その時周りの音が地面に吸い込まれていくのが分かった

あたりは無音になり頬に伝う何かは冷たく痕を残した

何かが崩れ去り、世界から色は失われた。まるで、白と黒の古い写真のように見えた

焼け焦げた匂いがする。その匂いはきっとここが社会という名の戦場だからだ。

平和、平穏を守るため働こうと思った。動こうと思った。

今見えるのは色の無い世界。無音な世界。

しょっぱい。海水は濁流のように流れ始めたのだ。胸を締め付ける。悪魔は小さな

声で何かを囁いている。

情景は遅くゆったり進んで行った。時速60キロの車でさえこの目には遅く映った。

幻は感謝していた感謝を口にした。

無力な自分におびえるばかりであった。怖さ、悔しさ、憎しみすべてが音の無い叫
びに変わった

徐々に体が冷えてくるのがわかる。凍り付いてきているんだ。

色の無い、音の無い、寂しい世界で少しずつ動きは失われていくんだ。


そっと、手を伸ばして。


そっと、忘れて


何も残さないで


笑ってまた、


だから


生きて