28歳からのNY留学 -2ページ目

racism still exists...


  14日、ニュージャージーのWAL-MARTで、
  何者かにより「黒人の客は全員出て行け!」というアナウンスが流れた。
  WAL-MARTは謝罪の声明を発表し、詳細を確認中。



新聞でこの記事を読んでびっくり。

事件が起きたWAL-MARTは、
ニュージャージーに住む知り合いBobの家の近くにあって、
遊びに行くたびに買い物に連れて行ってもらう店舗だったからだ。


去年も、自分の家の鍵をなくしてドアをこじ開けようとした大学教授が、
泥棒と間違えられて通報、逮捕されるという事件があったが、
自分の知っている場所でこういった事件が起こると、
やはり、より一層、身近に感じるものである。


黒人の大統領が登場してもなお、
この国に根強く残る人種差別。

多民族国家の複雑さを再認識した出来事でした。


Christo and Jeanne-Claude

私がクリスト&ジャンヌ・クロードに興味を持ったのは割と最近で、
『議事堂を梱包する』という映画のプレビューで彼らのプロジェクトを目にしたとき。
そのときは、「面白いことをする人がいるもんだなぁ」と思っただけだったが、
2005年、NYに旅行した際、
彼らが、セントラルパークにサフラン色の布で作った門を並べるプロジェクトをやると聞き、
是非見てみたい!と思ったことを覚えている。

残念ながら少しタイミングが合わず、
作品を見ることは叶わなかったけれど、
それ以来、心のどこかに引っかかっている、そんなアーティストだった。


時は流れ、昨秋、日本人女性監督の撮ったドキュメンタリー映画が話題だと聞き、
見に行った「Herb & Dorothy」。

郵便局員のご主人と図書館司書の奥様が、
自分達の給料で買える範囲で集めた美術品が、
数十年の間にかなりの価値を持つようになったが、
それらを美術館に寄贈するという内容の作品。

2人のコレクションの中には、
クリスト&ジャンヌ・クロードの作品も含まれており、
彼らもインタビューを受けていたのだ。


久しぶりに彼らのことを思い出したその直後、
新聞でジャンヌ・クロードの訃報を知る。
そして、つい先日見に行ったアートショーで、
クリストのドローイングを見て、その想像力に圧倒される。

自分でも気付かぬうちに、彼らの作品やニュースが目に留まり、
何か、見えない糸で引っ張られているような錯覚さえ覚え、
彼らのことを少し調べてみた。


 * * *


クリストとジャンヌ・クロードの2人は、1935年6月13日、
奇しくも同年同月同日に生まれる。
クリストはブルガリア出身だったが、
社会主義政権化での表現活動に限界を感じ、
亡命した先のフランスで肖像画家としてギュボン公爵家に雇われる。
そして、公爵の娘、ジャンヌ・クロードに出会う。
ジャンヌ・クロードは、一度は同じ身分の男性と結婚するものの、
3週間後には、一文無しの亡命者クリストの元へ。
2人の間に生まれた息子と3人、ミニバンでヨーロッパ中を寝泊まりしたり、
宿に泊まるお金もなく、家族で売春宿に泊まったこともあった。
1962年、クリスト初の個展がNYで開かれるも、航空券すら買えず、
その2年後の1964年、一家はNYに移住する。
亡命者であるクリストは、国籍も市民権もパスポートもなく、難民手帳のみを持って渡米。
放置された工場に住みつき、不法滞在の後、クリストはアメリカ国籍を取得。


 * * *


波乱万丈な人生であることは間違いないが、それだけでは終わらない。
壮絶なバックグラウンドから生み出される作品は、どれも強烈で、美しい。

自分達の創作の自由を守るため、
作品の製作に必要な資金(数十億!!)は、一切の援助・寄付を受けず、
クリストのドローイング、コラージュ等を売って調達。
また、計画地の選定、資金調達、作品の設置許可・交渉等、
作品の構想から完成までには20年以上かかることも。
そして、それだけのお金と時間をかけて作られる作品は、
たった2週間ほどの期間で姿を消し、誰の所有物になることもなく、
写真や映像のほかは、人々の記憶の中にのみ残る。

