我が家の話 -2ページ目

我が家の話

爺ちゃんと婆ちゃんが80歳を超えた。
もうじき、あの戦争を知ってる人が誰もいなくなる。
その前に。

3月10日の大空襲の日、

荒川の土手に逃げたの。


夜が明けたらね、きれいさっぱり何にもないのよ。

座り込んでね。

富士山が綺麗に見えたわ。




広がってるのは悲惨な光景だったろうけど

ばあちゃんの頭に残ってるのは

富士山らしい。

地震のときね、街が燃えてるのを見て思い出したの。

ああ、3月10日の東京大空襲と同じだって!


あの時、荒川の土手に逃げたのよ!

おばあちゃんと手をつないで。

そしたらおじいちゃん、

さっさかさっさか、一人で駆けてっちゃっうんだもの!

たったったったったったって!

ああ、もう!



大空襲から66年。

爺さん(私にとって曾祖父)が死んでから

30年は経っているが

ばあちゃんは、未だに思い出し怒りをする。




学校でね。

兵隊さんに手紙を書くっていうのがあったのよ。

何書いていいか分からないじゃない。

だから、紙にね、お茶を包んで入れたの。

戦争が終わってから、その人がうちに来たの。

仰天したわよ、兵隊さんがいきなり立ってたんだもの。

敬礼してるのよ。


そうしたら、お礼を言いに来たんだって。

お茶が本当にうれしかったって。

たかが、お茶だったんだけどね。





ゲートル履いた兵隊さんが玄関に立ってる姿を想像する。

確かにビビる。