小牧山には、龍音寺 間々観音


なる寺があったんじゃが。








小牧山に着くなり兄者は、



寺の周りを調べたり、



山を登っては、下り。



また、反対から登っては、



道のないところへ踏み入ていったりしとった。




ワシは、山の周りをぐるりと廻るように言われ




戻ってきた途端


作物の育ちそうな土地か


とか、



住むにはどうじゃ


とか、聞かれたんじゃが。






兄者はここに住むのか?



もしや、武士が厭になって



また、百姓に戻ろうと考えてとるんか?










いやいや、



あの兄者に限って


そんな訳はなかろうが。








今日、兄者が


「はよう、まわししんかて。一緒に小牧山いくぞ」



と言い出したんじゃ。




何の事かわからんが、



とりあえず、出かける準備はしたが




小牧山なんぞ、何しに行くんか。



今日は、信長様の鷹狩があるわけでもなし。





今は、お城の普請の事のが


大事じゃなかろうか。








お城の移転で


ご城下の町人達も


えらい騒ぎようじゃ。






そりゃ、家財一式


商売道具もまんま持っていかないかん。





金もえらいかかるじゃろうて。


ワシらも大所帯とまでもいかんが、



引越しとなると大変じゃ。





どうなるものかのう。