happy-come-come-catさんのブログ -5ページ目

静止した流れに


わたしにふりかかる

容赦ない
たった一つの出来事を

身体中にまんべんなく
広げて
広げて

そうして身動きとれなくなった

その時は

長く
ゆっくり

あるいは心地よく

身動き出来ないこの心すら
静となり
無のようにも思え



しかし必ず中枢は
動き刺激し活動していて

でしゃばることなく
休みなく

わたしに動をあたえつづける


静止したはずの時の流れで

食し
排泄し
眠り
起き

まばたきをし
くしゃみをし
かゆくなり
痛くなり


働き続ける一部分が



いつしか身体に動きを与え

いつしかわたしは
朝の雨を悔しむ

湿潤




指先は やさしく なぞる 爪先で 刻む 印を確かめる


いつかは 滑らかに なるの
その傷跡が 指先に ふれる間だけ その印は あたしのものだと この閉ざされた 部屋の中だけでいい 湿った 声帯が 乾く前に ただ あたしのものだと 音に させて


ひふと
ひふと
触れないところがないように
ひふと
ひふを
すりあわせても

人肌は 温まらない 温度なの?



乾いたひふを なめらかに なぞる
なめらかに なぞられたひふは 適当な 湿度を 保ったまま
それでも あたしを ほんのりと 潤しては

渇かすの






クリムトの夢


指先は
髪をなぞって
頬にふれ
くちびるにふれ
くちびるがふれ

そこからショートした回線は
何も聞こえず
ただ目の前を欲し

ただ目の前の指先に集中し
足の指先に感じる不思議な高揚感
土踏まずの内側から伝わる
上に昇る何かが突き抜けた時

ただ世界は白くって
自分すらもいなくって



その白さは一瞬で
しだいにここに戻ってきたとき

1番最初に見える姿に
また愛おしくなる

すこし湿った肌は
まるで吸盤のように
吸い付くように摩擦が強くて
皮膚が痛くなるほどに
その痛みが幸せで

この湿度は心地よい
いま感じる匂いはただひとつだけで
あなたとわたしはおなじ匂いになった


そうしてうまれた


これぞ生々しい愛









にせものはいらない