儚き…二人の未来
食事のあと片付けをすませたジェニファーは…
手際よく部屋の中に脱ぎ捨てられた洋服を拾い上げ、ランドリールームへ…
もちろんその中には、Toshiの濡れた服もあった…
ジェニファーは…
ポケットの中を丁寧に探り、出てきたものは棚の上に置く…
それが主人(あるじ)の言い付けだったから・・・
手に取ったズボンのポケットから、クシャクシャの紙が出てきた…
何かのメモのようだが…
漢字だらけで何が書かれているかは分からなかった。
紙は棚の上に置いた…
彼女の朝食のお陰で…
Toshiの体力も…
Yoshiki疲れも…
回復した・・・・・
Yoshikiは窓際に立ち…
真っ白い風景を眺める
Toshiをみていた・・・
見つめていなければ…
また、自分の前から…
消えてしまうんじゃないか …………
いや!
もういなくはならない!
Toshiは…
あんなに強く自分を抱き締めてくれたし……
想いのすべてを…話してくれたし……
自問自答を繰り返し…
たまらなく不安になった…
窓の外の世界に…
Toshiを奪われるんじゃないかとさえ思った……
ヨシキ・・・
小さな声でToshiがつぶやいた…
Yoshikiは…
心の中を読まれたのかと…
動揺しながらも…
なぁに?
そこにYoshikiが居ることに気付いてなかったToshiも…
一瞬…ビクッっとなった。
なんだ…いたのか~!
Yoshikiは…
いたよ・・・
と笑いながら答えると…
思わず・・・
トシ…
仕事はどうしたの?
日本のスタッフは心配してないの?
いつまで
ここに居られるの?
なんて言って来たの!?
Toshiといられるなら、現実問題なんかどうでもよかったはずなのに……
聞いてはいけないことを…口にしてしまった。
ヨシキ・・こっちにおいで
Toshiは…
Yoshikiを呼ぶと
椅子に座らせた……
Yoshikiの前にひざまずき、膝に手を置いた…
優しく微笑みながら…
仕事もスタッフも捨ててきた・・
ここに来たことは、誰も知らない。
死ぬまで……
ずっとお前と一緒にいる!
死ぬまで?
日本のスタッフとファンを捨てて・・・
こっちで…二人で…
音楽活動するの?
Yoshikiには、Toshiが何を考えているのか分からなかった。
窓の外の雪を指差し…
Toshiは・・・
もうすぐ…
あの雪のように…
僕は儚く消えるんだ……
……………
シャワー浴びてくる・・・
立ち上がり
Yoshikiは・・バスルームへ向かった。
何も聞かなかったかのように…平常心で…
途中、ランドリールームの棚の上にに目をやり…
ジェニファーがポケットから出してくれたものをチェックする…
クシャクシャの紙を手にし…
思わず息をのんだ!
ガクッと床に膝をつくと…
広い家中に
響き渡る大声で…
悲しい叫び声をあげた・・
紙には・・・
悪性骨肉腫
末期
余命半年
そう書かれていた………