『ぼくのスカート』という絵本がある。




こんな本。

わたしはどこかでこの本を読んだことがある。


どこだろう…?

多分選書会かな。

選書会は、勤務している小学校で毎年行われるもので、小学校の図書室に置きたい本を子どもたちや先生が選ぶ会。


その間子どもと一緒に、わたしもいろんなジャンルの本をプラプラと読み漁る。


その中に確かあった…気がする。


タイトルから分かるように、この本は男の子が主人公。

両親がいないある日、主人公のフレッドはお父さんとお母さんの服を着てみることに。

まずお父さんの服。シャツにネクタイ。

うーん、あまりしっくりこないみたい。


次にお母さんの服。

あら、ブラウスがちょうどワンピースみたいになって、とってもかわいい。


いつも気になっていたメイクもしちゃおう。


あら?お父さんとお母さんが帰ってきちゃった。


この後のシーンにはセリフがありません。

でも、フレッドも、両親も、にっこにこ。


その後みんなで服を交換こして、この話は終わり。


なぜこの本の話になったかというと、先日夏休み最終日に、中学校との連携での研修会で、この本の訳者が講演なさっていた。

日高康晴さんという方。


その話の中で、この絵本を使った授業実践について話された。


担任の先生は、この本を見せる。

すると子どもたちは、「えー。」「変なの。」と否定的な発言。


しかし授業はそのまま進む。


そしてフレッドと両親が見つめ合う、セリフのないシーンで発問をする。

「この場面、お父さんやお母さんはどんなことを思ったでしょう。」


すると子どもたちからは、「似合ってる!」「かわいい。」「素敵だねって思ってる。」と、発言が返ってきた。


授業の初めには、あんなに否定的な空気だったのに、今は全く違う。


………などという授業をされた方がいましたよ、という話があった。


そしてこの講演後、『ぼくのスカート』の販売がされていたので、つい買ってしまった。


日高さんからは講演で、とにかく人権意識を養う授業をどんどんすること、という話があった。

世の中にはレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーという性があってね…という話をすれば、LGBT教育はいい訳ではない。


みんな好きな格好をしていいし、ありのままの自分を好きでいていい。


他者を認め、自分で自分を認め、大好きでいること。


ここが一番大事、という話はとても納得がいった。


そしてこの本を売られたら…買わざるを得ない。


2学期初日、少し時間が余ったので、せっかく購入した『ぼくのスカート』を自分のクラス(2年生)の子どもたちに読み聞かせてあげた。


まず表紙を見せた途端、「変態や。」「服着てないやん。」(表紙のフレッドは裸)とざわざわ。


それでも気にせず読み始める。


そして例のセリフがないシーン。

お父さんやお母さんはどう思った?と聞くと、やはり「かわいい」とか「いいね!」という意見が出てきた。


2年生はここら辺の感覚が純粋だな。


男の子がスカートはいちゃだめなのかな?

と聞くと、

「いや、ぼく見たことあるで!」「別にいいと思う。」という意見が出た。


さっき、「変態」って言ってる人いたけど、なんで変態なん?

服着てなかったから変態ってこと?

じゃあ服着た後は?

と聞くと、

服着た後は別にそんなことない。と。


先生が女やけどズボンはいてたらおかしいん?

と聞くと、

そんなことない!別にいいで。

という話になった。


なんだか思い通りにいきすぎて、拍子抜けしたくらい。

2年生の子たちにとって、男の子がスカートをはくことは、そんなに変なことじゃないらしい。


その後教室に本置いとくから、見たい人はまた見てね~、と言うと、結構な人が見てくれていた。

嬉しい。


この子たちは、とても素直だ。

なのに、なぜ。


大人になるとそういう感覚がついちゃうのかな。


そう思うと、小学校時代の人権教育ってめちゃくちゃ大事だ。


わたしもそうだった。 

あの小学校時代があったからこそ、同和教育ゴリゴリ、人権について週何時間もやってきて、また家庭でもわたしを尊重して育ててくれた母がいたからこそ、今のわたしがいるのだな。


これからの子どもたちもそうであって欲しいと思う。

わたしがそうする。


とまあここまでは余談で。


今日JICAの二次選考の一つである、技術面接があった。

zoomで平日の真っ昼間ってそりゃ無茶ですやん…。

他の皆さんはどうしてるわけ?


仕方ないので正直に話して、5時間目だけ代行してもらうことになった。

申し訳ない。

せめて夕方か土日にしてくれれば…教員って分かってはりますやん…。


教頭先生が色々と配慮してくださり、校長室で面接を受けることになった。

ドキドキ。


zoomでは、JICA事務局の真っ暗画面が一つ(事務の方か審査の誰かが見ているのだろう)、あと2人の方が参加されていた。

一瞬グループ面接か?と焦ったが、2人とも面接官だった。

まず1人目の方が、小学校教育のボランティア内容について色々と質問してこられた。


1.志望動機

2.休職して教員に復帰とのことだが、帰国後今の職で活かせることはあるか

3.体育主任ということだが、運動会の行事の運営などもしているか?

その際に意見が対立することもあったと思うが、あなたはそういう場合、自分の意見を押し通すタイプか?

4.小学校教育で教えるのに自信がある教科、またあまり自信がない教科

5.日本文化を伝えて、と言われたら、何をする?

6.これまで学生時代のことでもよいが、集団をまとめたり集団で何か一つのことに取り組むということはあったか?

その際に対立するようなことは?

7.カンボジア、ルワンダ、モルディブを選んだ理由

8.自分がJICA協力隊に参加するにあたって、アピールポイントは?

9.落ち込むこともあると思うが、そういう時どうする?

10.人と関わりを持つ際に気をつけていること

11.現在の職場の管理職に承諾を得ているか


2人目の方は、応募に関する事務的な質問だった。


12.希望任国について、他の国でもよいか

13.日系社会についてはどうか

14.モルディブは宗教的な側面で飲酒が禁じられるが、それについてはどうか

15.職種や任国など、応募で出しているものと異なる要請でもかまわないか

16.言語は何でもよいとあるが、何でもよいか

17.絶対に行きたくない国はあるか

18.希望隊次、期間について


こんな感じだった気がする。

時間にして20分。

あっという間だった。

始まるまでは緊張したが、話し出せば特に困ることはなく。

答えにつまることもあったが、どうだろうか…あんなもんかな、という思い。


あとは、もう一つ人物面接を無事に終えたら、結果を待つのみ。


さあ、どうだろうな…。

ドキドキわくわくや~。