その日、僕や娘が一番、胸を打たれた瞬間。

 

コテメン、引きメン、引きドウ、担ぎメン、

メン、コテ、もう一度、メン。

 

福井高校主将、有村選手が自らの試合開始直後8秒間、

烈火のごとく繰り出し続けた技。

 

意地のような、矜持のような、勝ち負け以外の何かを証明するような。

 

インターハイ福井県予選、女子団体、決勝リーグ最終試合。

 

対するはライバル敦賀高校、しかし、試合開始以前にすでに、

福井高校のインターハイへの道は閉ざされており。

 

福井高校が負けた。

 

 

難しい。

 

こうも難しいものなのか。

 

インターハイ福井県予選(春季高等学校総合体育大会剣道競技(5月31日(金)~6月2日(日)

女子団体の結果は、

 

優勝 敦賀高校(4年連続9度目)
 2位 美方高校
 3位 丸岡高校
 4位 福井工大附属福井高校

 

 

 

この日に至るまでの県内高校剣道主要大会結果を振り返ります。

 

昨年11月、各校新チームとなっての県新人戦(11月17日(土)~18日(日))

優勝 福井工大附属福井高校
 2位 高志高校
 3位 敦賀高校
 3位 丸岡高校

 

年が変わり選抜出場をかけた県冬季大会(1月20日(日))

優勝 敦賀高校
 2位 福井工大附属福井高校
 3位 美方高校
 3位 丸岡高校

 

そして、新学年、今インターハイ予選の前哨戦となった県春季大会(4月21日(日))

優勝 福井工大附属福井高校
 2位 敦賀高校
 3位 美方高校
 3位 丸岡高校


ここまで三つの県大会で、優勝2回、2位1回のチームが、まさか。
 

 

あの福井高校の選手たちが、油断をしていたとは思えません。
 

準備、研究をされていたとしても、それはお互い様。

 

好不調の波、一週間前に福井高校の道場に偶然お邪魔させて頂いた時、

遠征に来ていた愛知、三重の各県を代表する強豪チームとも互角の戦いを

繰り広げているように見えました。

 

結果は、結果か。

 

どのチームにも平等に与えられていた、団体戦決勝リーグ三試合の機会。

 

ふたつの試合場で、同時に進行し、常に移り変わる状況、順位。

 

高校生活、剣道の集大成、「最後のインターハイ」。

 

それもまた、福井高校の選手だけにではなく、敦賀高校、美方高校、丸岡高校の

選手にも等しく同じだった、懸けるものがあった、意味のある、背景のある戦いだった、

そういうことであったのだと思います。

 

ずっと福井高校を追い続けて来た我々平田家ですが、幸いにも決勝リーグで

見た全ての試合、どのチームを応援するしないに関わらず、そのいずれもが

気持ちの入った素晴らしい試合ばかりでした。

 

もちろん、残念です。

 

福井高校のこの世代のチームが、全国の舞台で戦う姿を見たかった。

 

そして、全国の人に、この福井高校の躍動する剣道、戦う剣道を見てほしかった。

 

 

「第4位」のアナウンスにも、しっかりと返事をし、下を向かなかった彼女たち。

 

本質とは、敗北の時にこそ、その姿勢に現れるのではないか。

 

娘にも話していたのですが、今日負けたからといって、彼女たちの価値が

ゼロになることは決してありません。それまでの積み上げた時間、重ねた努力、

剣道を通して培った生き方、それらはそのままそこにあり、そして道はさらに、

その先へ先へと続いて行きます。

 

全員、立派でした。

 

 

娘と閉会式を途中まで見送り、武道館を後に。

 

チームの中心はこれから徐々に次の世代に移行して行くのでしょうけれど、

まだ、北信越及び諸大会が残されています。

 

これからも変わらず、娘の憧れ、ヒロイン達を応援して行きたいと思います。

 

(画像は県春季大会優勝時、福井県剣道連盟HPより。)

 

 

彼女たちと出会わなければ、娘はこれ程までに剣道を好きになって

いなかったかも知れません。

 

 

竹村選手は大きな声と元気な剣道、連続技、変化する技、フットワーク、

常にチームの先鋒として試合を作る重要な働きを担って来ました。

県新人戦個人第三位、インターハイ予選個人戦ベスト8。

 

田中選手は気持ちが戦う姿にそのまま現れる剣道。最後のインターハイ

予選では従来の副将から中堅へ。選抜予選決勝でチームの息を繋いだ

逆ドウは、この先ずっと忘れることがないと思います。

 

有村選手はチームのエース。絶対の稽古量を下地にしたスピード、多彩な技、

足捌き、そしていつ打ったか分からない、右足後ろの必殺の引きメン。

そして、同じく強い気持ちの剣道。県新人戦個人優勝。

 

福井選手は不動の大将。鍛え抜かれた全身から繰り出す強烈なメン、抜きドウ、

また何よりほとばしるような気迫。常に真っ向勝負の剣道を見せ続けて

くれました。決して折れないチームの柱。インターハイ予選個人ベスト8。

 

 

福井高校4人の3年生に感謝を込めて。

 

部活動が一段落着いたらぜひ一度、松岡の子どもたちを教えに来てほしいです。

 

一緒な空間で稽古を見せて頂くだけでも剣道観が変わるはず。

 

監督先生に是非、お願いしてみようと思います。