江差線で江差駅から湯ノ岱駅に。 駅の待ち合わせ室でしばし休憩後、


湯ノ岱温泉 国民温泉保養センター
 へ行くことにする。






駅を出てすぐの道を右へ。 数分後に再び右折。 踏切を渡ると、 「天の川」にかかる橋に遭遇する。 天の川ですよ、 天の川。 







ワンコイン とげなしバラ子のお部屋で気軽に花ライフ-20131125-2





左奥に見える建物が、 目的の温泉だ。




ワンコイン とげなしバラ子のお部屋で気軽に花ライフ-20131125-2





カメラのバッテリーがパワー切れ寸前のため、 撮影をセーブ。 






前のブログにも書いたが、 この温泉に来た人のブログをいくつか、 事前にチェックして来た。 写真を見ると、 なんだか茶色くてヒダヒダで、 ぬるっとした感じで・・ みんな気持ちよかった と好評価なのは確かだが、 なんとな~くグロテスクな印象。 爪先立ちはいやだぞぉ~ と半信半疑で来たこの温泉。 






結果は、 まったくの取り越し苦労だった。






古い温泉ではあるみたいだが、 とても手入れが行き届いていて、 脱衣所も清潔。 温泉自体も、 あの棚田のような”ヒダヒダ”はずっと見てると気持ち悪い感もあるけれど、それも温泉の成分による自然現象。 大変気持ちよく入ることができた。 他にはちょっとない温泉だ。 


窓の外には緑が見え、 お湯に入っていると、 心がすぅ~っとなだらかに溶けていく。 キミはそのままでいいんだよ、 今の環境でできることをすればいいんだよ という声が、 心の中に、 なぜか自然と浮かんできた。 ほんとに自然に聞こえてきたんだ。 






温泉から出て、 脱衣所に戻って体を拭いていると、 おばあさんが一人、 入ってきた。


よし。 なんとな~く耳から覚えた北海道アクセントでしゃべってみよう。






「こんにちは」




「こんにちは」




「あれ? 一人かい?」




「うん。 だ~れもいない。 さっきまでもう一人いたけど、 もう出て行ったさ」




「あれ、 珍しいね。」




「普段はもっと多い?」




「うん。 洗い場なんか並んで待ってるくらいの時もある」






・・・ 書くだけじゃわかんないですよね。 キーボード打ちながら、 思いっきり北海道弁(『北の国から』のような)を心の中で叫んでいます。






あってるかどうか、 まがいものの北海道弁だけど、 おばあさんは違和感を感じず、 普通に地元の人として会話してくれていた。 ヤッタゼ!






ぽかぽか湯上り。


ロビーには地元の野菜が販売されている。 近かったら、 買って帰るのにな・・










ワンコイン とげなしバラ子のお部屋で気軽に花ライフ-20131125-2







ベンチに座り、 江差追分会館で購入した 五勝手屋本舗
の羊羹をいただく。 ここでカメラのバッテリーがついにパワー切れ。 この日最後の写真となった。







ワンコイン とげなしバラ子のお部屋で気軽に花ライフ-20131125-2





甘さ控えめ。 疲れが取れる。


来てよかった。 湯ノ岱温泉。 






さて。






これからどうするか。 湯ノ岱駅に、 今来た道を戻り、 16:47の電車まで待つか。 或いは、 隣の神明駅まで歩いてみるか。 2つに1つ。 






心の中では、 実はもう決まっている。






せっかくだから、 冒険してみようじゃないか。






神明駅まで歩くことにする。






列車が来るのは16:52。 あと1時間強だ。 湯ノ岱駅の駅員さんは30分と言っていたが、 私はもう少しかかると思っている。 休み休み行くとすると、 そう余裕はなさそうだ。 でも、 行ける! と判断。 湯ノ岱駅に戻らず、 逆方向へと歩みを進める。 湯ノ岱駅の駅員さん、 結局さっきが最後でした。 ただいま!と言って戻れなくて、 残念です。 でも、 冒険する方、 チャレンジする方を選びました!






