高砂ミネイロ3-1草津FCテルフィー
プレイヤーは、たとえ初見の相手だったとしても5分も試合をすれば、そのチームが自分たちよりもどれくらい強いか弱いかがだいたい分かるという。この日の草津テルフィーの選手たちはおそらく「自分たちよりも明らかに強い相手」ということを肌で感じながら試合をしていたのではないか。
なので、高砂ミネイロからすれば「自分たちのサッカーをやれば負けない」ことと「事故での失点さえ避ければ恐るるに足らない」と、試合序盤で感じていただろう。
案の定、高砂が開始6分で右サイドを崩してあっけなく先制する。その後も試合を優位に進める高砂だが、追加点が奪えない。前半終了間際あたりから、逆に草津に試合のペースを握られる。
しかし、スタメンの平均年齢で8歳も若い草津テルフィー。後半に運動量の差が顕著になるであろう、試合前からの予想が的中。後半は草津がガンガン攻めまくる。試合も残り20分「そろそろ守備を固めて“ウノゼロ”でもいいんじゃないの?」と思ったその時、草津の17番が左の深い位置から放ったシュートがゴールマウスに吸い込まれる。高砂陣営が一番恐れていたであろう事故での失点。
これで一気に草津側に試合の流れが傾くかと思った、その数分後。高砂ミネイロのCKからの崩れ、カウンターに出ようとした草津のボールをセンターサークル付近でカットしたミネイロが一気に右に展開。枚数の足りない草津DFの隙をつき、セットプレー明けで残っていたDF16番岡本に預けてシュート。飛び出したキーパーが手に触れるもボールは後ろに。無人のゴールに吸い込まれた。この瞬間、試合は決した。終了間際にもダメ押しの3点目を追加した高砂ミネイロが、苦しみながらも関西リーグ残留を果たした。
府県決勝の準決勝、決勝を見た感じ、草津テルフィーの左サイドがウイークポイントであることは分かっていた。高砂ミネイロが事前にスカウティングしていたかどうかは定かではないが、その左サイドを立ち上がりのファーストアタッキングで最も簡単に破ってゴール決められたら、どんなチームでもメンタルへし折られますって(笑)。おそらくそれだけで「自分たちよりも明らかに強い相手」という認識を与えるには十分すぎるくらいだった。
正直、この日の草津テルフィーは前2試合よりも全体的に焦っていたことは確か。その上、間違いなく立ち上がりに受けたトラウマがそれに輪を掛けたように思えた。月並みなコメントではあるが「立ち上がりの10分に気を付けろ」とはよく言ったものだ。
対する高砂ミネイロ。この日は今シーズン一番の集まり(笑)。そりゃあそうでしょう、何しろ「お家の一大事」ですから…。当然、この日程が決まった時点で「この日は絶対空けとくように!」とお達しがあったはず。尤も、この日のメンバーがいつもとは言わないまでもシーズンの半分でも集まっていれば、もう少し上の順位だったと思う。それくらい、この日の高砂ミネイロの布陣は強かった。そのあたりに“街クラブ”の宿命のようなものを感じた。
聞くところによると、草津FCテルフィーは草津東高校のOBが中心となって結成され、卒業して大学在籍の選手がほとんどということ。そして、卒業を迎える4回生の主力メンバーの多くが抜けるような話を耳にした。しかし新しく若い選手もそんなに入っていないとも聞く。
しかも、高校のOBチームとはいえ高校のサッカー部と連動しているわけでもないので、もし仮に関西リーグに昇格した時「お金、大丈夫なの?」となりかねない。
龍野FCが昇格した時も、チームで必死に地元の企業や商店に声を掛けまくってなんとか資金を調達したものの、2年で県リーグに降格。スポンサーさんのところへのお詫びの挨拶回りに奔走していることと思います。草津テルフィーが昇格していたとしたら、それと同じようなことが来年の今頃、滋賀県内で起こっていたかもしれない。
一方で高砂ミネイロは、チームが関西リーグに残ろうが県リーグに落ちようがチームのスタンスに変わりはない。この日のスタメンの平均年齢が28.6歳という“高齢化クラブ”となっているが、この試合で先制点のアシストと2点目のゴールを決めた16番の岡本は、地元東播工業卒業の19歳。そういう若い地元の人材が新たに入ってくるには、県リーグ1部よりも関西リーグ2部の方がやはり魅力的。そういう意味でも、関西リーグに残留できたことは何よりも大きい。
入替戦といえば「絶対上がりたい!」「決して落ちてはならない!」という思惑が蠢くもの。でも、それ以上に“上がらない”や“無理にしがみつかない”という現実的な選択がより鮮明に現れるのが、地域リーグと県リーグとの入替戦。そのことを改めて再認識したのでした。
高砂ミネイロのスタメン

草津FCテルフィーのスタメン

先制点のシーンをコマ送りで…(笑)






バンディオンセから移籍したバギー。このレベルなら、やっぱり無双だわ(笑)




2点目のシーン。キーパーのキャッチミス、そして無人のゴールに…



決定的な3点目のシーン。喜ぶミネイロの選手と対照的に膝を抱え込む草津テルフィーのキーパー…


