男の子は逃げ出したい気持ちを
ぐっとこらえて
前に進みました

集まった人々は
男の子がどんな話をするか
期待して見つめています

男の子は杖をぎゅっと握りしめ
話始めました
「今日まで、ずっと黙っていたことがあります。
この杖は、本当は魔法の杖ではないのです。
僕が思ったことを、みんなに伝えた時に
すごいねって言われるのが恥ずかしくて
魔法の杖を持っていることにしてしまいました。
でも、みんなが、すごいねって言うのが、僕のことじゃなくて魔法の杖のことになって、、、
そうしたくて、言ったのに
本当の嘘をついて、みんなを騙してるような気持ちになって、、、
ずっと苦しかった。
ごめんなさい、、、
本当に、ごめんなさい、、、」

男の子の目からは、ボロボロと
大きな涙が溢れて
男の子の服の胸元を濡らしました。

ずっと、みんなに言えなかったこと
ずっと、みんなに言いたかったこと
でも、隠しておきたかったこと

自分の言葉で苦しみ
自分の言葉で解放された
それでも、不安は、拭えない

男の子は、かわいらしい顔を
小さな手で拭うこともなく
涙が溢れて止まりません。

集まった人たちは
驚きを隠せません。

「俺たちを騙してたのか?!」
「話を信じた私たちを、バカにしてたのね!」
「やっぱりおかしいと、俺は前から思ってたんだ」

さっきの期待はどこえやら。
大人たちは怒りの表情にみるみる変わり
次々と、男の子を悪くいい始めます。
王様も例外ではありませんでした。

自分が用意した折角の舞台を
顔に泥を塗られたような
恥をかかされた気分になりました。

本当のことを知ろうとしなかったのは誰?
町の人や、王様は
男の子に少しでも、真実を確かめようと
声をかけたのでしょうか?
きっと、大人の誰かが
男の子に本当のことを聞けば
男の子は正直に話したはずなのに。

王様は、体を震わせ
近くにいた家来たちに命令します
「小僧を地下牢に!!」

男の子は、自分がついた小さな嘘が
こんなにも影響を与えてしまったことを
反省していました。
王様の言葉も受け止めました。
家来に、連れられて行くのも
覚悟しました。

またまた続く(はず...)
あるところに、みんなの悩みを解決する
魔法の杖を持った男の子がいました。
恋人同士のもめ事を治めたり
壊れた物を別の使い道を教えたり
無くした物を思い出させたり
町の人々は、困ったときはすぐに
男の子に相談に行っては
満足して帰って行きました。

しかし、男の子には
誰にも言えない秘密があったのです

男の子は魔法の杖なんて
持っていないのです

男の子は、人の話を聴くのが好きで
色々なアイディアを持っています
「こうしたら、良いんじゃないかな?」とか
「こういう風に考えてみたら、良いんじゃないかな」
という考えを伝えたら
みんなが喜んでくれるのが
とても嬉しかったのです。

ただ、喜んでくれるのと同時に
「すごいね」と言われるのが
恥ずかしかったので
魔法の杖を持っていることにしました。

すると、確かに「すごいね」と
言われることは減りましたが
みんなが「魔法の杖で助けて欲しい」と言ってやってくるようになりました。

みんなが満足して帰って行くのを
見るたびに
男の子は、自分のついた「ちいさな嘘」に
悩み、昔の様に喜べなくなっていました

むしろ、どんどん心が苦しくなっていきました

そんな「魔法の杖」を持った男の子のことを
王様が聞きつけ、国のみんなの前で紹介しようと決めました。

町の人々は、自分のことのように
男の子のことを自慢して
「魔法の杖」に解決してもらった話を
次々と語りだしました

紹介の日にちが決まった男の子は
とても悩みました。

そして

本当のことを言おうと決めました。

いよいよ、紹介の日
王様はたいそう、自慢気に男の子の持つ
「魔法の杖」を紹介しました。
集まった国中の人々は
その杖を一目見ようと、大騒ぎ

本当は「魔法の杖」なんてどこにもない
男の子が持っているのは、本当はどこにでもある「ただの杖」

男の子が話をする時がやってきました

集まった人々は、男の子がどんな話をするか
期待して見つめています

続く(はず)


調度、池袋に出張に来てて
偶々、キキララblog見て
休憩中にもうダッシュして
購入できた、ホラグチカヨコラボグッズ♪



荷物の関係も有って、クリアファイルしか
買えなかったけど、大満足!