来週にお正月(旧正月・陰暦の1月1日)を控えている韓国では、今が年末といった雰囲気で「正月準備」のためになんとなく気ぜわしい雰囲気です。


さて、しばらく歴史についての紹介が続いたので、今日は小学校の数学について少し紹介してみます。


たとえば、5年生の数学の教科書の内容はこんな感じ。


 ※ちなみに、韓国の小学校は、全国統一教科書を使用しています。


<1学期>


1単元:倍数と約数


2単元:模様づくり


3単元:約分と通分


4単元:直六面体(立方体)


5単元:分数の足し算と引き算


6単元:平面図の周囲の長さと面積


7単元:分数のかけざん


8単元:問題解決の方法探し(さまざまな応用問題)


<2学期>


1単元:少数のかけ算


2単元:分数のわり算


3単元:図形の合同


4単元:少数のわり算


5単元:図形の対照


6単元:面積と重さ


7単元:資料の表現(グラフ、統計)


8単元:問題解決の方法探し



うちの学校の場合は、各学期、中間試験で1~3(4)単元、期末試験で4(5)~7(8)単元という範囲で試験を受けることになります。


学校の試験でどのくらいのレベルまで出題されるかということなんですが、たとえば以下の問題は、人気の高い問題集の一つである、천재교육(天才教育)の『우등생 해법수학(優等生 解法数学)』に掲載されている問題です。



ソウルの教育ママ


2単元:模様づくり 「既出問題で単元評価」


問題のレベルに、上・中・下とランク分けがしてあるんですが、たとえば中レベルの問題として、


11番:右のような模様のピースで、次の図形を覆おうと思います。ピースは全部で何個必要ですか?


12番も同じような問題ですね。


また、同じく中レベルの問題として、


14番:色紙を左のような長方形に何枚か切って、右側の長方形を次のように覆いました。□の中に当てはまる数字を書いて入れなさい。




ソウルの教育ママ

上級レベルの問題になると、たとえば


19番:左の模様を回転させながら、つながっている模様を作ろうと思います。(ㄱ)に当てはまる模様はどれですか?


20番:直角を伴った2辺が、それぞ6cm、4cmである直角三角形模様の折り紙で、一辺の長さが12cmである正方形を覆おうと思うと、折り紙は何枚必要ですか?



さらに上級レベルになると、「叙述問題」というのが出てきます。これは、解答を導き出すまでの過程を書かせるというものですね。


たとえば、この2単元の叙述問題としては以下のようなものが出題されています。



ソウルの教育ママ


2番:次の模様は、右側の模様をどのように動かしてつくったものであるか、解法過程を書いて、答えを求めなさい。




ソウルの教育ママ


4番:左側のような長方形の折り紙で、右側の長方形を隙間なく覆おうと思います。折り紙は全部で何枚必要か、解法過程を書いて、答えを求めなさい。


この「叙述問題」が、数学が苦手な子になると顕著に弱くなってしまうんですよね。なにしろ、いわゆる「数学概念」だけじゃなく、国語力が必然的に必要となってきます。



こちらで数学塾に通うと、これらの問題を解くわ解くわ。


そもそも、塾のシステムが週5日(月~金)が基本ですから、毎日1時間みっちり問題を解いて、さらに問題集のページ数にして10ページぐらいの宿題が出たりします。


「数学英才児」入試合格を目指す、超ハイレベルの塾になると、塾で1時間半~2時間勉強した後、さらに宿題が応用問題40題とか聞きますから、なんというか全体的に「解く量」がものすごく多いんです。


でも、これは1~2年生の基礎固めの時期には、けっこう有効です。


韓国でも、ふつうは「塾は3年生からでいい」と考えるお母さんたちが多いんですが、うちの長女が何でもやりたがりで、小学校入学と同時に、自分で「塾に通いたい」と言い出し、(たぶん友達の影響です。幼稚園時代の仲のいい友達が、みんな幼稚園時代からバリバリ塾に通ってましたし、もちろん入学後も塾に通ってましたから)結果的に、英語と数学塾に通ったんですが、これがすごくよかったんです。


