検査は感染抑止のカギ
韓国政府は、1月19日に初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されて以降、感染の早期発見や早い段階での医療措置の実施、そして感染拡大を防止する目的で、迅速かつ広範囲な検査を実施している。検査数は3月6日に1万8199件でピークになって以降少し減少したものの、現在も1日約1万6千件の検査が行われている。韓国の検査体制は、現在感染爆発を起こしているアメリカのニューヨーク州などの目標にもなっている。
韓国政府が迅速かつ広範囲に検査を実施している背景には2015年5月に中東呼吸器症候群(MERS:マーズ、以下:マーズ)の感染拡大を許してしまった苦い経験がある。当時、韓国では186人が感染し、そのうち38人が亡くなった。マーズに対する韓国政府の対応の遅れは2014年4月に多くの若者が犠牲になったセウォル号沈没事故に対するお粗末な対応と共に韓国政府の危機管理能力に対する国民の不信感を高め、朴槿恵前大統領の弾劾や政権交代の一因にもなった。
朴槿恵政権や与党に対する不満が爆発した機会に政権交代に成功した文在寅政権としては、前政権の失敗を繰り返さないために、また、早期対策を要求する国民の声を受け入れ、政権の長期化を維持するために、より積極的な検査を実施せざるを得なかっただろう。
また、マーズの対策に失敗した朴槿恵政権が2016年から「感染病検査緊急導入制度」を施行し、政府の疾病管理本部が認めた民間セクターでマーズのような感染症の検査ができるように許可したことも、今回韓国政府が新型コロナウイルスに対する検査を迅速で広範囲に実施できた背景の一つである。