プロローグ

むず痒い右目を三回擦り、
重い瞼を懸命に開いた。

そこには、緑と青と茶とかすかな黄の世界が、
パレットから無造作に混在したかのように
図画的で数秒後デジタル的に、
ハジメは目を覚ました。

空は蒼く、白さもない。

キングサイズのベッドに横たわるかのように
ふかふかのナニカの上で空に向かい
四肢を任せている感覚がする。

身体に神経をなんとなく合わせて、
右の肘をつくと、全身の感覚が異常ではないことに
気づいた。枯葉や青葉が混じる感触が心地良い。

自分の上の部分を宇宙に向かって捧げてみると
そこには、緑を纏った茶の太く長い大人が方々に、
構えこちらをじっとみつめている。
彼らは見つめているだけで、襲ってこず、
むしろ語ってくる。

「ま〜い〜ご〜」
「ま〜よいご〜」

二方四方八方で、徐々に、段々に、次々と
言葉が増えていく。

ハジメは右ひざを立て、
周りの音を気にもとめず、

ふぅ〜と一呼吸し、

残りの後足を二足歩行にし、

その場を去るように歩き始めた。