- 前ページ
- 次ページ
中3の時の転校先は、不良さんが多いことで有名な中学校だった。
転校前の学校が、長い髪は黒ゴムでくくり、前髪はオン・ザ・眉毛…という校則の厳しいところだったので、肩に掛かる長髪を見るたび(たとえ深窓の令嬢風でも)「裏番かっ!?」と身構えてしまう始末。
しかし、そんなことで驚いていてはいけなかった。
まさか、本当にいるとは思わなかった。
リーーゼント ぉおぉおおおお!!?
うおおお、変形制服。短ラン、ドカン……。
ミニスカセーラ服は似合ってるから許すぞ。今にして思えば、セーラームーンの走りだよアンタ。(※制服は、男子が学ラン、女子がブレザー)
ほんと、熱血少年漫画の中にしか生きていないと思っていたが、天然記念物の宝庫か、ここは???
その上……
廊下バイクで走ってるよぉお……。
先生、追っかけてないで、授業しろよぉお……。
4階から、水入りバケツ投げるなぁああああ……。
っとに、毎日がワンダーランドだよぉ~~。
しかし、んなことに感動していたのは、1ヶ月くらい。気が付けば、当たり前~の日常に……。
だけど、ひとつだけ……。
ど~う~し~て~も~~気になることが……。
あまりの変形制服の多さに、ひとつ下の学年から制服が替わり、男子も学ランからブレザーへ。
そのズボンは、どういう趣向か奇妙な千鳥格子模様。
だというのに、彼らは健気にもそれを「ドカン」に変形……。だけどね……
それって、どー見ても、袴だよ! 気付けよっ!
嗚呼、殿中でござる軍団……
← ランキングに参加中~!
押してくれたら 嬉しいです~♪ o(^-^)o
妹は剣道をしているので、よく足の皮がめくれる。
そのめくれ方もハンパじゃない。
大きさは、ガムの包み紙を広げた程度。
厚さも3ミリはある。それを、
「記念にあげる!!」
と、私にプレゼントするんじゃねー!!
遠慮しまくると、
「可愛い妹の足の裏の皮が要らないっていうの……」
と、うるうる。
嫌がらせかそりゃぁ? 嫌がらせだなぁ?
仕方なく、棚の隅っこに放置しておいたら、乾燥して、酒のつまみのエイひれみたいになってしまった。
そしてある時、間違って、掃除機で スポッ!!
ひ~ど~い~~~!!
……って、怒られてる自分が哀しいよ。
← ランキングに参加中~!
押してくれたら 嬉しいです~♪ o(^-^)o
「何したんっ!?」
びっくりの私。妹は昔、父親に顔を殴られた折り、反対に父の指を骨折せしめたほどの強者である。少々のことで、負ける骨とは思えない。
「電車とぶつかった~」
って、おいおいおいおいおいーー!!
確かに、少々のことではない。
走ってる電車に触ってしまったらしいが、下手したら、死ぬっちゅーねん~~。
焦りまくる母と私の心配など知らぬ気に、妹は、今度は片足を太股まで擦り傷だらけにして帰ってきた。
「電車とホームの隙間にハマった~」
って、ぎゃーーーー!
頼むから、電車と闘うのはやめてくれ~~!
← ランキングに参加中~!
押してくれたら 嬉しいです~♪ o(^-^)o
私と弟の間では「ハート様(※北斗の拳)」のコードネームで親しまれている。
といっても、太っている訳ではない。
どちらかというと、引き締まった見事なボディ。
7つの傷のないケンシロウ!!