かつて、大学で建築を専攻していた頃、
「建築物の素晴らしさを味わうには、自分の足を運んで、空間を体験しないと意味がない。」
と教わったことがあったが、
クリスト&ジャンヌ・クロードの作品は、
さらに、≪タイミング≫という要素も加わってくるのだ。
≪そこ≫に≪そのとき≫自分がいるからこそ味わえるアート。
たまたま目にする人もいれば、地球の裏側から足を運ぶ人もいる。
感じ方は100人いれば100通りで、正解はない。
この偶然性や刹那性も全て含めて、彼らの作品なのだ。

ちなみに、現在進行中のプロジェクトは、コロラドのアーカンソー川を覆うものと、
アラブ首長国連邦のアブダビにマスタバ(墳墓)を作るもの。
現在74歳というクリストの年齢を考えると、
どちらかひとつだけでも、是非自分の目で見てみたいと思った。
(まだまだご健康のようですが、プロジェクト実現にかかる年月が長いので。)


 * * *


昔からアートやデザインは大好きだったが、
NYに来てから、今までよりも一層アートに接する機会が多くなった。
そんな中、ご縁あって彼のプロジェクトチームの方と、
ほんの少しだけどお話できるチャンスがあった。

現在、六本木にある『21_21 DESIGN SIGHT』で、
彼らの特別展、『LIFE=WORKS=PROJECTS』を開催していて、
そのレクチャーなどで日本に滞在していたこと。
日本には、20年前の『アンブレラ』プロジェクトで訪れて以来何度も通っていて、
日本の田舎の風景も、日本食も大好きだということ。

そして、今週末27日(土)に行われる、『六本木アートナイト』の一環で、
『21_21 DESIGN SIGHT』がオールナイトで開館し、
23:30から、NYのクリストとskypeを使って話すイベントを行うこと。
「是非日本のお友達にも宣伝しておいてね。」と言われたが、
私が宣伝するまでもなく、きっとすぐに満席になってしまうことだろう。


興味のある方は、是非skypeのイベントでクリストとライブで話して頂きたいが、
そうでない方も、この特別展は是非、見に行っていただきたい。
彼らの生き方や信念、アートの面白さはもちろん、
想像をかたちにする力、夢を実現させる力というものを、きっと感じてもらえると思うから。
そして、互いに最高のパートナーであった彼らの、愛があふれていると思うから。


28歳からのNY留学-christo

 ・Christo and Jeanne-Claude-公式サイト  (過去の作品が見られます)
 ・21_21 DESIGN SIGHT  (特別展詳細はこちら)



Census 2010

アメリカで行われている、10年に一度の国勢調査“Census”は、
1790年に開始された、地方交付税の配分や国会の議席数を決めるための人口実態調査。

10年に一回ということで、宣伝もかなり気合いが入っていて、
TV広告はもちろん、日本人向けのフリーペーパーに日本語の広告が出ていたり、
一週間前にはポストにお知らせの手紙まで入っていた。
ユニオンスクエアにも、こんな大きな広告が!


28歳からのNY留学-census2



ちなみに、回答しないと調査員が家に来るらしい。
で、実際届いた調査用紙は、コレ↓

28歳からのNY留学-cecsus



記入して返信するようになっているのだが、
内容をチェックして、びっくり!
日本の国勢調査と比べて、質問が少なすぎるのだ。


項目は、以下の通り。

 1. アパートに住んでいる人の数
 2. 2010年4月1日付で、1.に含まれない他の人物はいるか?
 3. この家は、持ち家?借家?ローンはある?家賃は払っている?
 4. 電話番号
 5. 姓名
 6. 性別
 7. 年齢と生年月日
 8. ヒスパニック系、ラテン系、スペイン系?
 9. 人種
10. 別の場所に泊まったり住んだりするか?

