ニーニのサッカー公式戦を見に行くのは久しぶりだった

年中から5年生まで続けていたサッカー

中学受験の為に、やめてしまった


そのときは夫婦状態も冷戦状態の真っ最中

女房は僕に相談なくサッカーをやめさせた

受験があることはわかっていたので仕方がなかったが

なんか中途半端な気持ちだった


周りのみんながやってるから、流されていたようなニーニ

ぼうっとしたのんびり屋で、目だった活躍はなかった

プロサッカーの観戦に連れて行っても、サッカーの中継がある日も

あまり興味もなさそうで、ただぼうっとしていた


7年間いつも見に行ったが、ニーニのゴールは一度も見なかった

それが、5年生最後の試合、僕が見にいけなかった日に

ゴールを決めたらしい



あれから4年

中学受験では県で1,2を争う優秀校に受かったためか

青っちょろいガリベンの中でニーニの活躍はめざましいらしい

最近はサッカー関連の番組は録画して見ているようだ

5年生の頃とは違った姿が見られるのかな?


グランドに入ると、まずどっちがニーニの学校か迷った

あんなユニフォームは見た事ない、多分こっちだ

ベンチの中を目で追う、いない、向こうで練習してる子の中か?

番号くらい聞いておけばよかった、なぜ見当たらない?


ピピー! 笛が鳴った 試合開始だ

あ!

グランドに居るじゃないか!

でかいなお前、平均より上のほうだな

最近はちょっと嫌な予感がして近づくのを避けてるんだ

167cmの僕では、そろそろ中三の息子に負けるかも・・・


試合が始まった

あいつフォワードじゃねえか!

声出して走っていく

いつも気にしてるだけあって、髪型も決まってるなwww


よその子がパスから、シュートを繰り出す

見ているお母さん達が

「かっこいいー惚れるわよ~[m:46]」

「あ~ら、きっと若い子がすきよ」

当たり前だろ! 多いな最近こういう母ちゃん族[m:78]


ニーニのやつ、いい位置にうごくじゃないか

もっとパスがうまく回ってくれば

いや、もっと動いて取りに行かなきゃ

とっさの時のスタートも遅い

いつも言ってるんだ、勉強しろとか、洗濯物取り込めとか言われた時

言われたらすぐやれ! スタートが遅いよ!


ふっとグランドの広さに目がいった

広い、もう大人と同じ大きさだ

小さな子供達がボールを追いかけまわしてたグランドは

この半分くらいの大きさだっただろうか

あれからたった4年、大きくなったなあ

ヒロもすぐに大きくなっていくのだろうなあ


そんなことを考えてたら、ちょっと試合中なのに胸が詰まってきた


ゴール前にいるニーニにきれいにパスが回ってきた

相手キーパー正面の位置から、ニーニが振り向きざまにシュート

ナチュラルに変化したシュートはキーパーの腕をはじいた

決まった! 真正面から決めやがった!

仲間を振り返り、人差し指を天に指しているニーニがいる

堂々としてやがる


僕の前でコーチがお母さんと握手してる

「うちの息子です!」 と

加わろうかと思ったがやめといた


個人個人の力量は勝ってたが

試合運びは、相手がうまかった

ボールに触っている時間が圧倒的に短いのに

あっという間にパスが回る

偏差値が下の相手に作戦で負けてどうする[m:68]

なんてことは思わなかったが

4-2で負けた


帰ってきたニーニに、わざとらしく聞いた

「どうだった?」

「負けたよ。でも俺はゴールを決めたよ」

「ふ~ん、そうか」