未成年者の喫煙・飲酒は、その健康に著しい悪影響を及ぼすものであると同時に、非行
その他の問題行動とも関係があると考えられる。従来も、未成年者の喫煙・飲酒を防止す
るための取り組みが行われてきたところであるが、依然として、多数の未成年者の喫煙・
飲酒が報告されており、より効果的な対策の推進が望まれる。以下では、未成年者への対
応、親権者等への対応、たばこや酒類を販売する事業者への対応について、それぞれ述べ
ることとする。
1 未成年者への対応
(1)現状
未成年者喫煙禁止法及び未成年者飲酒禁止法では、20歳未満の者の喫煙及び飲酒
を禁止する旨の規定はあるが、これに違反した場合の罰則は規定されておらず、警察
官や少年補導職員が、喫煙又は飲酒をしている少年を発見した場合には、補導の措置
をとっているところである。ここで、補導の措置とは、少年に対し、喫煙又は飲酒を
しないように指導・助言を行うとともに、必要に応じ、少年の保護者等に連絡をし、
保護者等による適切な監護を促すことをいう。この補導については、警察職員の権限
を定めた個別の法律に基づく活動ではなく、警察法第2条に規定する警察の責務を達
成するために必要な活動として行われている。
また、未成年者の所持するたばこ、酒類等については、行政の処分により没収する
ことができる旨の規定があるが、現在は、この規定による没収等は行われておらず、
警察官等による補導の際には、任意に廃棄させるなどの措置を講じている。
(2)課題と対策
喫煙や飲酒をしている少年について、喫煙や飲酒をやめさせるための対策を強化す
ることが必要である。未成年者の喫煙や飲酒について、 、 罰則を設けることについては
罰金刑では、結局、経済的には保護者が負担することとなると思われることから、未
成年者に対する抑止効果に疑問もある。また、現在、未成年者のみについて法律で禁
止されている行為について、違反した未成年者を処罰する規定が設けられているもの
はない。少年法に規定するぐ犯少年に該当することとなれば、家庭裁判所の審判に付
され、少年院送致等の保護処分の対象となるが、単に喫煙をしているとか飲酒をして
いるというだけでは、ぐ犯少年に該当するとは考えられない。したがって、喫煙や飲
酒をしている少年について、刑罰でも保護処分でもない措置として、どのような措置
を講ずるかが問題となる。喫煙や飲酒をした少年に対しては、学校における生徒指導
や警察による補導が行われることになるが、これらの措置を効果的なものとしていく
ことが必要である。そのためにも、学校と警察の連携を一層強化していくことが重要
であると考えられる。刑罰でも保護処分でもない措置として、喫煙や飲酒をした少年22
に対して、社会奉仕活動をさせるなどの対応も考えられる。
未成年者の所持するたばこ、酒類等について、任意の措置では、少年側から廃棄等
を拒否された場合に問題が残る。仮に、未成年者の所持するたばこ、 、 酒類等について
行政処分として没収等の措置を講じることとした場合には、行政手続法との関係につ
いて整理する必要がある。
2 親権者等への対応
(1)現状
成年に達しない子は、父母の親権に服し、親権者は、子の監護及び教育をする権利
を有し、義務を負う。未成年者の喫煙や飲酒を防止することは、保護者の責任でもあ
る。未成年者喫煙禁止法及び未成年者飲酒禁止法では、親権者や親権者に代わって未
成年者を監督する者が未成年者の喫煙や飲酒を制止しなかったときには、科料を科す
旨の規定を設けている。なお、親権者等の不制止の罪については、少年法により、家
庭裁判所に公訴を提起すべきこととされており、略式手続によることはできない。
(2)課題と対策
次代を担う少年の健全な育成を図ることは、社会全体の役割であり、未成年者の喫
煙や飲酒の防止についても、社会全体での取り組みが必要であることは言うまでもな
いが、子に対して適切な監護及び教育を行うことは、親の義務でもあり、子の喫煙や
