西方見聞録 11(土佐電、手結港、DMV、徳島駅) | outbackの旅日記

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日本中を気ままに旅する記録です。山の中の無人駅でビバークします。
タイトルが3代目になりました。レガシィ→ペケV→outback

4月14日(水)11日目です。今朝は久しぶりの快晴の朝を迎えました。しかし予報は午後から崩れるとの事です。まず最初に向かったのは高知市の土佐電鉄朝倉駅です。

土佐電鉄の運行体系は、文殊通―鏡川橋この区間は路面電車らしく、フリークエントに運行されています。しかし鏡川橋―いのは、単線になります。そして途中の朝倉までの路線は非常に狭い道を車と共用します。

朝倉行がやって来ました。朝倉駅は高知大学の最寄り駅でもありますので、朝夕は学生で賑わいます。朝倉行には青い行先表示板が掲載されます。いの行やごめん行の赤と対照的で誤乗を防いでいるものと思います。

朝倉駅です。ホームの類はありません。路線バスまでが、線路内を堂々と通過していきます。

 

折返しごめん行になりました。朝倉ーごめんの運行はかなり珍しい運用です。日に数本しかありません。

鏡川橋―いの間は単線ですが、現在交換できる設備を有しているのは朝倉だけです。ダイヤは朝倉までは、ラッシュ時は10分に1本、日中は20分に1本のダイヤで、多くの電車はこの朝倉駅で折り返ししていきます。ここから本数はぐっと減って、これ以降いのまでは、45分ヘッドになります。交換設備が無いので、1閉塞で常時1本しかこの区間には入れません。いよいよいの行がやって来ました。

交換場所に電車は停止し、てその前に職員が立っています。朝倉駅にはペイントのホームしか有りませんが、見えている横断歩道を渡った所に待合所があり、乗客用と職員詰め所があります。職員は降りた乗客の道路横断の安全確保のために、横断歩道上で自動車の通行を制限する仕事もしています。

 

いの方面から電車が到着しました。最新型の連接車です。連接車の運転士側の窓から職員がタブレットを受け取りました。この後今やって来た、いの行の電車に渡しました。現在路面電車でタブレットの受け渡しをしているところは1か所もありません。昔は岐阜の市内線やそこから続く黒野揖斐、関方面の路線で交換をしていました。加越能鉄道でもやっていたと記憶しています。JRでは名松線と越美北線。私鉄では銚子電鉄、小湊鉄道。現在この位しか私は知りません。もう絶滅危惧種です。忘れないよう映像に残しておきたいですね。

 

 

 

次にやって来たのは、ごめんなはり線の夜須駅の近くにある、手結(てい)港にある橋です。一見短い普通の橋ですが、橋の両端に踏切警報器が設置されています。

実はこの橋は跳ね橋なんです。夜は上がっていて、日中は約1時間おきに昇降を繰り返しています。橋が上がっていても、細い道を何度も曲がれば迂回できますが、まさに生活道路で車1台分しか道幅はありません。船を通すような橋となると、前後の道路を含めて嵩上しなくてはいけません。どちらを取るかという選択で、跳ね橋を選択したものと考えられます。それに普通の橋では何の話題も提供しませんが、跳ね橋にすることによって香南市の観光名所としてホームページにも掲載される様になりました。


到着時には橋は下がっていました。しかし時間になると、踏切警報器が鳴り始め、遮断機が下りてきました。遮断機が下り切ると、どこもそうであるように無音になりました。

 

橋の昇降を横から見えるように、ちょっとした広場が作られています。いよいよ橋が上昇し始め、思った以上に高くまで上がりました。

橋の横に操作室があり、そこで管理していますが、高齢者雇用の一環なのでしょう。お年寄りが2名操作していました。操作室の上は階段で登れるようになっており、そこからは降りている橋を俯瞰できます。上昇している時は近すぎて全体像が良く分かりません。

 

跳ね橋の昇降に満足して先に行くことにしました。今日のこの後の予定は時間が決まっています。今からだと少し早いのでゆっくり移動を開始しました。

 

途中ショートカットコースもあったのですが、時間の余裕もあるので室戸岬までやって来ました。台風の進路で、何時も進行の目安として登場します。室戸岬は余り観光地化されておらず、定番の土産物屋や展望台は、岬近くにはありません。灯台が少し高台にありますのでそちらには何かあるのかもしれませんが、天気予報通り雲が広がって、視界が悪くなってきましたので、そちらには行っていません。28番札所の最御崎寺があります。ここは遍路の中で、前の寺からかなり距離が離れているので、遍路の中では一つの難所として知られています。

 

岬を回ってやって来たのは、阿佐海岸鉄道の甲浦駅です。この阿佐海岸鉄道はJR牟岐線の海部駅から甲浦までの一駅だけ2㎞だけのミニ路線でした。この区間は牟岐線の延長区間として、工事中で未成線だった部分を地元市町村が出資する第三セクター路線として開業しました。当然収支が良い訳は無く、経営が行き詰まって来ました。協議の結果がDMV導入です。しかしすぐ壁にぶつかります、両駅とも高架駅なので地上に降りる設備が必要になります。甲浦は終着駅ですからループを建設する事にしました。それがこれで、もう設備は完成していますし、試運転が何度も行われているそうです。本日の試運転時間は事前に情報を得ていますので、それを見学にやって来ました。

