世論調査で石破政権を支持すると答える層の中身を見れば、その多くは「反安倍層」、すなわち野党支持層であろう、彼らは選挙で自民党に決して投票しない。他に「岩盤自民支持層」もいるだろうが極僅かだろう。この層は自民党が長年政権与党であったからこそ惰性や利害で支持しているにすぎず、石破茂個人を積極的に支持しているわけではない。したがって、自民党が下野すればこの岩盤は脆くも瓦解し、自民党は崖を転がり落ちるように消滅しかねない。

 

こう分析すると、選挙では自民党は惨敗し、世論調査では政権支持率が上昇する理由が説明できる。

 

石破茂は党内抗争に勝つために安倍政権支持層を切り捨て、結果として世論調査における政権の支持基盤は「脆い岩盤支持層」と「自民党に票を入れない野党支持層」に限られている。この構造ゆえに、石破政権の存続中は世論調査で一定の支持率を保ちながらも、選挙では自民党が惨敗を繰り返すという乖離が続くだろう。

 

一方、野党第一党である立憲民主党も、自民党が弱体化した状況をむしろ都合が良いと考え、内閣不信任決議案すら出さず現状維持に安住している。結局、自民党も立憲民主党も国家国民の将来よりも党内抗争や自党の都合ばかりに囚われ、世界的な変革に対応できない「旧来の政党」と化している。その結果、両党とも選挙で敗北を重ね、日本政治は衰退の一途をたどる危険にある。石破政権の存続が本当に国家国民のためになるのかという根本的な視点に立ち、行動する政治家がいなければ、この流れを止めることはできないだろう。