今から思えば、そもそも風変わりな朝でした。
猫が死んでいました。
野良猫のほとんどいないこの街に。
車にひかれ、血を流して横たわっていました。
幸福の、しろいねこが。
なんてたやすく、なんてあっけなく、命はうしなわれてしまうんだろう。
そう想いながら出社したんだ、確かに。
命の終わりは、決められているものだとおもいますか。
抗うことは、できないものだとおもいますか。
死んでやると書きなぐった彼女は、二度と動かない彼を見て、何を想うのだろう。
もしもあの日、雨が降っていなかったら。
もしもあの時、車に乗らなかったら。
もしもすべてが、今ある現実とほんの少しでも違っていたなら。
もしもの話を、それが運命なんだとすっかり受け流すには、あまりにも残酷すぎる。
優しい君だから、愛されていたんだよ。
もう誰も、責めたりなんかしないから。
ただただ、安らかに。
ご冥福を、お祈りします。





