謹賀新年（寒中御見舞）

　今年の年始はいかがお過ごしでしょうか。

　さて、早速ですが、年始の社会的な話題の中から、今年特有のものを中心に、いくつか取り上げたいと思います。

（１）世界の情勢

　世界情勢は、①ロシアのウクライナへの侵攻、その背景としてあるロシアと北大西洋条約機構（＝NATO。もともとアメリカ等が東西冷戦時代にソビエトに対抗するために設置した軍事同盟で“東方拡大”を進めてきた）間の対立、②北朝鮮による軍事力の強化を目的とした弾道ミサイルの発射問題（ちなみに、世界の軍事力ランキングは、１位アメリカ、２位ロシア、３位中国、４位インド、５位日本、６位韓国、・・・３０位北朝鮮で、北朝鮮は軍事力強化を目的とした「国防５か年計画」を策定）、③イスラエル軍によるパレスチナのガザ地区(この地域は従来から土地を巡り、人種・宗教間の対立紛争があり、最も解決が困難とされる)への侵攻等の問題があり、2024年も継続することが想定されています。

　長期間にわたり多数の方々の命が犠牲となっている現状には心痛みます。世界的思想家の１人イエス・キリストの主要な発言の１つに「敵をも愛しなさい」という教えがありますが、一日も早い世界平和が訪れることを祈ります。

（２）国内の新年

　国内では１月１日午後４時１０分、石川県能登半島地域を震源とする震度６～７の地震と津波により、多数の建築物等の倒壊や死傷者が出ました。阪神淡路大震災から約３０年が経過しているにもかかわらず、建物の倒壊や圧死者が出る等、未だ十分な対策が執られていない日本の実情を目の当たりにしました。（若干余談も含みますが、憲法論から。日本の憲法解釈は、旧憲法は伊藤博文によるドイツ思想をベースにした解釈がなされました。他方、現憲法は、本来アメリカ思想を基本とした解釈が自然であり、例えば、国民主権については、リンカーン流の”人民の人民による人民のための政治”といった解釈が導入されてもよかったところ、東京大学（美濃部達吉→宮沢俊義→芦部信喜の本流）により、フランス思想をベースとした、特に”フランス革命”を象徴とする解釈が固守し続けられています（『ほんとうの憲法』(ちくま新書)参照）。この思想からは、「四半世紀以上にわたる国家政策・予算について、軍備増強等よりも個人の生命や人生を大切にする震災対策にもっと重点を置くべきだった。」と言われることになります。）

　震災により命を落とされた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々の皆様には心からお見舞い申し上げます。長期戦が見込まれる中、現在、国内外からの各種支援により復旧活動が進められています。私自身もできることは支援していければと思います。

（３）関西とその近郊

　他方、今年関西各地では、①商売繁盛や家内安全等を祈念して、えびす宮総本山である兵庫県の西宮神社、大阪の今宮戎神社、京都のえびす神社をはじめ、数日に渡り夜通しの「十日戎」が開催され、特に今宮戎神社の”宝恵駕(ほえかご)行列”の４年ぶりの実施が話題になりました。また、②神戸では、ルミナリエが４年ぶりに(１月１９日～２８日の間)開催されるとともに、③ポートタワーの改修も終わり２年ぶりに点灯し、春からはリニューアルオープンが予定されています。さらに、④福井では今年３月１６日、北陸新幹線が金沢から敦賀まで延伸開業し、それに伴い観光施設のオープンなどが目白押しのようです。

　これらの明るい行事は、多くの人にとって心身の活力源となっているように思われます。

（４）琵琶湖周辺（レイクサイド）

　琵琶湖では年始に、①大津の瀬田川でのボート初漕や、②皇子が丘での弓道初射会が行われ、また、③守山の琵琶湖岸では京都の空手団体により、彦根では大学空手部により寒稽古が行われ、④各地では成人式等も盛大に開催されるなど行事も復活し、⑤特に、私立近江高校が全国高校サッカー選手権大会決勝で準優勝をおさめたことは、地域に夢と希望をもたらしました。

　また、各地で開催中の新春駅伝をはじめ、今夏パリで開催されるオリンピック・パラリンピックや、来年の地元国体に向けて、選手や愛好家の方達は、日々継続的にトレーニングを行われています。

　さらに、今年のNHKの大河ドラマ『光る君へ』は、源氏物語や紫式部が主題となるため、特に石山寺や京都のゆかりの地では盛り上がり、ゆかりの地を巡るツアーなどの観光プランも組まれているようです。

　これらのことは、近隣に活気を与えています。

（５）情報ツールの普及による各種の変化

　最近は、情報ツールが普及したことにより、各種の変化がありますが、①特に年始では、年賀状を辞退する「年賀状じまい」が進んでいるようです。また、②昭和の家庭には常備されていた『家庭の医学』も、累計発行部数３３０万部を超えたようですが、約５０年の歴史を終えて絶版となり、WEB版に切り代わりました（みんなの家庭の医学 WEB版 (kateinoigaku.jp）。

　情報へのアクセスが容易になったため、かつては希少とされていた内容も、今では一般的なものへと様変わりしました。

（６）新紙幣、新NISAの登場と金利上昇

　今年は上半期に新紙幣が発行され、１万円札は福沢諭吉から渋沢栄一に、５千円札は樋口一葉から津田梅子に、千円札は野口英世から北里柴三郎に、それぞれ変わることが予定されています。

　また、近年は、老後資産の形成のための”投資”が勧められてきましたが、今後、長寿命化が進むことにより、老後のライフスタイルも変化していくことは必至であり、貯蓄・年金依存型から、高齢長期労働型に変わりつつもあります。そのような中、今年から実施される「新NISA（小額投資非課税制度）」(新しいNISA ：金融庁 (fsa.go.jp))が注目されています。

　これらのことも起因して、今年は金利の上昇も予想されています。

　年始の社会的な話題の中から、今年特有のものを中心に、若干取り上げてみました。このようにして見ると、多くのことが新たな転換点を迎えていることが伺われます。

（７）抱負等

　今年2024年は、”甲辰”という年で、龍の伝説による活気にあふれる年となるとも言われています。道教や易経の思想では、生存するためには、常に変化し続けることが必要であると考えられています。これは仏教の無常観とも相通じるものがあります。

　さて、私は最近は、今後の職の進む方向について考えたり、日本人としての精神の源泉、伝統文化とされる古典文学にふれたり等しています。人生は「人のためになることをしなさい」とか「自分の学びを活かして、自分らしくしたいことをするのが良い」と言われ、また、「大切な人、気の合う人と長い時間を過ごせることが一番よいことだ」とも言われ、このような価値観が唱えられます。今後、長期労働時代を迎えつつある中で、自分にとっては折り返し地点です。日々食事をする度に、自分が他の生命によって今を生かされていることが想起され、「社会のため、人のため、生き物のためになることが出来ているだろうか」と自然と自問自答されます（もちろん「生きているだけで尊いことである」とか「誰一人不要な人は存在しないのであって、全ての者が精一杯生きられるような社会を作っていかなければならない」という価値観は、大切にしたい素晴らしい価値観として肯定しています）。また、昔から私は僅かながらの冒険家的気質もあるため、少しのリスクがあっても、貴重な残りの人生で社会的に取組みたいことは沢山あり、その機会が得られる状況も沢山あります。社会環境もそして自分自身も、世の中全てが”変化”していく中で、これからどんなことをどうしていくのがよいか。このようなことを考えて過ごしています。

　今年が皆様にとって、素晴らしい年となるようお祈りいたします。