たんぽぽさんには

あたたかい土と

恵みの雨が必要で

それはとても近くて優くて潤しくて

なくてはならない存在で


たんぽぽさんは

それだけでは生きられなくて

陽の光を望んでしまうんだ


優しくて強い存在が

すぐ近くにあるのに

陽の光を望んでしまうのは

強欲なのだろうか


土も雨も陽の光も

どうしてもどうしても必要で

決して手放す事など出来なくて


それでも凛と咲きたくて

ここで生きたいんだ

ここで生きていると

心で叫んで咲き誇る


やがてたんぽぽは綿毛になり

優しい風に連れられ身を任せ


それでもまた土に舞い戻る

必ずそこに辿り着く


戻って来るんだよ必ず


そしてまた

たんぽぽさんは望むんだ


あの陽の光が欲しい