佐々木丸美の「館シリーズ」3作が出揃いました。
北海道の様似に建つ、ガラス張りの館に独りで住む「おばさん」のもとに集ういとこたちを中心に、ストーリーは進みます。
- 佐々木丸美コレクション17 水に描かれた館/復刊ドットコム
- 一作目の『崖の館』と二作目の『水に描かれた館』は、現代の新本格に香り漂うミステリ色が濃いです。
雪で、嵐で館は外界との連絡は絶たれ、閉鎖された空間で事件は進みます。
先に亡くなったいとこの「千波ちゃん」は何故死んだのか?そしてまたいとこたちの命が狙われ始めて・・・。
二作目は、一作目の数年後、また起こる殺人事件。そして、千波ちゃんの涙の秘密と輪廻の序章が。
- 夢館 (創元推理文庫)/東京創元社
- 三作目『夢館』は、千波ちゃんと吹原さんの輪廻の輪が、やっと重なるまでの話。
輪廻の不思議は、後作に引き継がれて行きますし、館は『榛家の伝説』『橡家の伝説』の舞台としても登場します。
過去と現在が二重写しになりながら、ふたりの歩幅が重なっていきます。
また、『夢館』には未収録作品『肖像』も収録されてました。まさかはじめましての作品が読めるとは、と感激。
読んで思ったこと。
佐々木作品の男性の口調って共通されるところあるなーー。結構、オレ様。そこがいいんだけど。笑。
佐々木丸美作品は、少女趣味って言われてしまうこともあるけれど、私には全然癖に感じられないんだけどな。
『大人になりきれない女性の少女性』ではなく、『本当の少女の少女性』が流れているから。