しい日』
晴天の中、蝉の鳴き声が響く。焼けるような日射しに負けず、生命力に満ちたその響きで、この季節が来たと皆に知らせる。
それに混ざり、外から子ども達の声が聴こえた。はつらつと賑やかな声は、また明日、と次の日の約束をしているらしい。
そろそろかな。そう思っていると、玄関の方からカタカタと戸の音がした。
間もなく部屋の襖が開くと、晋作さんが姿を見せた。
「お帰りなさい」
私の声掛けに「ああ」と短く返事をすると、近付いてきてすっとしゃがむ。
畳に座っていた私と目線の高さが近くなり、自然と吸い込まれるように彼の目を見る。
出逢ってからずっと私を惹き付けてやまない、火を灯したように力強いその眼が、柔らかく細められた。最近増えてきたその表情を見て、胸がじんわりと温かくなる。
彼の視線の先にいる、小さな身体。
「よく眠っているな」
「はい、さっき寝付いてぐっすり」
細くて短い指を握り締め、くうくうと胸を上下させている。その柔らかい頬をそろりと撫でて、晋作さんは眠ったままの息子に話し掛けた。
「早くお前にも稽古をつけたいな」
もう何度目になるか分からないその言葉に、思わず笑みが溢れそうになるのを我慢して。
「今日は何人集まったんですか?晋作さんの剣術稽古」
―剣術稽古と晋作は言うがね。あれは近所の子どもとチャンバラして遊んでもらっているようにしか見えないよ。
そう桂さんが言っていたのを思い出す。
「7人だ」
「また人数が増えたんですね」
「どこからか話を聞いたのか、新しい顔が増えてな」
破天荒で無茶苦茶で、子どもの手本になる大人とは言い難い。それでも子ども達がそんな晋作さんを慕って会いにくるのは、彼の魅力に引き寄せられるからだと思う。
―とは言え、つかまり立ちをしたばかりの息子に「どれお前にもそろそろ稽古をつけてやろう」と剣を握らせようとした時は、たまたま来訪していた翔太くんと全力で止めたけれど。
「どうですか?見込みはありそう?」
「まだまだだな。俺があれくらいの歳の時はもっと強かった」
小さな子にも負けず嫌いを発揮して、そんな尊大な態度で言うものだから、私は今度こそ吹き出してしまった。
笑う私をじろりと見るが、全然怖くなんてなかった。ただ、愛しさを感じるだけ。
「任せておけ。お前はうんと強くしてやる。この俺が直々に、一対一で教えるんだからな。強くなるに決まってる」
小さな唇がむにゃむにゃと動き、再び規則的な寝息に戻る。もしかしたら、熱のこもった父親の言葉に返事をしたのかもしれない。
「晋作さん、しばらくこの子とゆっくりしていてくださいね」
ああと返事をして、息子と同じように畳に寝転がる。並んで寝転ぶ二人の姿を微笑ましく思いながら、私は台所へ向かった。
さあ、今のうちに今日の準備をしよう。皆がここに集まるのは、私達の祝言のとき以来。あの賑やかではちゃめちゃな宴を思い出しながら、ひとつずつ料理を作っていく。もちろん、どれも晋作さんの好物ばかりだ。
今日は嬉しい日。
晋作さんがまた1つ歳を重ねる日。
晴天の日射しの下で。蝉の鳴き声の降る地で。元気な子ども達に囲まれ。すやすや眠る息子の横で。
晋作さんが私の隣にいてくれる、一緒に生きてくれている、何気ない日常のようであり、それは奇跡のような一日。
彼を慕う人達がもうすぐ集まってくる。皆でお酒を飲んで料理を食べながら、息子を溺愛する晋作さんの姿を見て、予想以上の子煩悩ぶりに驚く人達も。呆れながらも優しく見守ってくれる人達も。
料理の準備が一段落して居間に戻ってみると、息子だけでなく、晋作さんも見事にぐっすりと眠っていた。薄手の布団を掛けながら、ふと、さっきの晋作さんの言葉を思い出す。
「…晋作さん、稽古は一対一じゃなくて、一対二になりますから。頑張ってくださいね」
寝ている彼にそう話し掛けた。一対二というのはもちろん、晋作さん対息子と私、ではない。
今はまだ膨らみの目立たないお腹にいる、二人目の我が子だ。
目を覚ましてそれを伝えたら、どんな顔をするだろうか。来年の今日は更に賑やかになっているだろうな。幸せな想像が胸に広がり、並んで眠る二人の頭にそっと触れる。
彼らと歩める未来を、心から嬉しく、楽しみに思いながら…。
終
(なんとか書ききったー!艶が〜るありがとう!!)
とうとう艶が〜るのサービスは終了してしまいました。ぽっかり穴があいたような気分になったけれど、艶が〜るがくれた出会いと経験は私の人生の一部であり宝物。書籍化が決まるといいなぁ。
さあ、今回は土方さんです。
土方さんを初めてプレイしたのは、翔太くん、沖田さんに続き3番目でした。それまでの純真で爽やかな二人からの、初めての大人の男ですよ。何、うわ、めっちゃ格好いい、と思ったのを今でも覚えてる〜。
あるイベントで、土方さんに投扇興をさせようとする慶喜さんが「君はいつも格好良くてずるい」というような台詞を言う場面があるんです。ほんとそれな!!!て慶喜さんに激しく同意します。土方さんはいつもずるいくらいに格好良い。
私、土方さんもパロ以外であまり書いたことがなかったんです。何故なら、周りにとても素敵な土方さんを書かれる方達が沢山いらっしゃったから。とてもじゃないけどあんな格好良い土方さんは書けませんが、ちょうどこの季節なので、クリスマスを絡めたお話にしました。
皆様メリークリスマス!!
