―『美男〈イケメン〉宮廷〜麗しき4人の皇子たち〜』―
「時間差の吐血」に宿る、
第四皇子という人物
― あの一撃は、ただの演出ではなかった ―
中国ドラマ
『美男イケメン宮廷麗しき四人の皇子たち』
体術で第二皇子に胸を打たれた第四皇子。
その場では踏ん張り、
平然を装ってそのまま動き続ける。
――そして、だいぶ経ってから吐血する。
初めて見たとき私は、
「こんなこと、実際に起こるの…?」
と正直思った。
ドラマ的な“演出”だと感じていたから。
調べてみて驚いた。
これは現実でも
十分に起こり得る症状だという。
胸への強い打撃によって
- 肺や毛細血管が傷つき
- 内部でゆっくり出血が進み
- 数時間後や半日後に
咳や吐血として現れる
という経過をたどることがあるらしい。
つまり、
「その場では耐えて、
後になって吐血する」
というのは、
かなり現実に近い表現だったんです。
それを知ったとき、
ただの驚き以上に、深い感動を覚えました。
なぜなら、この描写。
単なる“リアルな負傷演出”で終わっていない。
その症状の出方そのものが、
第四皇子の人物像を語っていたから。
彼は、
- 痛みを表に出さない
- 周囲に弱さを見せない
- 役目を最優先して、限界まで耐える
そんな人物。
直後に倒れれば、
「怪我をした皇子」で終わる。
でも、
あえて“時間差”で吐血させたことで、
**彼が「誰にも言わず、
無理を重ね続けたこと」**が、
一目で伝わる。
傷は、その瞬間ではなく、
- 気丈に振る舞う時間の積み重ねの中で
- 誰にも気づかれないまま
- 静かに深くなっていた
そしてついに、
身体が限界を訴えた。
この演出は、
ただのドラマ的な誇張ではなくて。
むしろ、
医学的リアルさを使って、
“忍耐の人・第四皇子”を描き切るという、
極めて計算された演出
だったのだと思います。
今までいろいろな
時代劇やラブ史劇を見てきたけれど、
- ケガは「すぐ倒れる」
- 血は「突然吐く」
- そこまでの過程は描かれない
というパターンがほとんどでした。
でも、この作品は違って
- 痛みをこらえる時間
- 誰にも言えない我慢
- 役目を優先する選択
それら全部を
**「時間差の吐血」という
一瞬に凝縮して見せた。**
だからあの場面は、
ただ辛いだけじゃなく、
胸に残って、忘れられない。
第四皇子は、
- 勝つためなら人を駒にすることも
できたはずなのに - それを選ばず
- 人を守りたい想いを抱き続け
そして、
人を守るために、
自分を壊していく人物だった。
時間差で吐血するあの描写には、
- 彼の優しさ
- 強がり
- 無理をする性格
- 自己犠牲の生き方
そのすべてが、
静かに、しかし確実に刻み込まれている。
「ちゃんと表現されていたんだ…」
そう気づいたとき、
このドラマの見方がまた一段、深くなりました。
ただ泣けるシーンではなく、
“人物史詩”の一場面だった。
そして私はますます、
第四皇子という人を、
愛さずにはいられなくなっています。
最後までお読みいただき
ありがとうございます。
ドラマを楽しむ一助となれば幸いです💕