そして、質問5~10は、世帯主以外の分も記入欄が用意されている。


アメリカでは、実質スペイン語が第二公用語になっているので、
8の質問は、公共機関等で使用する言語のために、
スペイン語を読み書きする人の人口を調べたいためだと思うが、
9に関しては、かなり謎・・・。

選択肢が、白人、黒人、アメリカンインディアンまたはアラスカ先住民、
アジアンインディアン=インド人、日本人、ハワイ先住民、中国人、韓国人、
グアム島人またはチャモロ人、フィリピン人、ベトナム人、サモア人、
その他のアジア人、その他の太平洋諸島系人、その他、の順に並んでいる。

アジア人の選択肢は細かいのに、白人と黒人というのはザックリしすぎでないかい?
中東の人とか、白人と黒人のミックスなんかはどれを選ぶんだろ?
仮に、各言語を話す人口を調べたいとしても、
白人といっても、ロシア人もいれば、フランス人もいる。
そして、選択肢は、人口比率の順に並んでいるわけでもなければ、アルファベット順でもない。
何、この無秩序さ。いったい、何が知りたいの?って感じ(笑)。

日本だと確か、職業とか年収とも聞かれる代わりに、無記名式だったような。
しかも、人種の選択肢とか、こんなにたくさんないんだろうなぁ。


公式サイト もさすが!という感じ。
概要説明の言語も60ヶ国語近く用意されているし、
  米国における在留資格については質問されません。』
という文章が。

それ、不法滞在者がいるっていう前提で、話を進めてるやん(笑)!!
だから収入も聞かない(聞けない?)のかも?

各種ビザの発給が、かなり厳しくなってきたと聞きますが、
既に国内にいる不法滞在者に対しては、かなり懐が大きいです、この国。
ま、NYなんかは特に、不法就労者がいてナンボの経済構造だしね・・・。


国勢調査というのは、国によっても実施年度によっても質問項目数、内容が違うそうで、
アメリカに関して言えば、前回、2000年の調査時にはなんと、53項目もあったらしい。
どういった質問が削られたのかは気になるところだが、
今回の質問3 ローンの有無というのはもしかしたら、
サブプライム問題の影響を受けているのかもしれない。


そんなこんなで、さくっと記入も終わったので、散歩がてら投函しに行ってきまーす。

ATTILA@MET

今日は、メトロポリタンオペラにて、
約1ヶ月ぶりのオペラ鑑賞。
朝から一番乗りでRush Ticketの列に並び、
オーケストラ席5列目の超良席を、たった$20でGET!!

演目はVerdiの『ATTILA(アッティラ)』。
今年から始まったプロダクションで、
PRADAのオーナー兼デザイナー、
Miuccia Prada(ミウッチャ・プラダ)が衣装デザインを担当し、
PRADA青山や、北京オリンピックメイン会場の“鳥の巣”を設計した、
Herzog & de Meuron(ヘルツォーク&ド・ムーロン)が舞台装飾を担当するという、超豪華な内容。


実在したフン族の王、Attilaの物語なのだが、
オペラらしく、愛、裏切り、仇、忠誠心等を織り交ぜた、
突っ込みどころ満載の展開(笑)。

Verdiの初期の作品は歌い手のオペラと言われる作品が多いそうで、
彼が33歳の頃の作品である『ATTILA』もそのひとつ。
舞台の華やかさや視覚的演出よりも、音楽が売りらしい。
実際、知っている曲が1曲もなかったのに楽しめたくらい素晴らしかった。
そして、その理由はすぐに判明した。

指揮者が出てくるたびにやたら大きな拍手が起こると思っていたら、
今日の指揮者は、元ミラノ・スカラ座の音楽監督で、
ポスト・カラヤンの呼び声の高い、Muti(ムーティ)。
今作品がMETデヴューで、しかも今日が最終公演との事。
他の指揮者の『ATTILA』を聞いたことがないので比較はできないけれど、
本当に本当に美しい音色とハーモニーで、
久々に「聴いた~!!」という感じの満足感。
識者が違うとこんなに違うんだ!と実感したのは今回が初めて。
プレーヤー側も、Muti指揮ということで、いい緊張があったのかもしれない。


