「サザエさん症候群」なる言葉を初めて耳にしたのは随分前だが、今でも使われているらしい。日曜の夜6時半から人気アニメ「サザエさん」が放送される。その主題歌を聴くと翌日からの仕事を思って気分がふさぐ、という心理作用を言うそうだ。
実際にそんな現象があって、言葉が生まれたのかどうかは知らない。ただ、休みも終わりの「日曜の夜」に「月曜の朝」が忍び寄ってくるあの感覚は、勤め人の一人として分かる。淡水と海水の混じり合う、汽水域のような時間である。
さて、旗日の並びに恵まれた黄金週間も今日で終わる。深呼吸をして、明日からまた出社の新入社員もいるだろう。少しは慣れたか、まだ緊張がとけないか。ともあれオフからオンへ、上手に気分を切り替えてほしいものだ。
ひと頃の流行語だった「五月病」の影が、昨今は薄くなってきたという。結構なことと思ったら、そうでもない。5月に限らず通年化しているらしい。仕事の現実を前に、期待との落差にへこむ人は多いと聞く。
当たり前だが、授業料を払って学ぶのと、給料をもらって働くのは違う。いきなり面白く、「自分に合った」仕事などまずない。酸っぱいものがいつの間にか熟れるように、時間をかけて、仕事の味は深まっていくのだと思う。
〈麗しき春
の七曜(しちよう)またはじまる〉山口誓子。暦はもう夏だが、週の始まり
をフレッシュな気分で迎えられる人は幸いだ。名句の香を胸いっぱいに吸って、明日からの新人諸氏にエールを送る。
