山梨県 おいしい学校の試み
世の中が幸せになるような仕組みを持つプログラムを
事例としてお届けする「幸福研究所」
コンセプトワードは「人」「場所」「アイディア」
読んでいて楽しく、思わず参加してみたくなるような
情報を日々お伝えできればと思っています。
※一部画像が荒れているものに関しては別ウィンドウで開き直しての閲覧をお願いします。
---------------------------------------------------------------------------
[第一回]
地元住民と作り上げる参加型観光ビジネスモデル
山梨県北杜市 おいしい学校の試み
DATE -----------------------------------------------------------------------
名称:おいしい学校
住所:〒407-0322山梨県北杜市須玉町下津金3058
電話:0551-20-7300
URL:http://www.oec-net.ne.jp/index1.html
MAP:http://www.city.hokuto.yamanashi.jp/hokuto/access/joy/detail.jsp?lid=203&sid=527
-----------------------------------------------------------------------------
「旧校舎を利用した観光事業」
中央道を都心から走る事2時間。
山梨県の北西部に位置する北杜市は
北に八ヶ岳連峰、南に甲斐駒ケ岳など日本を代表する
美しい山岳に囲まれた静かなで穏やかな土地だ。
周囲に清里・蓼科などリゾート地に囲まれているとはいえ
これといって特別個性を持つ事もないこの場所に
地元と観光客を繋ぐ1つの観光成功事例がある。
おいしい学校
明治時代に建てられ、今は廃校になった木造校舎を
リフォームし、 宿泊施設として再利用している町営施設だ。
館内には地元の食材を使ったイタリアンレストランや
地元野菜の直販、パン工房、温泉などが充実し
併設される大正館では農業体験体験プログラムなど
地元の固有資産を複合的に利用している。
ここがなかなかの繁盛ぶりなのだ。
元学校らしく部屋数は6部屋。町営という事もあり
宿泊価格はハイシーズンでも1人:一泊二食付10000円前後という
低価格さも魅力の1つだろう。
地元色を利用した観光事業は全国に数多く存在するが
なかなか成功する例は少ないといえる。
どこかで見たような企画や施設、お土産物…。
「おいしい学校」の成功体験のキーワードは
施設名に「おいしい」と冠する通り「食」に的を絞ったコンセプトと
その後の継続的試みにある。
「おいしいコンセプト作り」
① 地元食材を中心としたコンテンツ
山梨の農協就業率は8.6%。
ここ北杜市はその倍以上にあたる20.8%で
県内でも第一次産業に就労する率が格段に高い。
「おいしい学校」ではレストランで
出されるメニューに地元の野菜がふんだんに使われている。
実際、地元農家のおじちゃんが軽トラで
地元の野菜を届けに来る風景をよく見かけた。
その土地で産まれた食材をその土地でいただく
「地産地消」の考え方なのだろう。
レストラン横のパン工房は野菜や山菜を使った
地元色の強いパンが焼き上げられ販売される。
館内では地元野菜直売所とともに
宿泊客なら必ず訪れるスポットだ。
また、山梨県はワインの生産地としても名高く
メニューリストには県内産のワインが並ぶ。
都心から訪れたお客様は、旅行に来て
その土地の食材に触れることに満足を感じ、
逆に仕入れに関わる農家の方は、
観光ビジネスに参加する事によって施設に対する理解も深まる。
② 外部の一流シェフによる味磨き
イタリアンレストラン「ぼのボーノ」で味わう料理は
都内有名店「カノビアーノ」シェフ植竹隆政さんがプロデュースする。
定期的にシェフが来校し、ランチやディナーに腕をふるう事で
地方にありながらある一定のレベルを提供し続ける。
HPでもシェフ来校日程が随時UPされ「特別な日」を設定することで
一過性に終わらない宿泊客のリピート促進へと繋いでいる。
何も特別なことをしているわけではなく、ある資産をフルに活用し、
1つ1つの要素を魅力的に繋ぎ足りない部分は外部の力で補足する事で
「おいしい学校」は成功しているといえるだろう。
「あるもので素直に勝負するスタイル」
ただ、「食」に頼るだけで、この施設が運営されているわけではない。
観光地には「食」だけではなく集客に必要なポイントがいくつかある
① 郷土料理
→旅行で訪れた土地を「食」を通して理解するという体験。
② 観光資産(景観、歴史文化、温泉 等)
→その土地の特徴・個性。旅行という非日常空間・時間の提示。
③ 体験学習
→自ら体験し参加することで得られる知識や思い出。
その土地への理解度の促進。
④ お土産
→旅行の一部を持ち帰る行為。その土地の固有性が求められる。
地域観光の失敗は周囲の成功例に流され
その土地の固有性と試みが乖離してしまっている場合が多い。
「おいしい学校」では観光メニューを無理をして生み出すことなく
あるものの中でセンス良く組み合わせ
仕組みに落とす事に成功した、地域観光のビジネスモデルといえる。
「地元住民+観光客で作る地域活性」
宿泊客もさることながら地元住民の利用率の高さも
この施設の特徴といえる。
地方でこのような施設を設立した場合
観光客と地元住民が一緒に
利用しているケースは多いとはいえない。
「おいしい学校」では夕方になると
併設の温泉に地元のみなさんも利用するし
レストランでは宿泊客以外と思われる家族連れが比較的多い。
先にも述べた通り、地元の方がこの施設に対して理解があり
参加しているという意識が強いせいだろう。
運営は自治体であり外部から来た民間企業などではない事が
観光客にばかり目を向ける事なく地元密着となり
「外部からのお客様/地元住民/自治体」の
好バランスをとる役目を果たしている。
その土地の香りが伝えられていない地域は
魅力的な観光地とは言いがたい。
食、温泉、歴史文化、景観、アクティビティ…
魅力的な旅の切り口は千差万別
個人の好みによるところも大きいが
やはり旅する意味は「その土地を知りたい」という
欲求から来ているのだと思う。
そして、観光ビジネスは
地域住民のみなさんと一緒に取り組み、
楽しんで続けられ、
みんなが幸せになる仕組み作りが大切ではないだろうか。
その点において「おいしい学校」は1つの幸せな成功事例なのだ。
出典 -------------------------------------------------------------------------
○おいしい学校HP http://www.oec-net.ne.jp/index1.html
○北杜市役所HP http://www.city.hokuto.yamanashi.jp/hokuto_wdm/html/joy-s/71690004775.html
