「勝ちへの執念」という言葉を聞いて、皆さまはどのようなことを
連想されるでしょうか?
試合の最後まで諦めず、終了間際に一本を取った!
自分よりはるかに大きな相手に果敢に立ち向かい、
前に転がり込みながら抜きドウを決めた!
執念です。
剣道界に、宮崎正裕という先生がおられます。
全日本剣道選手権大会優勝6回、全国警察剣道選手権大会優勝6回、その他
剣道史に残る輝かしい戦績を残し続けておられる先生ですが、
今回、その宮崎先生の新しい著書を読みました。
(発売は一年前の2017年2月、サンマーク出版から、というのが面白いですね。(^-^))
そして、読後の感想なのですが、一番印象に残ったのは、
「勝ちへの執念」がとにかく凄い。想像を超えていました(笑)。
一部、抜き出してみたいと思います。
「試合に臨むにあたっては、対戦相手がどういう選手なのか、事前にできるだけ
情報を集めることにしている。どういうクセをもっていて、得意技は何か、
ウイークポイントはどこか、どんな気性なのかといったことまで、知りたいこと、
知っておくべきことは、人に話を聞いたりして可能な限り収集し、さまざまな
角度から研究する。」(プライドは捨てる、より。)
「このようにして習得した攻略法を一つひとつ、ノートにも取り、貯金していった。
先輩たちに実力では勝てない。だからこのようにクセを分析して一本を取って
いくしかない。しかし、いつも一緒に稽古をしている先輩だし、相手も一流だ。
練習などで何度も繰り返し使えば、気づかれて、研究、修正されてしまう。
だから、選手選考の重要な試合など一発勝負のとき、ここ一番というときに
使おうと考えた。安易に使わず、いざというときにとっておくのだ。」
(相手のクセやパターンを見抜く、より。)
凄くないですか?
ただ技術的に上手い、精神的に強い、経験が豊富だ、圧倒的に稽古する、
それだけではなかったんですね。さらにその上で、頭脳派(笑)。
これは強い。強いはずです。
勝ちへの執念が試合場の外から始まっています。(^-^;)
勝つことの重要さ。
それで思い出したのが・・・。
「マタイ効果」という言葉。
(社会学者ロバート・マートンが提唱、「好機に恵まれた人ほど
さらなる好機に恵まれやすくなる」。)
最初に勝つ、続けて勝つ、そうすると、ある程度のところでその選手の優秀さが
周囲に認知されます。その選手はチームではAチームになるでしょう。
Aチームの高度な稽古に参加し、試合でも重要な局面を任されるようになります。
さらに勝って試合で結果を残すようになると、今度はチーム外の選抜チームに
参加出来るようになったり、さらに上の稽古環境、機会に恵まれ続けることに
なります。つまり、優秀な選手はその選手の能力もさることながら、環境面からも
優秀たらしめている理由があると言える。マタイ効果。
宮崎先生は経験的にそのことを理解しておられるのかも知れません。
勝つためには、勝たないといけない。
ここだけ切り抜くと血も涙もない方のようにバイアスがかかってしまうのですが(笑)、
「勝っても驕ることなく相手を気遣う」「素質がなくても勝てる」「道具を大事にすると
道具が勝たせてくれる」「反則は絶対に行ってはいけない」「来るものは拒まず、
徹底的に面倒を見る」などなどやはり素晴らしい教士八段の先生なのだなあ、
と伝わる項目もたくさんです。
少年剣道で勝つこと。
僕は娘を見ていて、まじめにコツコツ頑張っているので出来るならばそのような
恵まれた環境を与えてあげたい、とは思いますが、負ける時は負けますからね(笑)。
勝った時は喜んで、負けた時はしょっちゅう泣いていますが(笑)、それは自分の
勝ち負けはもちろん、周りの大人が一緒に喜んでくれて嬉しい、がっかりさせた悲しい、
ということも凄く大きいと思うんですよね。まあ、勝っても負けても娘への愛情は
変わりませんが(笑)。
出来るところまで出来れば、それでよし。
皆さまいかがでしょう(笑)?