「空知らぬ虹の解放区2」感想 | self-complacency
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二次ロリを解放した拓馬、ついに逮捕!?
「えぇ、どうやら自分はロリコンらしいです」
拓馬は爽やかに言った。
恋愛厳禁の全寮制高校・聖ヶ原学園。その地下で流通していたのは『脳内解放区』と呼ばれるサークルが自作するエロ同人誌だった!
取り締まる側の風紀委員・軒原拓馬(のきはら・たくま)は、図らずもその同人のひとつ、『芹香の日記』にハマり込んでしまう。しかしその本の主人公・芹香(せりか)は10歳の少女! 読みたいと思う自分を認めたくない……でも……。
そんな拓馬に救いの手をさしのべたのは「脳解」のリーダー・山吹(やまぶき)。彼女によって、半ば強引に「脳解」に協力をすることになった拓馬は、同じ風紀委員の仲間である幼馴染み・小瀬村衣舞(こせむら・いぶ)から正体を隠すのに一苦労。
――そして事件は起きる。
拓馬が興味を示すのはあくまで二次。小等部四年の生徒・麗奈(れいな)に迫られてもまったく反応ナシだったが、それが麗奈の気持ちに火をつけてしまい……。
虹(二次)の風紀・軒原拓馬の運命や、いかに――!?
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- 山吹のせいで二次ロリに目覚めてしまった拓馬。拓馬は脳内解放区の一員として同人誌の制作活動を行っていたが、同時に後ろめたさも感じていた。
蘭がマリア座の怪人の事件以降不安を抱え続けている、という事実を知り、その不安を取り除くため拓馬は蘭との接触を図る。しかし、ステージにいた衣舞を蘭と間違えるという痛恨のミス。そして、衣舞にロリコンであるという事実がバレてしまい……?
一方、辰巳はオペラ座の怪人の事件をきっかけにして、絹針蘭から付き人をして欲しいと依頼される。しかし、蘭のことを嫌っている辰巳がそれを受け入れるはずもなく。悠の説得により渋々付き人役を引き受けた辰巳だったが、蘭を女子寮へと送る帰り道、与会のボスである織衛大地の急襲を受ける。
拓馬のロリコン、もとい変態っぷりは確かに増している。しかし、本来彼が持っている誠実さ、実直さは決して失われていないと思う。その部分を忘れてはいけない。
島流しにされてからの後半の展開が特に面白かった…! ヨット部というより刑務所といった方が正しいとすら思えるくらい厳しい離島での訓練。拓馬は、ほぼ同時期に島流しにされた与会の構成員たちと手を組むことで、島からの脱出を目指す。
超人クラスの化け物教官二人を様々な方法を駆使して騙し、船を奪う。中々に良い考えだったし構成員たちは逃げられる、と思いきや……そんな隙はなかったぜ! まあ普通に考えたらそうだよね、色んな事態を想定して準備してるはずだし。
山吹の底の知れない部分と仲間を想いやる優しい部分。相反する二つの要素を持っているところがまた不思議というかなんというか。一体どこまで先が見えているんだか、驚くばかりですよ。それら全てを含めて、改めて「こいつには叶わないな……」と思ってしまった。
物語の終盤、衣舞のことを思い、親切心で嘘をついてみせた辰巳もかっこよかったし、自分の本当の気持ちを伝えた拓馬もかっこよかった。綺麗にまとまったいいお話でした。秀章先生、お疲れ様でした…! 次回作も楽しみにしております。