というわけで、 温泉を出て、 いざ神明駅へ徒歩出発。






途中、 畑にいたおばさんと目が合う。 おばさんの方から こんにちは と笑顔であいさつして下さった。 私も大きな声で こんにちは! 






さらに進むと、 さきほど酒屋のおばさんが話していたあの工事のことか、 道路工事の現場に出くわす。 交通整理をしているおじさんに 「神明駅はこっちであっていますか」 念のため聞いてみる。




「そう。 まだまだずーっとあっち」






よし。 方向は合っているぞ。






しばらく進んだところで振り返る。 予想的中。 やっぱりおじさんはこっちを見ていた。 要するに、 ”あの子神明駅まで歩くんかいな。 だいじょぶやろか・・” といういぶかしげな表情である。






そうですそうです、 私はちょっと変わりもん。 ご想像のとおり、 こんな山の中を女一人で次の駅に向かってひたすら歩く、 モノ好きなんです。 でも、 したいんです。 そういうことに、 人生の醍醐味を感じちゃうんです。 






国道5号線をひたすら進む。 曲がる個所がない点、 歩きやすい。 途中途中、 天の川が見えたり隠れたり。 隠れているときも、 水の流れる音は聞こえ続ける。 車の通行量は少なくないが、 ふと車が途切れた瞬間、 森の静寂が訪れる。 しーん、 と静まり返る。  アスファルトの道路以外、人工的なもののない世界。 両脇には深い森が広がっている。 立ち止まって深呼吸する。 この自然を思いっきり独り占めする気分で空気を吸う。 熊が出てきてもおかしくない森。 でも、 なぜか腹は据わっている。 だって、 自分の選択でやっていることだもの。 何かあったら、 それは仕方がない。 最善の準備をして、 それで何かがあったら、 それは仕方がない。 その覚悟を持てたからこそ、 こんなことをやっとるわけで。 逆に言うと、 それくらいの覚悟をしてでもやりたいこと、 それが私の場合、 北海道一人旅、 なのだから。 






大型トラックが頻繁にやって来る。 私の横は大きくよけて通り過ぎてくれる。 大自然の中のちっぽけな一人の人間も、 ちゃんとその存在が認知されている。






結構歩いた。 そしてようやく見えてきた。 神明駅を示す看板が。 


写真を撮れなくて残念。






そして、 16:35。 到着した。 私の場合の所要時間は45分だった。









ワンコイン とげなしバラ子のお部屋で気軽に花ライフ-20131125-2




写真は携帯で撮ったもの。 行った人のブログ、 写真でさんざん見てきたこの駅が、 今目の前にある。 しかも隣の駅からはるばる歩いてきたわけで。 この感動たるや。






結局、 湯ノ岱駅で下りた後、 温泉にも行ったし、 駅と駅の間を歩くこともできた。 両方したいと思ってチャレンジしたら、 できた。 思い切ってやってよかった。 些細なことかもしれないが、 なんでもやってみたら意外とできるものだ、 と思うことができた。 こんな調子で生きて行こうじゃないかと、 今後の生き方へのパワーにもつながった気がしている。   ・・・・って、 もう40歳なんですけどネ






木でできたホームに上り、 待合室へ入る。 旅ノートを読み、 書き、 虫が多くて外に出る。 ホームに直接腰を下ろし、 間もなく来る列車を待ちながら、 カロリーメートを食す。 誰もいない。 私だけ。 このすがすがしさ、 宝物です。






16:52。 時刻通り列車が来る。 ホッとして乗り込み、 神明駅に別れを告げた。






p.s


神明駅で列車に乗り、車窓を眺めていた。 すると、 朝、 函館から江差へ行く列車
の中で通路を挟んで隣の席に座っていた人が、 外の畑のど真ん中で仁王立ちになってこの列車を見ていた。 確か、 めちゃくちゃどでかいカメラを持ってた人だ。 もうすぐ日が暮れる中、 広野に仁王立ちでこちらを向いて立っていた。 何を撮ろうとしていたのだろう。 そりゃ列車か。 あの人は、 次の列車で真っ暗な中帰るんだ。 日が暮れる前に帰ろうとする私とは違い、 カメラマン魂を見た、 という気がした。 カッコイイ!