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『とびきりの贈り物』
初雪がちらちらと舞い、京の町もいよいよ冬本番の寒さに包まれようとしている。その夜、私は土方さんのお座敷に呼ばれて『空想』の話をしていた。
「では、今日はクリスマスの話をしますね」
土方さんは、私が未来の乗り物や機械のことを話すのを、不思議なおとぎ話のように感じたようで気に入ってくれている。
「毎年冬のこの時期になると、白い髭を生やした赤い着物のお爺さんが、遠くからやってくるんです」
「ほう…?」
それは未来の世界では皆が知っているサンタクロースの話。
「そのお爺さんは、大きな風呂敷に沢山の贈り物を詰めて、赤い鼻をした馬のような動物と一緒に、子どもがいる家にやってきます」
土方さんは黙って私の話に耳を傾けながら、頷いて続きを促す。
「夜になって子ども達が眠ると、そのお爺さんは寝ている子の枕元にこっそり贈り物を置いていくんです」
「…いや、怪しいだろ」
怪訝な面持ちで眉をひそめる土方さんに、私はにこりと微笑む。
「大丈夫ですよ。子ども達は皆そのお爺さんが来てくれるのを楽しみにしているんです。贈り物のお礼に、お爺さんにお菓子を用意して置いておく子もいます」
「寝ている所に侵入してきた奴に菓子を用意しておくなんざ、お前の空想は相変わらず突拍子も無いな」
ふっと笑って土方さんはお酒を呷る。楽しんでもらえているようで嬉しくて、私は得意になって話を続けた。
「私も子どもの頃は贈り物を貰いましたよ。毎年、朝起きたら私が欲しかったものを持ってきてくれていたんです」
ちらりと切れ長の目がこちらを向いた。いつもは鋭い目元が、どことなく和らいでいる。
「その爺さんが贈り物をするのは小さな餓鬼だけなのか?」
「そうですね。お爺さんから贈り物を貰えるのは子どもだけです。でも…」
土方さんの問い掛けに、クリスマスの様子を思い出す。お店のディスプレイは華やかに飾られ、夜になると街中でイルミネーションが色とりどりに輝く。聞こえてくるのは小さな頃から馴染みのあるクリスマスソング。恋人や友達と歩いている人はもちろん、仕事帰りの人も、家族連れの人も、皆どこかわくわくと心を弾ませる季節。
「クリスマスは大人になっても皆が楽しみにしている特別な日なんです。だから大人達も、大切な人に贈り物を準備して渡すんですよ。私も大きくなってからはお父さんとお母さんに貰っていました」
「……ん?」
土方さんがぴくりと表情を固める。
「え?」
「それは空想じゃなくて実際のことなのか?」
「あ、はい。私の故郷で、クリスマスといって贈り物とかご馳走を用意して、お祭りみたいに過ごす日があるのは本当です」
「…いつ?」
「えっと、25日…今日ですね」
私が答えると、土方さんはどこかばつが悪そうに、僅かに苦い顔になった。
「……何も用意してない」
「え?」
「俺は今日何も用意してない」
気まずそうに低く唸る声に、私は首を傾げる。はたと、私にプレゼントを用意していないことを気にしているのだと気付き、慌てて手を振って見せた。
「そんな…!何も無くていいです。というか、当然ですよ!ここではクリスマスなんて風習が無いこと分かってますから。だから土方さんは何も気にしないでくだ……」
「…来年」
「はい?」
「来年は必ず用意する」
はっきりと告げられた言葉にぴたりと止まる。
「…え、本当に?いいんですか」
口を噤んでお酒を呑む土方さんをじっと見ると、彼は視線は合わせないままぼそりと言う。
「大切な人に贈るものなんだろう?」
言われた意味がじわじわと染みて広がる。大切な人。そう思ってもらえたことに感激して胸がいっぱいになる。
「あ、ありがとうございます。嬉しいです」
顔を赤らめた私の隣で、土方さんもどこか恥ずかしそうに目線を落ち着かなくさせている。
「あの、土方さん」
「…なんだ」
勇気を出して控えめに袖を引くと、土方さんがちらりとこちらを見てくれた。
「私、土方さんが贈り物をしようとしてくれることももちろん嬉しいんですけど、実はもっと嬉しかったことがあって…」
「ん?」
何のことだと問うように土方さんが眉をひそめる。
「一年後のクリスマスも私と一緒にいてくれるつもりなんだって、そのことが凄く幸せで…」
表情を動かさないまま黙って話を聞いている土方さんとは逆に、私はふにゃりと口元が緩んでいく。
「来年の約束だなんて、何よりも一番嬉しい贈り物です」
ただでさえ明日がどうなるかも分からないこの時代に、新選組副長の土方さんが、一年後に会う未来の約束を私にしてくれた。彼に深い意味があったのかは分からないけれど、そう言ってくれたことは何よりも貴重で、幸せなこと。
「…だから、楽しみにしています。ありがとうございます」
私はもう一度、噛みしめるようにお礼を伝えた。
「……ああ」
ごつごつとした大きな掌がぽんと頭に置かれる。柔らかな表情を浮かべている土方さんは、私の思いを汲み取ってくれたのかもしれない。
イルミネーションも、ツリーもケーキも無いクリスマス。けれども、大切な人が隣にいてくれて、来年の約束もしてくれて。私は土方さんにそっと寄り添い、温かな気持ちでその夜を過ごした。
終
(高杉さーん!!お待たせしました!)