三月になると
当時のことを思い出します。
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当時、お父ちゃん
体調が悪かったのよね。
出世して
大きな役職について
徐々に悪くなっていって
嫌がるお父ちゃんを
無理矢理病院に行かせて
休みをとるように医者に言われて
ようやく
ようやく休みをとったお父ちゃん。
真面目で働き者で責任感が強くて
信頼も尊敬もされているからこそ
悪くなっちゃったんだと思う。
もっと怠け者で
辛いときに早めにお休みしていたら
あんなにひどくはなっていなかったと思う。
会社も、
休むことを快く承知してくれた。
見るからにおかしかったから
逆に休めという感じだった。
・・・・・
休みを取って3日後
震災が起こった。
・・・・・
うちの周辺も
少なからず被災した。
水が止まったり
道路が波打って
通行できない場所もあった。
続く余震もこわかった
でも
お父ちゃんの様子を見ている方が
もっと不安でこわかった。
あの震災の恐怖は
弱っているお父ちゃんに
かなりのダメージを与えていたと思う
あの時のお父ちゃんは
見ているのが辛いくらい
おかしかった。
・・・・
でも
今考えればだけど
あの時、
休みを取ってくれていてよかったと
本当に思う。
もし休みをとっていなかったら
体調が悪いまま
現地に派遣されていたかもしれない。
派遣されていなかったとしても
バックヤードの
あの恐ろしいばかりの喧騒に
あの時のお父ちゃんは
耐えられなかったと思う。
昔、
お父ちゃんと同じ会社にいた母ちゃんは
関西の震災の時の会社を思い出す。
あんな状態の中に
体調の悪いお父ちゃんが
いなくてよかった。
責任感が強いから
仕事に
自ら飛び込んでいってしまったに
違いないから。
もしそんなことになっていたら
・・・・・
・・・・・
ま、
長期で休みをとったおかげで
休みの後半は無給になってさ
母ちゃんが
家計を支えたりしたんだけどさ
そんなことはもう
どうでもいいよね。
あのいつもと違うお父ちゃんの姿を
見続けることより
辛いことはなかった。
いま、元気になって
本当によかったと思う。
降格していたお父ちゃん、
4月からまた役職が上がるそうだ。
出世することは嬉しいけど
あんまり無理をしないでほしい。
本人は無理しているつもりがないから
難しいのだけど
頑張ってお休みをとるようにしてほしい。
なんなら
会社をやめてもかまわない。
三月になると
当時のことを思い出す。
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