そして、肝心の衣装、舞台はというと、
正直、奇をてらった感は否めない。
衣装は、モード感たっぷりのダークな色彩が多く、
素材の質感などはこだわっていそうだったが、
遠くから見たらかなり地味な衣装だったに違いない。

舞台は、さすが建築家らしく、
高さを活かした凝った舞台で、とても美しかったのだが、
奥行きがほぼ無視されていて、
舞台が、まるで額にはめ込まれたかのような見え方。
踊りや人物の動きが少ない作品ゆえの結果かもしれないが、
変化に乏しく、途中でちょっと退屈してしまった。


初演ではブーイングが起きたそうで、
“The New York Times”、“New York Magazine”等のreviwでは、
「目を閉じて鑑賞したら最高!」とか、
「指揮者のMutiがいたからこそ、このオペラが成り立った。」等、かなりの酷評。

古典に新しい風を吹き入れることは大切だが、
それがいかに難しいか、このプロダクションでMETは痛感したに違いない。
今シーズンこそ、話題で客が入るかもしれないが、再演時はどうなることやら・・・。


ちなみに、この後PRADA主催のパーティが行われたこともあって、
例のMiuccia Pradaはもちろん、
VOGUEの編集長 Anna Wintour、
R.E.M.のMichael Stipe等も観に来ていたらしい。
VIVA NY!!

そして、何より、こんなに素晴らしいオペラを
$20で楽しませてくれる懐の深さも、VIVA NY!!

daylight saving time

2010年のdaylight saving time、
日本で言うところの夏時間が本日よりスタート。


大学時代、ほぼ毎年春休みに旅行でNYに来ていたのだが、
当時の夏時間は4月の第1日曜日に始まっていたので、
帰りの飛行機がその日に重なって何時に空港に行くべきか困ったり、
知らないうちに夏時間になっていて;美術館が早く閉まって慌てたりした思い出がある。

夏時間の採用はエネルギー消費量の削減という意味合いが大きいこともあり、
エコ意識が強まってきた2007年、
『包括エネルギー法案』の可決により、
開始が4月第1日曜→3月第2日曜日に、
かつ、終了も10月最終日曜→11月第1日曜に変更になったのだそう。


夏時間の開始となる日曜は、
2:00になった瞬間に1時間分、時計の針を進めるのだが、
携帯やPCは基本、自動的に時間を調整してくれる。
とはいっても、街中の時計などはすぐには調整されていないことも多く、
時計を見て困惑することもしばしば。


日本でも取り入れるべきか否かの議論が度々行われているようですが、
個人的には、この制度、なかなかいいと思います。

日の入りが1時間後ろにずれるので、
夏至の頃だと夜9時過ぎまで明るく、
NYでは、春~秋にかけて、ほぼ毎日どこかの公園で、
コンサートや屋外映画上映会、屋外演劇鑑賞会等を行っている。
公の場所では基本的にアルコールを飲めないというのに、
みんなリラックスしてとてもいい雰囲気なのだ。
外出が増える→消費が増える→景気の上昇効果も見込め、
朝は涼しいうちに起きることになるので、電気の消費量も減るそうな。
(まあ、アメリカはどこもエアコン強すぎなので、そっちを見直すべきの気もしますが・・・。)

ただし、仕事中心の生活を送る人にとっては、
単に労働時間が長くなるだけの可能性もあり、
勤勉な人の多い日本でもうまくいくかは、別の次元の話かもしれない。
そして、倹約家の多い日本で、消費大国アメリカと同じくらいの経済効果が見込めるかも謎。
気候や地理的な問題もあるようで、実現するかどうかはまだまだ分からないけれど、
1年か2年くらい試しにやってみたらいいのに、なーんて思うのは無責任すぎでしょうか?