大変お待たせしました!![]()
ようやく、社会人大学生のインタヴュー第1回をお送りします!![]()
インタビュイー紹介
私と同期で、現在も通学中のTさん。(女性・30代)
某大手ビール会社「金麦」のCMでおなじみの元宝塚の女優に似ている、
本当に美人な社会人学生
(本人もビール大好き![]()
)
彼女は、「しごとVISION」
(私が立ち上げた、法政に助成金をもらい行っているイベント。
現在スタッフは社会人未経験の学生がほとんどで、
私はファシリテーターとして関わっている)
の立ち上げからの協力者であり、よき理解者。
そして私が休学している現在では、彼女が唯一の社会人スタッフであり、
会計係を担当している。
「私にとってのテーマは、「居場所づくり」なんです」
いまやりたいことをやろう!
そんななか、3年前に母が胃ガンだということが分かったんです。
――今日はインタヴューを受けてくださってありがとうございます。
まず、大学へ入ろうと思ったきっかけを教えてください。
「私は高校卒業後そのまま就職したので、大学には今回が初めてです。
だんだんと心理学的なものを勉強したくなったんですが、
そのためには、大学で学んだほうがいいのかなと思いました。
そのとき、『これからお父さんの面倒を私がみなきゃいけなくなるの?』『叔父、父にも見つかったから、もしかしたら、体質的にガンになる可能性が高いのでは……』という心配がよぎりました。
それで悩んだ結果、『いまやりたいことをやろう!』と思い、受験を決めました」
――たくさんあるなかでも、なぜ法政大学のキャリアデザイン学部に入ろうと思ったのですか?
「心理カウンセラーになるには臨床心理士の勉強をしなくてはいけないことを知り、
キャリア(デザイン学部)を受けるために、小論文の対策として塾に単発で通いました。
そのときに先生に勧められたのは、立教(大学)の院です。
院は翌年、視野に入れていましたが日々に追われ勉強もできず、
また院の二年間での学びの量、質に自身がなく諦めました。
実は最初、第一志望の大学は別にあって、法政は予備として受験したのですが、
キャリアデザイン学部の志望理由書を書いていくうちに、
『私が勉強したいのはまさにこれだ!』
と思いました。
キャリアデザイン学部は、体系的に学べる学部だと思います」
――なるほど。私は通学ではなく、
志望理由書の書きかたの通信添削を一度受けました。
ところで、私は2008年の秋に行われたオープンキャンパスに行ったのが法政を選んだきっかけになったのですが、行きましたか?
「いいえ、行っていません」
支えてくれる人がいたからこそ
――わかりました。
それでは、大学で学びたいと思ったきっかけである心理学ですが、
なぜ心理学を学びたいと思ったのですか?
「現代社会の人間関係って、自分の悩みを人に言えないと思うんです。
でも、私は社会に出て、周囲の人の支えのありがたみを感じたんです。
家族、友だち、職場……。
だから、自分の悩みを打ち明けたりして心を開くことができる“場づくり”のようなことをしたいと思ったんです。それにはまず、心理学を学ぼうと」
――法政大学のキャリアデザイン学部は、
「教育」「経営」「文化」と大きく分けて3つの分野に分かれています。
1年生ではまだそれらの専門分野に進むわけではなく、
基礎的な部分、そして一般教養を中心とした科目を履修しました。
そしてこの2年生以降からいよいよ専門分野を選んでいくわけですが、
Tさんはどの専門に進む予定ですか?
「主軸としては文化になると思います。
地域コミュニティを研究している先生の授業を履修したいと思っています。
『社会地理学』は履修してよかったです」
――心を開くことができるコミュニケーションがある“場づくり”が理想ですもんね。
それでは、1年間通学してみてどうでしたか?
「入門ばかりで専門性が低かったから、ラク!? サラッと終わった気がします。
『ラク』と言ったのは、学びの質として。体力的には大変でしたよ!
精神的には、テストがなければ……。
でも、テストがないと自分で整理しないので必要だと思います」
――試験とレポート、どちらがいいですか?
「私はレポートのほうがラクですね」
――私も同じです(笑)。
では、キャリアデザイン学部に入るにあたって、職場や周囲の反応はどうでしたか?
「『大学に入りたい』という希望が、(入学前は)正規雇用だったのですが、
仕事を辞める理由になりました。
『何かをやりたい』と思ったら、やり遂げないと気がすまないんです。(笑)」
仕事と学業の両立には、ある程度の妥協は必要
――「仕事を辞める理由になった」ということですが、
私も昼間働きながら通うのは本当に並大抵のことじゃないと痛感しました。
私の場合は幸い、正社員でも残業も少なく休みも取りやすい職場だったのですが、それでも授業は夜間しか履修できませんでしたし。
2部がないので私たちは1部学生。でも、昼間の授業は履修できない。
キャリアデザイン学部の特徴として、
夜の授業は翌年に昼に、昼の授業が翌年は夜にというシステムで社会人が履修しやすいようになっていますが、
それでも自分が履修したい授業が翌年必ず昼になる可能性が100%保障されているわけではない。
働いてお金を稼ぎながら通える幸運に感謝しながらも、
でも本当に卒業までに自分が履修したい授業を受講できるのか?
