年次決算と月次決算はどう違う?
目的から決算方法まで徹底解説
年次決算と月次決算はどう違う? 目的から決算方法まで徹底解説
節税/決算対策
公開日:2020/10/29
目 次
年次決算・月次決算とは
年次決算
月次決算
年次決算・月次決算の意義
目的と意義
活用場面
両方とも作るメリット/作らないデメリット
目的や意義、活用場面の両方の相違点
年次決算の流れ
完了するまでの一連の流れ
注意するポイント
必要書類
月次決算の流れ
完了するまでの一連の流れ
注意するポイント
必要書類
年次決算との相違点・共通点
まとめ
年次決算と月次決算の違いについて正しく理解していますか? 違いを知り、適切に扱うことによって経営に役立てることが出来ます。ここでは、その目的や決算方法の違いを徹底解説します。
年次決算・月次決算とは
年次決算
年次決算は、企業の資金や負債などと照らしてその経営活動と財政状況を1年毎に総括するものです。期末の翌日から2ヶ月以内に作成し、確定申告等の各種書類の提出、証券関係を始めとする各所やステークホルダーに向けた発表と報告、残高や利益等の計算と確認などを行います。そのため、取りまとめる情報が膨大になり、経理部にとっては年一番の仕事と言っても過言ではありません。
月次決算
上記のような業務を、年次決算よりは厳密でない形で月毎に行うのが月次決算です。書類の提出の義務などはなく、扱う情報も少なくなるので毎月のルーティンに組み込まれます。次月の1日に完成できていれば理想ですが、何日かずれこんでしまっても、毎月の方針を決定する会議やミーティングまでに間に合わせれば問題ありません。
年次決算・月次決算の意義
同じような工程で業務を進める年次決算と月次決算ですが、両者は目的や効果が異なります。
目的と意義
年次決算
年次決算は企業のその年における最終発表であり、間違いは許されません。納税額の決定を行う他、企業の内部者は年次決算で明らかになった財政状況を基に、次年度の経営戦略と資金繰りを練ります。また、外部関係者はこの発表を基にその企業への投資や受発注を決定します。そのため、企業の今後の行方を決める上で重要な指針となります。
月次決算
月次決算は、年次決算のように各所で目通しされるようなものでなく、企業の内部で自社の損益状況や事業動向を把握するために作成されるという側面が強いです。その企業が方針を修正する上での参考になります。また、年次決算を一度に全てまとめようとすると大変なので、毎月少しずつ調整しておくという目的もあります。
活用場面
年次決算
その年の総まとめとして、企業とその企業を取り巻く情勢の把握のために活用されます。どの分野が振るわないのか、その年の資金調達は上手くいったのかといった概況を見直すのに適し、企業全体の方向性を決定する根拠となります。
月次決算
対して月次決算は、細かな分析と状況把握を行うために用いられます。例えばある月に大きく売り上げが落ちたならば、何が原因なのか突き止める、その月に何に大きく資金を使ったのかを確認するなどように活用できます。これを基に大局的な戦略の軌道修正することもあります。
両方とも作るメリット/作らないデメリット
年次決算は法律で報告が義務付けられているので作成しないわけにはいきませんが、月次決算に関しては作業コストを理由に作成しない企業もあります。しかし、昨今の時々刻々と移り変わるビジネス界において、月毎の状況を把握しないまま事業を進めるのはリスクが大きいですし、先行きが不透明のままでは指示出しなども上手くいきません。このデメリットを考えると、毎月の面倒さよりも月次決算を作らないマイナスの方が上回るのではないでしょうか。
目的や意義、活用場面の両方の相違点
上記のように、両者には住み分けがあります。概して、期の始めに年次決算で大きな方針を決定し、月次決算を参考に毎月の月間会議などでスピード感を持ってこれを修正するという形で使い分けられます。
年次決算の流れ
完了するまでの一連の流れ
勘定の整理
現金・預金残高の照合、棚卸し、売上原価の算出と売上げの計上、試算表の作成、減価償却、売掛金・貸付金等の確認、見越しと繰延べの処理などを行います。
決算書の作成
賃借対照表(資産と負債の確認)、損益計算書(費用と収益の確認)、キャッシュフロー計算書(現金の流れの確認)、株主資本等変動計算書、販売費及び一般管理費明細書(諸経費の確認)、個別注記表、事業報告書などです。
税金の計算
法人税と消費税が代表的です。他にも、法人住民税、法人事業税等を計算します。
各種書類の準備
法人税と消費税に関係する書類を作成します。法人税申告書、勘定科目内訳書、消費税申告書などがあげられます。
注意するポイント
まずは各種資料の提出期限を確認します。書類により締切りや提出方法、必要添付などが異なりますので、これらに沿ったスケジュールを立てましょう。また勘定の整理は非常に細かくなるため、情報量の多い年次決算の場合は、特に計算違いのないように気を払う必要があります。法人税の税率や、消費税の軽減税率の適用の有無にも注意しましょう。また、年次決算の場合は企業の今後の方針を方向づけるものですので、整理すべきこと、外部関係者に報告すべきこと、良くみせるところ、悪くみせるところなどを、状況に応じて事前に判断しておきましょう。
必要書類
主なものには以下があります。
貸借対照表
損益計算書
キャッシュフロー計算書
株主資産等変動計画書
販売費及び一般管理費明細書
個別注記表
事業報告書
各種税申告書
お問い合わせ
年次決算と月次決算はどう違う?