飲酒を防止することは、親の責任であると言える。しかしながら、喫煙や飲酒をして
補導される少年が依然として多いことの背景には、保護者の中に、喫煙や飲酒程度は
重大な問題ではないというような認識を持っている者も少なくないという事情もある
ように思われ、親の責任についての自覚を促すことが必要であると考えられる。親に
対する一般的な広報啓発活動のほか、警察が喫煙や飲酒をしている少年を補導した際
の保護者等への連絡に当たって、喫煙や飲酒の問題点を知らせ、親の適切な監護を促
すように指導することも重要である。
3 たばこや酒類を販売する事業者への対応
(1)現状
未成年者の多くが、たばこや酒類を自動販売機で購入しており、 、 自動販売機対策は
未成年者の喫煙や飲酒を防止するために極めて重要である。たばこ、酒類のいずれに
ついても、自動販売機の夜間の稼働停止が業界の自主規制として行われている。 、 また
酒類については、平成7年から成人識別機能の付いた機械への置き換えが進められて
いる。たばこについては、自動販売機は店舗に併設して設置するなど、その管理が適
切に行われるように指導がなされているほか、平成20年の全国一斉導入に向けて、
成人識別機能の付いた自動販売機の実証実験が行われている。
また、規制緩和により、コンビニエンスストア等でのたばこや酒類の販売が拡大し
ている。未成年者喫煙禁止法及び未成年者飲酒禁止法では、未成年者にたばこや酒類23
を販売する行為について、50万円以下の罰金を科す旨の規定が設けられているが、
少年法により、これらの罪については、家庭裁判所に公訴を提起すべきこととされて
おり、略式手続によることはできない。販売者が、これらの罰則により、刑に処せら
れた場合には、たばこ小売販売の許可の取消しや酒類の販売業免許の取消しが行われ
る。さらに、平成13年の未成年者喫煙禁止法及び未成年者飲酒禁止法の改正では、
販売者に対して、年齢確認その他の必要な措置を講じることが義務付けられたほか、
平成15年には、酒類業組合法の改正により、酒類販売管理者の選任が義務付けられ
た。
(2)課題と対策
現在、進められている成人識別機能の付いた自動販売機の導入は、未成年者の喫煙
や飲酒の防止に向けて一歩前進するものと評価することもできるが、未成年者の自動
販売機によるたばこや酒類の購入を阻止する効果が明らかではなく、自動販売機によ
る販売そのものが禁止されるべきであるとの考え方もある。いわゆる成人識別機能付
きの自動販売機については、その効果について厳格に検証されることが必要であると
考えられる。また、成人識別機能の付いた自動販売機が導入された場合、ID カード
の不正譲渡といった問題を惹起する可能性があることにも留意する必要がある。
対面販売に関しては、 、 販売の際に年齢確認が確実に行われていないのが問題であり
販売時の年齢確認の確実な実施について、 、 事業者に対する指導を徹底することのほか
悪質な販売業者等に対する的確な取締りを実施することが必要である。そのほか、未
成年者に対する販売を防止するために、刑罰が有効に機能しているかについて疑問も
あるところであり、これを有効に機能させるために、略式手続により、罰金刑を科す
ことを可能にすることも考えられる。また、販売者の義務履行確保のため、課徴金等
の刑罰以外の手段の導入といった方策も考えられる。

(考察)
ファッション感覚で喫煙や飲酒を行う未成年が多く、成長段階で脳への影響や、身体機能への悪影響がある。自分自身未成年の時に行った喫煙や飲酒によって体に悪影響を及ぼしていることは言うまでもない。
このブログを見ている読者の未成年の方は、もう一度考え直し将来への展望を考え直して欲しい。友達に薦められても、NO!と言って断って欲しい。もし身近にいるお友達が喫煙・飲酒を行なっている場合、癌になる確率が2倍から4倍になると教えて欲しい(疫学的)癌は痛みや苦しみを伴うだけではなく、周りにいる家族の私生活までも破壊する行為であることを頭において行動して欲しい。