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歳を重ねるほど心豊かに美しく

あなたの一歩踏み出す勇気を応援できたら幸せ

「勇気ナビゲーターRieco」池田りえこです。

 

 


朝食を終えると、夫がコーヒーを淹れてくれる。

それはいつの間にか、

「淹れてもらう」というより

「この時間が始まる合図」のようになった。


 

カップを手に取るまでの、ほんの短い沈黙。

湯気が立つのを待つ、その間が好きだ。

茶を点てる前の一呼吸に、少し似ている。


 

今日はお気に入りのチョコレートを二粒。

ピエール・マルコリーニ。

甘さを急がず、静かなクラシックを流す。

朝の一服、という言葉がしっくりくる。

 

 

楽しみは

朝餉の名残

湯気立ちて

夫の淹れたる

コーヒーの音

 

 

 

昨年、日常がふと揺らぐ出来事があった。

病室の窓から見た空は、

なぜかやけに遠かった。

 

その時間を越えて戻ってきた今、

何気なく並んで座れる朝が、

以前とは違う重みをもって、ここにある。

 

言葉は多くなくていい。

お互い、少しずつ

体も心も、ゆっくりになってきた。

それを不便だとは、もう思わない。

 

むしろ、

急がず、比べず、競わず、

味わうことを覚えた年齢(とし)なのだと思う。



 

楽しみは

時の尖りを

ほどきつつ

甘きショコラと

静の調べ

 

 

還暦を越える頃からだろうか。

「まだ出来ること」よりも、

「今、手元にあるもの」を

そっと見つめ直すようになった。

 

 

そばにいる人。

同じ朝。

同じ音楽。

 

派手さはないけれど、

これ以上を望まない静かな満足が、

今日もこの卓に置かれている。

 

一日の始まりに、深く一礼。

そんな気持ちで、

カップを置く。