『宇宙犬マチ』 最終回! 完結! | ハッピーなマチ日記+セイ

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元気すぎるヨークシャーテリアの兄弟の日々を綴ったブログでしたが、ハッピーもマチも虹の橋に旅立ちました。そしてセイくんが我が家にやって来ました!

いつも『宇宙犬マチ』を

お読み頂き、有難うございます。

ついに最終回を迎えました!

長い間、お読みいただき

有難うございました(^.^)

ご感想などを

頂戴できると嬉しいです!

カッピー

 

『宇宙犬マチ』  最終回

 

十八 幸せ マチとヒロキ

僕は宇宙犬、マチ。
僕が宇宙の果てから地球に来て、かなりの年月が経った。
いまは大好きなおとうさんと、自然がいっぱいの山の中で暮らしている。
時々地球の調査・研究レポートと現状報告を、宇宙に送っているけど、あとは普通の犬として暮らしていている。レポートの送信も、そろそろ最後に近い。もう地球には仲間はいない。
三年の猶予が与えられ、地球が“悪”ではないと判断されてすぐに、一緒に調査をしていた残りの全ての仲間は宇宙に還った。
僕は、どうすべきだろうと考えたが、もう少し地球のリサーチを行いたいと願い出た。どうせ家族はいないし、宇宙に戻れば、すぐに他の星に向かうことになるだけだ。地球には、ヒロおとうさんという愛すべき家族がいる。
指令からは、そのままだと犬の寿命が来たら死ぬこととなる、ということを伝えられた。
それでいいと思った。実はあまりにマチに宿っていたために、離れることが難しい状態になってしまっていた。こんな事例は聞いたことがない。
でも、いま、おとうさんと暮らしていてとても幸せだ。時々、優しいおかあさんのことを二人で思い出している。今日も、縁側で満月を見上げると、あの楽しかった日々が蘇ってくる。急におとうさんが、僕の頭に手をやって「マチ、ありがとう。幸せだったかい?」とポツリと言った。
幸せという感情、喜びという感情、悲しいという想い。これらを地球で得ることができたんだ。僕たち宇宙の生物がずっと失っていたもの。
もちろん、感情の発生メカニズムデータも宇宙に送り届けてある。きっと宇宙の今後に役立ってくれるはずだ。
僕はもうすぐ犬として十七歳になる。もう長くは生きていられないだろう。もう充分長く生きた。愛する家族と素晴らしい自然に囲まれて、最後を迎えられるなんて、なんて幸せなこと! そしてもうひとつ大きな喜びがあるんだ。
“地球はまだある”ということ……。
ああ、これで、よかったんだよね? 

                                                      <了>