目的から決算方法まで徹底解説
年次決算と月次決算はどう違う? 目的から決算方法まで徹底解説
節税/決算対策
公開日:
2019/07/03
目 次
年次決算・月次決算とは
年次決算
月次決算
年次決算・月次決算の意義
目的と意義
活用場面
両方とも作るメリット/作らないデメリット
目的や意義、活用場面の両方の相違点
年次決算の流れ
完了するまでの一連の流れ
注意するポイント
必要書類
月次決算の流れ
完了するまでの一連の流れ
注意するポイント
必要書類
年次決算との相違点・共通点
まとめ
年次決算と月次決算の違いについて正しく理解していますか? 違いを知り、適切に扱うことによって経営に役立てることが出来ます。ここでは、その目的や決算方法の違いを徹底解説します。
年次決算・月次決算とは
年次決算
年次決算は、企業の資金や負債などと照らしてその経営活動と財政状況を1年毎に総括するものです。期末の翌日から2ヶ月以内に作成し、確定申告等の各種書類の提出、証券関係を始めとする各所やステークホルダーに向けた発表と報告、残高や利益等の計算と確認などを行います。そのため、取りまとめる情報が膨大になり、経理部にとっては年一番の仕事と言っても過言ではありません。
月次決算
上記のような業務を、年次決算よりは厳密でない形で月毎に行うのが月次決算です。書類の提出の義務などはなく、扱う情報も少なくなるので毎月のルーティンに組み込まれます。次月の1日に完成できていれば理想ですが、何日かずれこんでしまっても、毎月の方針を決定する会議やミーティングまでに間に合わせれば問題ありません。
年次決算・月次決算の意義
同じような工程で業務を進める年次決算と月次決算ですが、両者は目的や効果が異なります。
目的と意義
年次決算
年次決算は企業のその年における最終発表であり、間違いは許されません。納税額の決定を行う他、企業の内部者は年次決算で明らかになった財政状況を基に、次年度の経営戦略と資金繰りを練ります。また、外部関係者はこの発表を基にその企業への投資や受発注を決定します。そのため、企業の今後の行方を決める上で重要な指針となります。
月次決算
月次決算は、年次決算のように各所で目通しされるようなものでなく、企業の内部で自社の損益状況や事業動向を把握するために作成されるという側面が強いです。その企業が方針を修正する上での参考になります。また、年次決算を一度に全てまとめようとすると大変なので、毎月少しずつ調整しておくという目的もあります。
活用場面
年次決算
その年の総まとめとして、企業とその企業を取り巻く情勢の把握のために活用されます。どの分野が振るわないのか、その年の資金調達は上手くいったのかといった概況を見直すのに適し、企業全体の方向性を決定する根拠となります。
月次決算
対して月次決算は、細かな分析と状況把握を行うために用いられます。例えばある月に大きく売り上げが落ちたならば、何が原因なのか突き止める、その月に何に大きく資金を使ったのかを確認するなどように活用できます。これを基に大局的な戦略の軌道修正することもあります。
両方とも作るメリット/作らないデメリット
年次決算は法律で報告が義務付けられているので作成しないわけにはいきませんが、月次決算に関しては作業コストを理由に作成しない企業もあります。しかし、昨今の時々刻々と移り変わるビジネス界において、月毎の状況を把握しないまま事業を進めるのはリスクが大きいですし、先行きが不透明のままでは指示出しなども上手くいきません。このデメリットを考えると、毎月の面倒さよりも月次決算を作らないマイナスの方が上回るのではないでしょうか。
目的や意義、活用場面の両方の相違点
上記のように、両者には住み分けがあります。概して、期の始めに年次決算で大きな方針を決定し、月次決算を参考に毎月の月間会議などでスピード感を持ってこれを修正するという形で使い分けられます。
年次決算の流れ
完了するまでの一連の流れ
勘定の整理
現金・預金残高の照合、棚卸し、売上原価の算出と売上げの計上、試算表の作成、減価償却、売掛金・貸付金等の確認、見越しと繰延べの処理などを行います。
