江戸時代前期の志野ぐい呑です。
器の側面には、ピンホールや貫入が経年によって生まれた古色を帯び、しっとりとした味わい深い景色を呈しています。
見込みには、粉雪が静かに降り積もったような柔らかな白の世界が広がり、静謐でありながら温もりのある趣を醸し出しています。
外と内、対照的な景の中に志野独特の風情が宿り、見るほどに心を惹きつける器です。
変化に富む表情と深みのある肌合いが織りなす、個性的で情趣豊かなぐい呑です。
志野の魅力を味わいながら、美酒を楽しむ至福のひとときを演出してくれます。
菊田清年 鑑(『瀬戸の古陶磁』等の著作)

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