携帯電話から放射される電磁波などが、ミツバチの減少に影響を与えている可能性を示唆する研究の発表について、先週CNNニュースに掲載されていました。
みなさんは、ミツバチの減少問題をご存知でしょうか。
昨年の夏、「いま、世界中のミツバチが、沈黙の警鐘を鳴らしています。」という大きな見出しの入った新聞の全面広告(山田養蜂場)を見て、私はこの問題を知りました。
その時の文面を一部引用させていただくと、
―ある日、巣箱を開けると中にいるはずの何万匹ものミツバチが忽然と姿を消している。女王蜂と幼虫と大量のハチミツは巣に残されたまま、ミツバチの死骸さえ見当たらない。―
忠誠心に富み、組織を大切にするミツバチの習性からは考えられないこの衝撃的な現象がいま、世界中で起きています。
蜂群崩壊症候群(ほうぐんほうかいしょうこうぐん)またはCCD(Colony Collapse Disorder)と呼び、2007年春までに欧米では4分の1のミツバチが消えたとも言われています。
↑引用ここまで
このような内容で始まり、もしミツバチがいなくなったら、世の中にどれほどの影響を与えるかにも触れていました。
ミツバチの恵みはハチミツだけでなく、イチゴ、さくらんぼ、リンゴ、スイカ、かぼちゃ、きゅうりなど、花から花へ飛びまわるミツバチの受粉(花粉媒介)によって生まれる農作物も恩恵を受けており、もしミツバチがいなくなったら、多くの果物や野菜は自然には実らなくなります。
また、私たち人間だけでなく、地上の多くの生き物はミツバチを含む訪花昆虫の花粉媒介によって命の鎖をつないでいます。
人間は生態系の一部にしかすぎず、このような微妙な生態系のバランスが崩れた時、命の鎖は途切れ、共に人間も滅びていく運命が待っていると訴えていました。
イギリスの研究機関によると、イギリスでは昨年17%減少(みつばち)、アメリカ農務省によるとアメリカでも30%近く減少しているそうです。
現在、CCDの原因としては、寄生ダニの存在や農薬、気候変動の影響などが指摘されていますが、インドのパンジャブ大学の研究者は、携帯電話もCCDの原因の1つではないかと考えています。
ミツバチの巣に携帯電話を取り付け、1日2回、15分ずつ電源を入れる実験を3ヶ月間続けた結果、ミツバチは蜜を作らなくなり、女王蜂の生む卵の数は半減し、巣の大きさも大幅に縮小したらしいのです。
また、英国の生物学者、アンドリュー・ゴールズワーシー氏は、ミツバチの方向感覚のもとになる青色受容体が携帯電話の電磁波や基地局の影響を受け、感覚を失い巣へもどれなくなると指摘しています。
同氏は英国情報通信庁に、ミツバチを混乱させないために電話で使用する周波数を変更するよう提案されたそうですが、携帯電話業界団体は、これまでの研究で指摘されているCCDの原因に電波の影響は含まれていないとしており、英国サセックス大学の専門家も、電波がミツバチに与える影響はまだ明らかにされていないと語っているそうです。
現在、携帯電話の電磁波については、さまざまな影響が問題視されながらも、研究者の間で一致した見解がなく、明らかになっていません。
しかし、がんや脳腫瘍との関係を指摘する研究もあり、先月は、サンフランシスコで携帯電話の電磁波量開示を義務化する法案が制定される見通しとなりました。
制定されれば、アメリカの市としては初めてになりますが、携帯電話業界は、携帯電話の電磁波が人体に害を及ぼさないことは科学的に示されていると反論しているそうです。
最近、国際調査「インターフォン」は、携帯電話使用と脳腫瘍の関係について因果関係はみられないと結論付けましたが、一部の専門家は、「インターフォン研究は人々に根拠のない期待を抱かせる」と主張し、その調査方法には問題点があると厳しく指摘しています。
そのような中でのアメリカでの法案可決は、人間の心の奥底に潜む危機感の現われなのではないかと思いました。
ある専門家は、「携帯電話をすべて廃棄するべきなどとは思わないが、消費者はこうした研究の見出しだけ読んで安心してはいけない。10年後に『なぜ言ってくれなかったのか』と後悔してほしくない」と話しています。
多くの環境問題は、長い時間をかけて少しずつ現われてきます。
情報のアンテナを張り巡らせてよりよい選択をし、人にも地球にもやさしい環境を目指したいですね。
ちなみに、みつばちは数字で表すと3です。
3は、世界に創造性とエネルギーを与える数字です。
振り返ってみれば私たちは、みつばちに大変お世話になっているんですよね。