あまり知られていないインディーズ・フィールドのバンドを「London, Hot Top Ten」では紹介してきましたが、今回は、飛躍が期待されイマ上昇気流に乗っているアーティスト/バンドだけをお伝えします。....Please enjoy!!
New Blood – No.728 Leon Bridges (リオン・ブリッジズ)
From: Fort Worth, TX, USA.
Members: Leon Bridges (Singer-songwriter).
Style: Soul, R&B & Gospel. Doo-Wop. Vintage.
The buzz::
アメリカ合衆国テキサス州フォートワースから現れたオールドスクール・ソウル・シンガーのリオン・ブリッジズは、時空を超えることの出来る機械を手に入れたタイムトラヴェラーかもしれない。
現在25歳であるブリッジズは、2014年12月にColumbia Recordsと契約を交わすまで、食器洗いなどの仕事をしながら、地元のバーで開催されるオープンマイクナイト(誰でも参加可能なステージ開放イベント)のショーでプレイしていた。そこで歌われていたのは、母親の洗礼についての歌‘Lisa Sawyer’である。パストラルなこの曲で、1950 年代後期から'60 年代のゴスペル由来のソウルミュージックの蘇生をブリッジズは試みていた。
いくたびかのステージを重ね徐々にファン・ベースを広げていた頃、テキサス州オースティンのアートロック・バンド、ホワイト・デニム(White Denim)のギタリスト、オースティン・ジェンキンス(Austin Jenkins)と出会う。ジェンキンスはブリッジズのパフォーマンスに感銘を受け、その才能に惚れこみ、ショーの後にレコーディングのプロデュースを申し出た。ブリッジズはこれを受け、すぐにレコーディングが開始された。プロデューサーにもう1人、ホワイト・デニムのドラマー、ジョシュア・ブロック(Joshua Block)も加わり、1940年代から'60年代の録音機材が備えられたヴィンテージ・スタジオでレコーディングされ、リリース可能となった最初の2曲が、‘Better Man’と‘Coming Home’である。
2014年10月11日、SoundCloudにこの2曲がドロップされる。これより僅か数日後、BBC Radio 1の大御所DJゼイン・ロウ(Zane Lowe)の番組でエアプレイを獲得する。つづいて、BBC Radio 1のヒュー・スティーブンス(Huw Stephens)の番組でエアプレイを獲得、両者の番組で定期的にエアプレイされている。11月28日にはヒュー・スティーブンスがNME 誌の“NME Radar”にブリッジズを紹介する。後にNME誌は、“NME Magazine '50 New Bands For 2015' ”のリストにリオン・ブリッジズを入れ、今年の注目すべきアーティストの1人として紹介している。
ちなみに、ゼイン・ロウよりも数日ばかり先に、リオン・ブリッジズの‘Coming Home’と‘Better Man’をSoundCloudからシェア拡散を促進したのは、人気カルト音楽ブログの“Gorilla Vs Bear ”である。
このように、オールドスクールなリズム・アンド・ブルース・ファンやオーソドックなルーツ・ロック・ファンからではなく、比較的若い世代のインディ・リスナーからリオン・ブリッジズは火がついたのである。前述の通り、この2ヶ月後にリオン・ブリッジズはColumbia Recordsとサインする。
BBC Radio 1は15歳から29歳までの年齢層をターゲットにしたラジオ局である(実際の聴取者の平均年齢は33歳)。音楽の多様性が求められているBBC Radio 1では、さまざまなジャンルの音楽がプレイリストに入れられもするが、リオン・ブリッジズの曲がエアプレイされる意味と波及効果、プレイリスト委員会並びにゼイン・ロウの意図を想像してみて欲しい。
アゲアゲなエレクトロニック・ダンス・ミュージック、アタックしてくるロック・ミュージック、偏差値が高いエレクトロニカ・ミュージック等々がプレイされるなかで、リオン・ブリッジズの歌が若い世代にとって如何に“新鮮”かは想像に難しくないだろう。
‘Better Man’や‘Coming Home’を聴くと、彼自身が、サム・クック(Sam Cooke)やオーティス・レディング(Otis Redding)やパーシー・スレッジ(Percy Sledge)の黄泉がえりであるかのようだ。現代に氾濫するモダンなサウンドプロダクションのポピラー・ミュージックが常套表現として捉えられ、不朽性が高いヴィンテージ・ミュージックの表現の中に清新の気を見る。この逆転現象を起こさせ、単なるレトロスペクティブさにはブレークスルーで時代対応をし、時代との整合性を図る。つまりは、時代を超越せしめるアーティストがリオン・ブリッジズなのだ。
ここで少し言い方を変えよう。
リオン・ブリッジズは、後期フィフティーズから前期シックスティーズのレトロなロックスタイルに“新鮮なタッチ”を与え、ロックンロールの本質に焦点を当てている。若いリスナーにこれがどう作用するか楽しみである。
リオン・ブリッジズのデビューアルバムは2015年夏にリリース予定。そのアルバムは「いくつかのバラードといくつかのロックンロールで構成されている」とリオン・ブリッジズは述べている。楽しみである。
そして、私は明日、リオン・ブリッジズのロンドン公演にはせ参じる。楽しみ!!
リオン・ブリッジズのビデオをチェックしてください。