2014 年6月27日、鎌倉市役所の生活保護窓口が棚や荷物で閉鎖され、いわゆる「生活保護の水際作戦」がとられるという事実が発覚しました。この問題は、全国的にも大きく取り上げられ、生活保護に関する問題に取り組む関係者にも、大きな衝撃をもって受け止められています。
このたび、かかる事態を受けて、鎌倉市に対して、困窮者支援等に取り組む法律家団体やNPOなど3団体(生活保護問題対策全国会議、反貧困ネットワーク神奈川、NPO法人POSSE)から、添付した公開質問状を出させていただきました。
生活保護窓口の棚・荷物は既に撤去されておりますが、今回とられた水際作戦が全て改善された訳ではありません。窓口にたどり着いた男性に対して、担当職員が申請自体
を断念させるため、以下の様な誤った事実を伝えている点について、鎌倉市としては、未だに、公的に改善に向けた対応を、明らかにしておりません。
◆扶養する人がいないことの証明が無いと申請できない
◆病気のために就労不能であることの証明が無いと申請できない
◆ハローワークに行って就職活動をした証明が無いと申請できない
◆65歳以上でなければ生活保護を受給できない
鎌倉市の誠実な回答を求めます。
~以下、公開質問状全文~
公 開 質 問 状
2014年9月16日
鎌倉市長 殿
鎌倉市健康福祉部生活福祉課長 殿
生活保護問題対策全国会議 代表幹事
弁護士 尾藤廣喜
反貧困ネットワーク神奈川 共同代表
弁護士 武井共夫
NPO法人POSSE 代表 今野晴貴
(回答先)
東京都世田谷区北沢4-17-15
ローゼンハイム下北沢201号室
NPO法人POSSE
担当者:今岡直之
TEL:03-6699-9359
FAX:03-6699-9375
平素より、職員の皆様におかれましては、適切な生活保護行政の実施のためにご尽力されていることと存じます。
ご存じのとおり、2014 年6月27日、鎌倉市役所の生活保護窓口が棚や荷物で閉鎖されているという事実が発覚しました。当方は、少なくとも2012年4月から、このような閉鎖が継続的に行われていたことを確認しております。窓口がそのような状態であったため、今年の4月に生活保護の申請のために役所を訪れた男性が、申請を諦めて帰宅するという申請権の侵害と言える事態が生じています。
その後、閉鎖されていた窓口の隣の窓口で生活保護申請を行おうとした当該男性に対して、生活保護を担当する職員が以下のような誤った情報を伝え、窓口封鎖に加え、申請行為そのものを妨げる対応(いわゆる「水際作戦」)をとりました。
① 申請に必要な書類を揃えてから申請することが通常
② これ(男性が持参した申請書)はうちの申請書ではないので使えない
③ 扶養する人がいないことの証明が無いと申請できない
④ 病気のために就労不能であることの証明が無いと申請できない
⑤ ハローワークに行って就職活動をした証明が無いと申請できない
⑥ 65 歳以上でなければ生活保護を受給できない
私たちは、これらの事件に関わる中で、なぜこのような事件が生じたのかを調査し、再発を防ぐ措置を講じることについて強い問題意識を抱いています。
そこで、実態や今後の対応に関するいくつかの質問を掲げました。
現状を正確に把握し、オープンな議論を重ねていくことで、透明性・信頼性の高い保護行政の条件が整います。より良い生活保護行政を目指す想いは共通のものと考えておりますので、以下の質問項目についてご回答くださいますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
ご多忙中にお手数をおかけして恐縮ですが、2014年9月30日までに上記連絡先宛てにご回答いただきますよう、よろしくお願いいたします。
1 上記①乃至⑥のような発言を行った職員の対応について、鎌倉市としては、どのような問題があると認識されているのか、具体的に明らかにして下さい。
2 鎌倉市役所の生活保護窓口が棚や荷物で閉鎖されていたという事実や、上記のような問題ある職員の対応を踏まえ、今後適切な生活保護行政を実施していくために、以下の文言を相談窓口への掲示と、ホームページでの告知をしていただきたいと考えております。実施の有無及び実施時期について、回答して下さい。
「生活にお困りの方へ
生活保護は、いつでも誰でも、申請できます。」
3 上記の当該男性は、生活保護の窓口が物理的に閉鎖されていたこと、申請用紙を入手出来なかったことが原因で、二度にわたり申請を断念することになりました。今後の適切な生活保護行政の実施のため、申請用紙を相談窓口のわかりやすい場所に予め備え付けるよう、改善をする必要があると考えます。そのような申請用紙の備え付けについての改善を実施していただけるのか、実施の有無及び実施時期について、回答して下さい。