「ねーちゃん、見て見て~! ふんっ!!」と、腹筋をボコボコボコっと浮き上がらせて見せてくれるんだけど、コワイよ、お前。
弟は、そんな妹を恐れてか、決してちょっかいを出したりしない。兄の尊厳をキープするのも大変である。
弟曰わく、以前、妹の肩に何気に手を置いたら、「ブンっ…」と音がして、次の瞬間、自分は吹っ飛んでいたのだそうな。
嘘か本当かわからないが、有り得る……。
妹は寝起きの機嫌が最悪で、私も何度、吹っ飛ばされたことか……。
「人に蹴り入れといて、謝らんかーい!!」と喚く私など、あっさり無視。扱いは路傍の石以下。
恐らく奴は、触れたことにも気付いてないのだろう……。
目が覚めて来て、機嫌が直った妹に文句を言うと、
「ねーちゃぁーあん! 知らなかったー! ごめんねぇえー!」であっさり誤魔化されてしまう……。
やっぱり、恐るべき奴よ、妹よ……。
← ランキングに参加中~!
押してくれたら 嬉しいです~♪ o(^-^)o
私のような恋愛お先真っ暗女にさえ
「惚れました。あんさんにやったら、ドコまででも付いていきますぅ~」
と思わせた偉大な御方がいる……。
ただし、人間だったら……(涙)。
その御方の名は―― 「武蔵」!
犬である。
雑種、中型、ちなみにオス(幸か不幸か…)。
中学時分、うちの近所に半分ノラの犬が2匹いた。一匹が武蔵で、もう一匹がチビ。
数人の小学生が、この2匹と戯れてる所に、偶然、私が通りかかったのがケチの付きはじめ……。
居合わせたうちの弟が、チビを後ろからビシィっと叩き、私の後ろに隠れる…という悪戯をしはじめたので、「何しとんねんお前はぁああ!」と怒鳴り倒したところ……
チビ…… 何か睨んでない? 私のこと……?
以来、チビは私が呼んでも近づかない。つーか、唸るようになった。
犬のくせに、鈍すぎるわっ…… チビっ。せっかく助けたのにぃいい……。
てなわけで? ついに、チビの復讐Dayはやって来たわけである。
その日は部活で遅くなり、周囲はとっぷり暮れた夕闇。
その暗がりの中、突然、普段は寄りつかないはずのチビが、唸り声を上げて、こちらへ にじり寄って来たのである。
人影なーし! 助けは期待薄~!
やばーし! しかし、ひるんでは殺られる……。(←大げさ)
カバンを握りしめ、臨戦態勢の私。
その時…… 横合いからのっそり現れた影……
武蔵である!
武蔵~ お前もか~~…!
愕然とする私。
チビはその名の通り、痩せこけた小さな犬で、負ける気はしない。が、武蔵が加わるとなると分が悪すぎ~。ほんと強そうなんだな、これがー!
一方、チビは…… 尻尾なんぞ振って、見るからに勇気100倍の風情。そらそうだろ、彼氏が助けに来てくれたんだもんよぉ~。
カップル相手とは最悪じゃーん! 逃げるか私!?
でも、足はあっちのんが速いぞ!!
と、冷や汗だーらだらの その瞬間――
なんと、武蔵が吠えついた相手は、彼女のチビ!?
私を庇うように割って入ると、正面のチビに向かって激しく唸って、吼えたてる……!
い…… いいのか? 武蔵? 彼女だろ??
つーか、お前は私の無実を解っていてくれたのねぇええええ~~。 ……感涙。
チビは可哀相に「何でっ!?」ってな感じで、くーんと甘えた声を上げたが、やがて、うなり続けている武蔵を恨めしそうに振り返りながら、尻尾を巻いて(←まさに)逃げていった……。
なんじゃ? これは? 銀牙か? 銀牙の世界かっ?(※)
銀牙なら「危なかったな、姉さん…」と、ニヒルに決めそうだが、武蔵はただただ私を見上げて尻尾を振っている。
まじ、惚れるぞ…… 武蔵。
なんで犬なのさぁ~~……!
※ 『銀牙』→ 犬が主人公の漫画。「強敵」と書いて「とも」と言っちゃいそうな、漢(おとこ)気あふれる犬達が、ラオウのような無敵の熊さん・アカカブトを倒すお話(嗚呼あ、この頃のジャンプは良かったな~! あ、読むなら、アカカブト編までで~)。
← ランキングに参加中~!
押してくれたら 嬉しいです~♪ o(^-^)o