という不安に悩まされていました。
私たち社会人学生にとって、仕事と学業との両立は、
今後も大きな課題になると思います。
「ある程度の妥協は必要だと思います。
大学のために職業を変えましたが、前の仕事を続けるわけにはいかなかったと思います。
また、日本では高校卒業後にほとんどの人が大学に入学しますが、
そうじゃなくて、大学に行きたいときに行くことができるのが本来の大学なんじゃないかと思います。
仕事と学業を両立させるために不満もありましが、
『大学重視』と割り切るしかないと思います。早く卒業したいですね」
――カリキュラムについて何かお考えはありますか?
「(1年生のときは)「入門」が多過ぎると思いました。
入門を一年間ずっと受ける必要はなく、前期だけでいいと思います。
授業というよりも『2年生以降のゼミの説明?』という印象を受けました。
社会人枠がなく若い学生と同じ環境で学ぶということは、
若い学生と対等に接するチャンスだとは思います」
――大学の設備に関してはどうですか?
「PCの設備はじゅうぶんだと思います。
学部の枠をこえ集まって話せる場所が欲しいです。
そして学食の質を上げてほしい(笑)。セットメニューが高いですね。
生協と学部窓口の営業時間も社会人学生には厳しいところがあります」
――そうですね、学生は予想以上に値段が高くて私も驚きました。
それでは、社会人クラスメートの印象はどうですか?
「やっぱり濃~い!(笑) 意識が高いし、個性も強い(笑) でもそれが面白い。
感心してばかりです。若い学生とは違う同じ悩みを持っているので、心強いですね。1年生のあの一年があったから、これからもがんばれると思います」
若い学生と社会人が同じ場所に居るという環境がもたらすもの
――たしかに、私たちの代は濃いメンバーが集まってますからね~!(笑)
次に、会計係として協力してくれている「しごとVISION」についてお聞かせください。
「きっかけは、(インタビュアー・ナカミチが)アナウンスしたからですね。
企画が面白いと思いました。
学生と社会人が同じ場所に居る、そしてその場所でいっしょにつくることで何でもいいから、学生に何かを掴んでほしいですね。
それは、社会人に対しても同じことがいえると思います」
――ありがとうございます。
立ち上げからずっと参加してくれているので、本当に感謝しています。
それでは、最後に、社会人学生を目指しているかたへメッセージをお願いします。
「大学でやりたいことは卒業してからも活かせそうだなと確信しました。
『場づくりの持続性』のためにはキャリアデザイン学部の学びが必要なんだと思いました。
学部と大学院の違いはありますが、学部には学部の良さもあると思います。
それは、若い学生と同じ環境で学ぶということもあると思います。
今の若い学生は厳しい受験に勝ち抜いてきた子たち。
たまに若い学生に『ほかにやることあるでしょ』って思うときもありますが、
一歩大学に入って同じ環境になったら、若い学生もすごいなって思います。
その若い学生たちは、私たち社会人学生が学生で居続けたいという気持ちと仕事で葛藤する姿を見ていると思います。
今後、社会人学生を目指そうかと考えている人は、『学びたい』と思ったときにその一歩を踏み出してほしいと思います。」
――ありがとうございました。
(取材を終えて)
Tさんに、大学に入ったきっかけについて訊いたのはこのときが初めてでした。
普段、授業でほぼ毎日のように会っているけど、だいたい授業に関係することばかり話していました。
それに、いつもはニックネームで、「Tさん」なんて呼びませんし。
なのでこうしてあらためて伺う機会ができて、
Tさんについて新たな発見がありましたし、
当たり前のことですが受験のきっかけは人それぞれなんだなぁと思いました。
でも、何が正解で何が間違いということはないと思います。
私にとっての彼女の印象は、ニュートラルな視点を持っている人だということ。
彼女がいることで、冷静さと多角的な視点を持つ大切さを知りました。
「若い学生たちは、私たち社会人学生が学生で居続けたいという気持ちと仕事で葛藤する姿を見ている」
ということばにも、そんな彼女らしさが出ていたと思います。
新しい考えかたを教えてもらいました。
このブログでこのテーマで行うインタビューは、
インタビュイーのキャリアインタヴューを伝えたいわけではありません。
あくまで、社会人学生の実態というか、現代社会、とくに日本社会で増え続ける社会人学生がどのようなきっかけで、どんなふうに受験し、そして入学後の気持ちの変化などにスポットを当てて伝えたいと思っています。
