- 前ページ
- 次ページ
同作は、作家・島本理生による同名の恋愛小説を実写化。高校の時の演劇部顧問教師・葉山(松本)に想いをよせる泉(有村架純)は、卒業以来1年ぶりの再会に想いをつのらせ、葉山の方もまた泉に複雑な感情を抱える。
2人には、サプライズで行定監督からの手紙が読み上げられた。それぞれに対する心のこもった手紙に、感想を求められた松本が「有村さんにまず聞いてください」と促すと、有村は「このようなお手紙をいただいて、今までやってきてよかったなと思いました」と涙を見せた。
松本も「本当にこの手紙をいただけたことが、この映画に参加して一番の宝物なのかなと思います」と感謝した。さらに涙が止まらない有村の姿に、松本は袖のスタッフに自らハンカチを用意するよう指示する。「ここで俺がパッと出せればいいんだけど、ないんだよ!」と悔しがり、「ごめん架純ちゃん! この流れはね、読んでなかったな!」と慌てた様子に。ハンカチが到着し、後ろを向いて涙を拭う有村の姿に、松本は報道陣に向かって「ちょっと写真とか、待ってくださいね」と頼む気配りを見せていた。
松本潤への手紙
僕らが初めて会ったのは、数年前の食事の席でしたね。酔ったきみの熱く、赤裸々な想いに、僕は強いプロ意識を感じていました。創るという行為が好きなきみの心根を知って、何か一緒にやりたいという想いに駆られました。
きみが参加すると言ってくれたことから10年間凍結していた『ナラタージュ』は動き出しました。一本の映画が救われたのです。この困難な葉山先生役を引き受けてくれてありがとう。
現場でのきみは心強い存在だったよ。いつだって場の空気を掴んで、作り手の想いを一番に考えて動いてくれる理解者だった。
そんなに多く言葉を交わしたわけではなかったけど分かり合えた気がしました。
きみは本当は不器用でそのぶん、誰よりも努力してここにいる人なのだと思います。そんな繊細なきみとは、もっともっと自由に旅をしてみたい。次はどんな冒険をしようか? その日を楽しみにしているよ。
有村架純への手紙
本当にお疲れ様でした。大人の激しい恋愛に身を投ずる泉を演じることは精神的にもきつく不安があったことでしょう。覚悟しなければならなかったこともあったと思います。しかし、あなたは泣き言も悩みも打ち明けることなく、自分の心と泉の心を重ね合わせ、ひたすら役に向き合っていました。その苦悩する姿こそ女優のもっとも美しい姿だと思って見ていました。
あなたほど寡黙で芯の強い女優を私は知りません。これまで幾多の努力を重ね、夢を掴み取ったあなたは、本当に女優に拘ってきた人だと思います。あたなは頑なに、これからも演じることに拘りつづけて欲しい。そして、日本映画史に残る女優になってください。あなたなら必ずできると思います。
私が10年間探してきた工藤泉があなたで本当に良かった。ありがとう。
2006年版「この恋愛小説がすごい」の第1位に輝いた作家・島本理生による禁断の純愛物語を、嵐の松本潤主演で映画化した『ナラタージュ』が10月7日(土)に全国289スクリーンで公開し、大ヒットスタートを記録。それを記念して東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで16日(月)、主演の松本潤、有村架純、そして行定勲監督登壇の大ヒット御礼舞台挨拶が行われた。
高校教師と生徒という立場で出会った葉山(松本)と泉(有村)。そんな2人が時を経て運命的再会を果たし、一生に一度の許されぬ恋に身を焦がしていく…。
本作の公開後の反響に松本は「知り合いの男性から長い感想をいただいたり、平日の昼間に見てくれた友人からは、たくさんの人が劇場に入っていることを教えてもらった」と大ヒットを実感。釜山国際映画祭の公式上映に参加した有村も「監督や作品をリスペクトされている方が多く、質疑応答はものすごい数の人たちが手を上げてくれた。しかも2歩、3歩踏み入った質問をしてくれて、とても楽しかった」と充実した表情を浮かべた。
12年の構想を経て本作を完成させた行定監督は、「大ヒットで首が繋がった。これが当たらなかったら路線を変えようと思った」と覚悟を決めていたことを明かし、「この人間関係のあいまいさのようなものを描きたい。わかりやすくしなくてもいい。それこそ映画だからできること。こうやって多くの皆さんに見ていただけたということで、またこういった作品をやれる猶予期間が延びた」と嬉しそうに語った。
この日は松本、有村には内緒で行定監督が感謝の手紙を執筆し、司会が代読。本作を通じて「自分の表現の幅が広がった。これまでの自分がやっていた方向とは違う、そぎ落とす方向でやらせてもらったことで、幅が広がった」という松本には、『君が参加してくれたからこそ1本の映画が救われた』『不器用でその分誰よりも努力してここにいる人』『繊細な君とはもっともっと自由に旅してみたい。次はどんな冒険をしようか?その日を楽しみにしている』などの言葉が贈られた。
そして「映画の面白さを改めて感じた作品。葛藤しながら作品を作る楽しさを改めて感じた。色々な出会いや発見をくれた作品。撮影から今日まで、充実した時間でした」と感謝を口にする有村には、『精神的にもきつく不安があったはず。覚悟しなければいけないこともあったと思うが、泣き言も悩みも打ち明けず、ひたすら役と向き合った。その苦悩する姿こそ女優の最も美しい姿。あなたほど寡黙で芯の強い女優を私は知らない。これからもかたくなに演じることに拘り続けてほしい。そして日本映画史に残る女優になって。あなたなら必ずできる』との言葉が贈られた。
行定監督からの激賞に有村は「このようにお手紙をいただいて……今までやってきて良かったなと思いました」と号泣。その横でハンカチがないことに焦り、「こんな展開になるとは思っていなかった!」と笑わせた松本も「この手紙をいただけたことが一番の宝物。監督、スタッフの皆さん、このタイミングで架純ちゃんとこのようなラブストーリーができたことに感謝した」と感無量の様子だった。