実家を朝早く出て
バスに乗って
最寄駅まで来た


自宅までは1時間半かかる


バスタオルで首を吊ることにした


夜中ママが40年来の親友に
僕の愚痴を話してるのを
寝たふりをしながら聞いた


僕が死にたいと喚くのは
単なるパフォーマンスなのよ


だからご近所さんに
叫び声が聞こえたらどうしようって
考える方が必死だった


どうせこの子は死なない
だから夕飯を作ろうと思った


頭のいい子だったら
医学部受験にも宅建にも受かっただろうに
やめなさいって言っても
やめないバカだから


あの子は言葉の節々を拾って
論破してくる
確かに私が言ったことなんだけど
ニュアンスが伝わらない
障害者なんだなって感じるわ


小さい頃から
人の話を聞かない子だった
詐欺にあった時だって
うちから500万くらい出したのに
そんなことは忘れてる
自分のことは棚に上げて
何事もなかったかのように過ごしてる
あの神経疑うわ


40分くらいの会話だったかな


ママの本音が聞けて良かった


僕が死んでも大丈夫そうだ


生きてることでママを苦しめてることさえ
気づかない愚か者で


努力すればと思っていた僕の行動は
バカの勘違いの行動で


死ぬに値する


愛するママの言葉だった


唯一助けを求めたママの本音が
こんなにも死へと導くものだとは


邪魔だったんだな


ずっと


バカだなぁ
人のことなんて期待するなって
言われてたのに


ママだけは味方だって
信じてたのに


違ったんだな


ママと僕はニコイチだから
なんて中学生みたいなことを
言うママをほっとけなかった


そんなこと思ってもなかった


もう死に


と何回も言っていた


ママも死ぬから


疲れちゃった


そう
ママは僕を腫れ物のように
どう扱えばいいか
悩んでいた


でも僕が死ねば悩まなくて済む


僕が居たから悩んでたんだ


生きるだけでいいなんて
嘘偽りだった


しょーもない命で情けない


情けない


家に帰ったら携帯の電源を切ろう


必要ない


オレンジジュースを2本買って
カシスオレンジでオーバードーズして
眠くなってきたら
首を吊ろう


それがいい


結局死ぬしか方法がなかった


この心を救うには


最後にママが僕に言った言葉は


ごめんね


だった


顔も見ずサングラスを受け取って
最後になった


実家の敷居を跨ぐことももうない


もう自宅で大人しく最後を迎える


クラシック音楽をかけよう


酔いしれるように
苦しまないように


苦しまずに死にたい


何も考えることなく


僕には人生が険しすぎた
生きる過程は過酷すぎた


僕は最後まで歩けなかったよ


立ちあがろうとしたけど
もう手遅れだった


何度も何度も助けを求めていたけど
この声は誰にも届かなかったよ


死ぬ時はこんなにも静かなんだな


孤独との対峙


恐怖との対峙


それと向き合って勝ち残ったものだけが
天国へ行ける


無事この苦痛から解き放たれるといい


ママの本音を聞けて良かった


ほとんどが僕を否定する言葉たちで
ママらしいと思った


いつも思っていた


最後はママが裏切るんだと


その通りになった


ママの愛してるは所詮そんなもんだった


僕の命と同じ
そんなもん


今日は夕方から雨が降るそうだ


僕の代わりに空が泣いてくれる


もう泣いてない


やるべきことを終えるのみだ