低学年のこの時期に、最初の単純なたしざん、ひきざん、かけざん、わりざんを多量にこなすことで、計算が速く確実にできるようになり、さらには、文章題のパターンに慣れることができ、これで数学の基礎がものすごく固まりました。


長女はその後、3年生、4年生の時には、天才教育主催の全国数学競試大会で金賞を取り、一度は、金賞受賞者の中でも、全体の上位3%に入る子たちが参加できる全国大会というのにも出場しました。(このレベルは、それこそ超ハイレベルの叙述問題ばかりで、とても太刀打ちできなかったようですが)


おかげで、4年生の2学期あたりからは塾をやめて家庭での自主学習に切り替えた後でも、学校の試験はまったく問題なく高得点を取れるようになりました。


これは私としてはまったく予測してなかった「塾の効果」で、次女も2年生から数学塾に通わせたのですが、こちらもやはりヒットで、これで数学の基礎力がものすごくつき、国語が苦手で学校の試験で苦戦していた次女は、「数学で100点が取れる」という自信を塾を通してつけたことで、勉強全体に意欲を持つことができるようになりました。


こちらも、長女と同様に4年生の2学期あたりから塾に通うのを嫌がるようになり、(週5日通うって、けっこうたいへんなんです…)家庭での自主学習に切り替えましたが、おかげで数学については底力があるので、試験勉強は他の科目に力を入れられるために助かります。



韓国って数学に力を入れている国で、「数学競試大会」といったようなものが多数存在し、参加する子どもの数も多いです。多くは、前出の「天才教育」などの民間企業主催のものですが、なんとうちの小学校には学校主催の「数学競試大会」が1学期末、2学期末とあり、こちらは全員参加です。


大会の時期が、各学期共に期末試験の1週間後なんですが、この大会のレベルというのは、単に学校の授業をまじめに受けているだけではとうてい入賞など狙えません。問題集レベルでいうとと、「深化」レベル、あるいは「競試用」問題集を別途に解かなければならないんですが、問題は、それらの問題を決して学校では解かないということです。


学校では教えていない問題で全校生徒が試験を受けるわけですから、これはもう「私教育」が大前提ということになってしまいますよね。


このへんがどうも理解に苦しむとこなんですが…。


で、実際、塾に通っていれば、このレベルの問題まで訓練するので、入賞する確率は高いです。逆に言うと、自主学習だけで入賞できる子は、よほど数学的能力が高い子ですね。


ちなみに、競試大会の問題例は以下です。(実際の試験問題は、家庭には返されないので分かりません。こちらは問題集です。これは5年生用)



ソウルの教育ママ

28:次の数式が成り立つように、□の中に +、-、×、÷ を当てはまるように書いていれなさい。




ソウルの教育ママ

24:次の長方形の色が塗られた部分の面積はいくらになりますか?



                     ソウルの教育ママ

30.1から9までの数を一度ずつ使用して、次の計算に合うように4桁の数と5桁の数をそれぞれつくろうと思います。4桁の数を最大にする時、二つの数を求めなさい。




こういう問題に取り組むのは、数学力向上という意味ではいいことなんでしょうが、せめて学校で一度は教育するか、(最低、試験後の解法説明でもいいです)あるいは、希望者のみが参加することにできないかな~と思います。


全員参加にすると、ただでさえ数学が苦手な子など、ますます意欲を失いますよね。(^_^.)


数学だけでなく、うちの学校は読書評価システムにしても、英語スピーチ大会にしても、その他、能力検定試験にしても不思議なことが多いんですが、どうやら、それはうちの学校がソウル西部教育庁の「試験学校」だということで、いろいろ教育庁の実験台にさせられることが多いからみたいです。


新しいものを導入する時に、とりあえず試験校で試して様子を見てから…ということですね。


なので、父兄がいろいろ意見を言っても難しいところがあるみたいですけど。


それにしても、「???」ということたくさんありますよ~~!(^o^)丿



韓国では大学入試の要は、「国、英、数」と言われており、数学に対する意識がほんとにものすごく強いんですが、いやはや、まあこんな問題を毎日解き続けているのが韓国の小学生たちです。(まき)






★同じ建物に住む中学生のお姉ちゃんが、次女にくれたG-Dragonのポスター。携帯広告用。




ソウルの教育ママ