そして反対側の海部駅は途中駅の高架駅で、ここから入線するのはいかにもコストがかかりそうです。そこでJRとの協議の上、二つ向こうの地上駅である、阿波海南駅までをJRから切り離して、阿佐海岸鉄道に移管する事にしました。これにより両方向から入線できるようになりました。そしてそのもう一つの切り替え駅である、阿波海南駅にやって来ました。

JRのホームから甲浦方面を望みます。既にすぐ先でレールは切断され、甲浦方面からのレールは、左手の方へ新設されています。予想ですが、JRと繋いでいても、新たなDMV車両はJRの信号システムに対応していないと思います。コスト低減のためでしょう。整備に関しても、道路を走れるわけですからどこでも行けます。繋げている以上、維持のために何らかのお金が必要だったのではないでしょうか?

その先にはコンクリート製の新しい装置があります。ここが転換装置のようです。

 

徳島から列車がやって来ました。列車、ホーム、新線の位置関係はこんな感じです。

 

 

 

そうこうしている内に駐車場に車両がやって来ました。先程の装置の上で車輪をあっという間に出して浮き上がり、レールの上を颯爽と走って行きました。

 

続行して緑と赤もやって来ました。DMV全車勢ぞろいです。社員が無線を使って色々やり取りしていました。

 

 

 

先程はあっという間に車輪が降りて来たので、今度はじっくり観察しました。ゆっくりと変換装置に入線して、まずフロントが持ち上がって車輪が出てきました。その後リアも降りてきて、あっという間に列車になりました。ものの3分ぐらいで完了します。

 

海部川を渡る橋梁で待ち受けました。妙な光景です。見た目自動車が線路上を走っています。中々面白いです。

 

今回7月開業を予定しているらしいですが、世界初という触れ込みの幟があちこちに立っていました。

 

運行計画は上記のようになっているようです。町立海南病院を始発として、阿波海南から線路に入り、甲浦から海の駅東陽町ー道の駅宍喰と言うのが通常ルートのようです。土日は室戸岬の方まで運行されるらしいです。平日は70分ヘッドの運転だそうです。宍喰に交換設備がありますので、そこで交換もあるかもしれません。道路上なら普通にやれるので関係ありませんが、、、

 

地元の人たちに少し話を聞いてみました。DMVで線路を走らせる必要があるのか?総てバスなら何が問題なのか?

答えはないようです。折角の設備がもったいないとか、話題性で観光客誘致とか、ぶっちゃけバスでいいんじゃね?という意見もありました。日田彦山線のケースは特殊な道路事情と言う整合性がありますが、こちらの方は気候も温暖だし、並行道路も広い。DMVである必要性は私には理解できませんでした。鉄道がなくなるというのは町が寂れるという神話の為に、新たな設備投資に見合うメリットはあまり感じられませんでした。話題性はあり、確かに私の様な観光客もやって来ましたが、残念ながら1銭もお金は落としませんでした。道の駅に魅力が欠けました。(私にとっては)

 

 

 

少々モヤっとしながら先に進みました。次にやって来たのは徳島駅です。徳島駅は全国で唯一電車の走っていない都道府県です。沖縄のゆいレールは電車ですし、高知には路面電車があります。鳥取、島根には伯備線がありますし、一畑電鉄もあります。徳島にはそのようなものは何もありません。JRだけです。

岡山でも国鉄車両祭りをやりましたが、ここ徳島でも国鉄車両がひしめいています。四国に残ったキハ40は全て徳島を中心とした運用しか残っていません。特急もキハ185が剣山の運用についています。国鉄車両を狙うなら今や岡山と徳島は狙い目ですよ。両駅はお互い距離も近いですし、1日中国鉄車両を満喫できます。

 

 

 

 

本日の宿は阿波大宮駅です。集落の外れに在り、静かな夜を過ごせそうな駅です。と言うよりこの阿波大宮駅は行き止まりの集落の様な感じです。県境に立ちはだかる大坂峠と言う、非常に厳しい峠の麓にあります。鉄道と高速はトンネルで抜けていきますが、国道は鳴門方面を迂回していきますので、次の讃岐相生へ阿波大宮から行くには国道を大迂回するか、全長13㎞の狭小な大坂峠を超えるかの2択になります。もう一つここだけ高速に乗るという手もありますが。一旦志度方面まで行って戻ってきたのですが、もう日が暮れて、真っ暗な狭いガードレールも途切れ途切れの峠道を走るのは、シビアなものがありました。距離が倍になっても鳴門から大迂回した方が賢明に思えました。

 

帰ってきて食事していると、踏切が鳴り始めて、20:18、21:18連続して徳島行がやって来ました。なぜかこの時間に高松方面はありません。21時台に最終がありますが、、2本とも誰も乗らず誰も降りませんでした。乗客はそこそこいましたが、3両編成も必要ありません。しかし回送運用も兼ねているのでしょう。ディーゼル音を聞きながら酒を飲んでると、旅に出たなあという気にさせられます。

 

明日はこの辺りの駅舎探索をして和歌山にフェリーで渡る予定です。この旅3度目の船移動です。