「ココロコネクト キズランダム」 感想 | self-complacency

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ライトノベルの感想を書いてました。

ココロコネクト キズランダム (ファミ通文庫)/エンターブレイン
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止まらない、止まれない、止められない――
なんでもありの文研部に起こった異常な現象、“人格入れ替わり”を乗り越え、太一たちはおだやかな日常を取り戻していた。そんなある日の放課後、稲葉と唯がいつもと違う様子を見せはじめる。さらに太一と伊織に湧きあがった、“体が勝手に動く”という奇妙な感覚。何かがおかしい――かすかな違和感を覚えた矢先、太一は青木と唯が警察に補導されたと聞かされて……!? 再び訪れた<ふうせんかずら>と新たな試練。それは心の奥に隠れた本当の自分をさらけだし、五人の絆を打ち砕く――! 愛と青春の五角形コメディ、痛みと涙の第二弾!!
 
今回文研部の五人を襲ったのは『欲望解放』現象。その名の通り欲望を解放され、そのとき一番強く思っていることを、自分の意思とは関係なしに行動してしまう、というものだった。
唯が絡まれている女子を助けようとして、男子高校生に暴力を振るい怪我をさせた。そして青木も、唯を助けようとする一心で警官に反抗し、二人とも警察に補導されてしまう。二人の事件をきっかけに欲望解放現象は加速していき、文研部の五人を苦しめていく――
こういう話を考えられるの、本当すごいなあ。心の描写とか上手すぎて尊敬しちゃう。
他人を傷つけてしまったショックで引きこもる唯。それが得策ではないと分かってはいても、やはりそんな状況じゃ外には出られないよな……
唯を除く四人で一度唯の家へ行き、説得を試みるも、欲望開放を起こした稲葉が唯へと強く当たってしまい、関係は悪化。状況は改善されず。
欲望解放により思っていることを、言うつもりのなかった本音を口に出してしまう。そこから生じる亀裂。文研部の面々は一人、また一人と部室に姿を見せなくなっていく。
ここら辺は寂しい感がすごい漂ってて、何とも言えない気持ちになりました、はい。
太一も青木と仲直りし、唯を半ば強引に説得…といっていいのか? 青木の唯が好きな気持ちがこんなところで役に立つとはな~(笑) ちょっとかっこよかったし。
藤島さんがほんといいキャラすぎる…! ときには助言を出し、ときには班決めの調整をし、稲葉や伊織達の関係を元に戻そうと心がけてくれていた。こんな学級委員長、現実には中々いないんだろうなぁ。
そして校外学習。登山や班でのカレー作りを終えた後、休憩時間。
太一のことを好きだと伊織に気付かれ、稲葉は逃げ出すが、追いつかれてしまう。問いつめられて本心を吐露する稲葉。
その全てを聞いた上で、それでも関係は壊れたりしない、稲葉姫子は好きな人も大事な場所も両方手に入れるような人間でしょ!?とハッキリ言い切る伊織がすごくかっこよく見えた。同じ相手を好きでも友情は壊れない。なんて素敵な関係なんだろう。稲葉んが立ち直ることが出来て良かった…!(涙)
稲葉の告白に対し、太一は伊織のことが好きだからと断る。それでも稲葉は諦めない。これから先、文研部の仲間が自分にはいてくれるから怖れることなんてない、と。それが他人を初めて心から信用出来た瞬間だったのかな、なんて思ったり。五人の絆は深まり、より固く結ばれる。これぞ青春だなあ。
白身魚さんのイラストの上手さ半端じゃない。これからもどんな絵が見れるか楽しみ!