寂聴先生ねえ。王朝物をけっこう書いてらして、私も好きなジャンルなのでその辺の本はよく読みました。現代ものは数冊。

おもしろかったですよ。で、好きかと聞かれると、他の作家さんの方が好きですね。

そんな感じ。

ご存知のように子宮作家と異名をとっただけあって、恋愛表現は濃厚で激熱です。

今思うにあれって寂聴先生の体験からなんでしょうね。実際にあんなに熱烈に求愛され、激しく愛し合い、燃え尽きていったと。

でもね、寂聴先生。それって不倫やったからですよ。

男性の本能は、全女性を抱え込んで自分の子孫だけを残したい。だけど全体で考えたらあぶれる女性もいるし、他の男性は全然子を持てないから、将来的には先細って絶滅してしまう。

ならば一対一の結婚制度に従って全員が子孫を残せば、安全確実に子孫を増やせる。ほとんどの人間の女性は理解して同意してるので、結婚してる男性は選ばないんです。

もちろん例外はいますけどね。多くはないでしょう。わざわざ大きなリスクを背負って不利なバクチに手を出すなんて。

だから愛のためなら不倫もいとわない！なんて女性がいたら、多妻を望む男性にはどんなに奇跡的で魅力的か。

お金も時間も言葉と体力の限りを尽くして、必死で迫ってくることでしょう。寂聴先生がご本に書いたように。

口説かれる方からしたら、自分ほど愛されてる女性はいないって思えるでしょうね。

奥さんなんて全然じゃない！なのにこんなに命がけで恋に生きる美しい私たちを、邪魔して引き裂いて苦しめる。妻なんて最低！全員この世から消えてしまえばいい！

…それもね。離婚が成立したり、死別になったりしたら、つまり不倫じゃなくなったらびっくりするほど色褪せてしまうと思いますよ。

ハッ！？私は何をしてたんだ？みたいに。

不倫だったから何重にも何倍にもよく見えていたのが、そのフィルターが無くなったら値打ちも消滅。

だから結局だれとも生涯を共にしなかったじゃないですか。

（同じように不倫を繰り返す人は、障害のない平々凡々とした普通の恋愛だと、刺激がなさ過ぎて、恋愛だとは思えないんでしょうね。）

なあんて考えたのは、寂聴先生枕草子読んでないんだろうなと思ったからです。

エッセイでも好きな女人は不倫に苦しむ女性たち。紫の上や花散里みたいな妻タイプは対象外。

定子さまが唯一の正妃として愛された話が盛りだくさんの枕草子は、アレルギー反応おこしたんだろうな。

私が持ってる枕草子本。真ん中の田辺聖子先生のは単行本で６００ページ越え。文庫本だと上下巻で１０００ページ越え。

なのに少納言ちゃんの回想録っていう月の輪草子、この薄さ。字も大きい。しかも定子さまも少納言ちゃんも関係ない宮中の昔話が延々と。

なのに楽しい枕草子のエピソードなんて全然。

それにこれもそうだし、同じく寂聴先生の和泉式部の伝記本に書かれた定子さまが、我が身の不幸に泣きくれるだけって。和泉式部の方ならまだしも、少納言ちゃんが主人公のこの本ではダメでしょう。何のために少納言ちゃんが、あれほどの大作を命がけで書き続けたのか。

「清少納言が憑依してきて筆が進んだ。」なんて言われて鵜呑みにして期待した私がバカでした！

…って私、相当怒ってますねえ。

大河ドラマの感想、どうなることやら。

瀬戸内寂聴先生のこと