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did

hana blog

ガソリンメーターがそろそろEを指しそうだ。

やっと見つけたスタンドは営業しているのか怪しいくらい古びていた。
店員もやっぱりおじいさんだ。
ガソリンスタンドとは思えないくらいゆっくりした速度で近づいてくる。
わたしを見てちょっと変な顔をしたけど、気にしない。
こんなところで、こんな頭の小娘がひとりでいたんじゃ、そりゃ変な顔にもなるよね。

エンジンを切って、給油口を開ける。
「レギュラー満タン、現金で。」
それだけ言ってあとはおじいさんに任せた。
ゆっくりやってくれ。別に急いでないからさ。

おじいさんがガソリンを入れている間、窓から入ってくる風が変わっていることにきがついた。
さっきまでは、少しベタベタした港の匂いの風だったのに、
いまは、さらっとした冷たい風が吹き抜ける。
これから先は、山なんだ・・・。
左手でネックレスを擦る。
「レギュラー満タン入りましたぁ。」
おじいさんの声がして、自分がぼーっとしていたことに気づいた。
「ありがとうございます。」
そう言ってエンジンをかける。心なしか車に元気が出たような気がした。
ゆっくりアクセルを踏む。
来たときも誘導なんてしてくれなかったけれど、帰りの安全確認もセルフらしい。
まぁ、これだけのんびりしたところならそうそう事故なんて起きないんだろう。

左にハンドルをきって車道に出ようとしたとき
「お気をつけてぇ~」
おじいさんのか細い声が窓から入ってきた。
きっと毎日、毎日、言い続けて癖になっているんだろう。
それでも、わたしなんかにそう言ってくれたことがなんだか嬉しかった。

「ありがとう。」
おじいさんに聞こえる訳ないけれど、言ってみた。