決算書の作成
賃借対照表(資産と負債の確認)、損益計算書(費用と収益の確認)、キャッシュフロー計算書(現金の流れの確認)、株主資本等変動計算書、販売費及び一般管理費明細書(諸経費の確認)、個別注記表、事業報告書などです。
税金の計算
法人税と消費税が代表的です。他にも、法人住民税、法人事業税等を計算します。
各種書類の準備
法人税と消費税に関係する書類を作成します。法人税申告書、勘定科目内訳書、消費税申告書などがあげられます。
注意するポイント
まずは各種資料の提出期限を確認します。書類により締切りや提出方法、必要添付などが異なりますので、これらに沿ったスケジュールを立てましょう。また勘定の整理は非常に細かくなるため、情報量の多い年次決算の場合は、特に計算違いのないように気を払う必要があります。法人税の税率や、消費税の軽減税率の適用の有無にも注意しましょう。また、年次決算の場合は企業の今後の方針を方向づけるものですので、整理すべきこと、外部関係者に報告すべきこと、良くみせるところ、悪くみせるところなどを、状況に応じて事前に判断しておきましょう。
必要書類
主なものには以下があります。
貸借対照表
損益計算書
キャッシュフロー計算書
株主資産等変動計画書
販売費及び一般管理費明細書
個別注記表
事業報告書
各種税申告書
関連記事:税理士に依頼する場合の報酬の種類 決算申告料と顧問料の違いとは
月次決算の流れ
完了するまでの一連の流れ
勘定の整理
現金・預金の照合、棚卸し、未払金などの整理、売上げの計上、減価償却費、法人税と消費税の見積もりなどが該当します。
決算書の作成
損益計算書、賃借対照表などは作成することが多いですが、他の資料は企業ごとの状況に応じて用意するかどうかを決めます。例としては、前期比較表、予算実績管理表、部門別損益計算書、月別資金繰表、月次損益推移表などです。
注意するポイント
年次決算にも言えることではありますが、勘定の整理は間違えることは出来ませんので、勘定科目の統一から経費に計上できるか否かまで、細かく配慮しておきましょう。この際、未払金や仮払金の処理、売上げ等の計上のタイミングの正確化など、年次決算時の業務を軽減する工夫もできる限り進めておくことが望ましいです。また、月次決算の場合は、企業により重視する情報が異なるため、資料を作成する際にも、優先的、重点的に対応する項目を予め設定しておくとスムーズでしょう。
必要書類
企業によって必要とする書類は違いが生じますが、主なものには以下があります。
貸借対照表
損益計算書
前期比較表
予算実績管理表
部門別損益計算書
月別資金繰表
月次損益推移表
年次決算との相違点・共通点
棚卸しや売上など、勘定の段階で確認すべきポイントには同じ部分もありますが、月次決算の方が作成する書類が少なくすみ、扱う情報も限りがあります。そのため、年次決算では必要な処理が月次決算では省かれることもあります。外部関係者や国向けの報告がないという点も異なります。しかし、現金の流れについて詳細を把握しておくのは年次決算も月次決算も同様であり、貸借対照表と損益計算書が重視されるのも共通と言えます。
ヒント
決算書は企業の置かれた状況を把握する際に大きな効果を持ち、法律の観点からも作成しないわけにはいきません。近年は月次決算を作成する企業も増えています。とは言え、月次決算であれ年次決算であれ、その用意に手間がかかることに変わりはありません。事業者の方には、この作業に割くコストを事業に回せたらと思うこともしばしばあるのではないでしょうか。そんな時は、専門家に全て任せてみることもできます。あなたの企業に信頼できる税理士はいますか?
まとめ
年次決算と月次決算には、それぞれの役割と意味があります。時にお金の流れは複雑で、整理する気が削がれることもあるかもしれません。しかし、それを見える化することは事業計画を立てる上でも非常に重要ですから、月次決算と年次決算を使い分けて着実に行っていく必要があります。
リンク源 Moneyizim