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( 記事が削除される可能性があるため転記します )




フランス革命で処刑された

マリー・アントワネットが

処刑の前日に

一夜にして白髪になったという逸話のように

「ストレスが髪を白くする」とする話が

多数伝えられていますが

そのメカニズムは長らく不明でした。




アメリカのハーバード大学と

ブラジルのサンパウロ大学の

合同研究チームが

マウスを使った動物実験によって

そのメカニズムを解明しています。 




✩︎⡱




研究チームが行った実験は

マウスにストレスを与えて

体毛への影響を測定するというもの。




実験に用いられたマウスはそれぞれ

注射によって痛覚を科学的に活性化させる

「苦痛」


ケージを傾けたり

光のオンオフを素早く変更したり

寝床をぬらしたりする

「心理的ストレス」


そして1日4時間も体を固定される

「拘束」


の3種類の苦痛を与えられました。




以下の画像の下側が実験後のマウス。


( 画像は上記リンク先をご覧ください )




上側のストレス実験を

受けなかったマウスに比べて

体毛が白くなっていることが明らかです。 




✩︎⡱




当初研究チームは


「ストレスが毛の色素を産生する細胞である

メラニン細胞(メラノサイト)に対する

免疫攻撃を引き起こす」


と推定して

実験を行っていました。




しかし

免疫細胞を持たないマウスにおいても

実験後に体毛が白くなるケースが確認され

この説は否定されました。




次に唱えられた説は


「ストレスによって分泌が亢進される

コルチゾールが白髪に関係している」


というものでしたが

コルチゾールを持たないマウスの体毛も

白くなったことから

この説もまた否定されました。 




しかし

交感神経系に対する

神経伝達を阻害する働きを持つ 

グアネチジンをマウスに投与すると


通常ならば

体毛が白くなる「苦痛」実験の後も

マウスの体毛の色が

そのままであることが判明。




研究チームはこの結果から

ノルアドレナリンが

白髪の原因であることを突き止めました。




また

ノルアドレナリンを

皮膚に注射するという追試験によって

注射部位の周囲の毛が白くなることも

確認しました。 




研究チームによると

ノルアドレナリンが毛包に流れ込むと

膨大な数の幹細胞がメラニン細胞に

変換されます。




この過程で生み出された

過剰なメラニン細胞は

毛包から遊離した直後に

崩壊を始めるとのこと。



メラニン細胞に転じる幹細胞は

減ることはあっても増えることはないため

以上のように

メラニン細胞を「浪費」した後は

毛包では新たにメラニン細胞を作るための

幹細胞が枯渇し

それ以降に生えてくる毛は白くなります。 




動物が恐怖などのストレスを受けると

闘争・逃走反応という

一連の反応が生じます。




この反応が生じると

注意と衝動性に対する感度を増進し

心拍数を上げて

脂肪細胞から

エネルギーを放出させる働きを持つ

ノルアドレナリンが産生されるとのこと。




マウスと人間のメラニン細胞の生成反応や

交感神経系は似通っていることから

人間においてもストレスと白髪は

ノルアドレナリンで関連付けられている

というのが研究チームの主張です。




また

加齢に伴う白髪も

幹細胞の枯渇が原因だと

研究チームは推測しています。 




✩︎⡱




今回の研究結果を受けて

本研究を主導したYa-Chieh Hsu氏は


「幹細胞の損失が老化に

どのような影響を与えるかを理解する道に

新たな光を投げかけると信じています」


とコメント。




また

バージニア大学で

ストレスと体毛変色の関係を研究している

クリストファー・デップマン氏は


「体毛が白変した個体は

その群において

通常よりも高い社会的地位を占めています」


と指摘し


「白髪は多くの場合年齢に関連しているため

白髪ならば経験が多く

リーダーシップを持ち

信頼できると思われる傾向があります。


今回の研究は

白髪の動物は他の個体よりも

『より大きいストレスを経験した』

ということを意味するもので

そのストレスの経験が

社会的地位を高めてくれる可能性が

あります」


とコメントしています。