ハンナズチョイス(大関名はハナンズチョイス)という早生品種のことも述べなくちゃならない。
この品種、果実がロウ細工みたいに固い!んだ。
スパルタンを摘んだ直後に、ハンナズチョイスを摘むと、果実表面の堅さに驚く。
中身はジューシーで美味い。
スパルタンに受粉させるため、ハンナズチョイスを接ぎ木で増やして列植してあるんだけど、欠点はある。
早生ではあるけど、スパルタンとモロに熟期が重なる!。
張り合って勝てるのか?となると、かなり不利で、ハンナズチョイスは果実がそんなに大きくない。
中の大、という粒サイズだ。
超大粒は無い。
粒サイズが大きくない、ということだけで、もうこれで存在意義がヤバい。
見劣りしちまうんだ。
これはスパルタン
果実表面が堅いというのは利点だ。
というのは、スパルタンの果実というのは指でつまむと柔らかい方で、収穫したあと容器を傾けてザラザラと転がすのは避けねばならない、なるべくな!。
別の容器にザラザラと入れ直すと、その転がりと衝撃で果肉が砕ける、というか、果肉がフニャっと軟化しちまう。
転がすのをやってる農園を見たことは何度もあるが。
つーか、普通は転がす。
オレは箸で一粒ずつつまんで移し替えているよ。
マジさ。
箸を使うのは、大粒だからできることだ。
小粒だったらできないよ。
スパルタンは果実が柔らかいので、ハンナズチョイスの表面の堅さの方が商品流通上、良いわな。
スパルタンが柔らかいと言ってもイチゴよりは表面は堅いと思うが、ともあれ、ハンナズチョイスの果実が締まって堅いことは、収穫に有利だ。
接ぎ木情報だが、ハンナズチョイスはパテント品種ではないので、接ぎ木しても問題ない。
しかし!、活着しやすさと、その後の成長でいうと、接ぎ木はしづらい特性だな。
スパルタンよりはややマシだが、接ぎ木成功率は悪い方で、あんまり容易じゃない。
樹形は、スパルタンと同じく直立性。
スパルタン以上に立ち過ぎる(立性)から、成る枝は上の高い位置、高い枝先へとなってしまい、根元の枝が『疎』になってしまいやすく、剪定がしづらい。
マミーベリーにはハンナズチョイスは罹病性だというネット上の情報もあるが、オレが栽培した経験でいえば、その病気に罹ることはなかった、ように思う。
また、味がフヌケになることもない。
フヌケって、サザンハイブッシュの果実によくある現象なんだが、糖度がなく酸味もなく、豆腐みたいな味というか、つまらない味というか、フガフガした味になることが新品種にはよくある。
これは試作しないとわからないから、すごく要警戒の情報だ。
ハイブッシュは、マミーベリーもかかる品種が多いからな!。
フガフガした甘酸なしの味も、これまたハイブッシュには生じる品種が多い!。
デュークがそうだ。
ニューハノーバーもその味になっていたのを一度食べたことがある・・。
試作しなくちゃわからんが、マミーベリー化とフガフガ味の両方ともそうならない品種はどのくらいある?、という確率を計算すると、仮にそれぞれ5割だとすると、半分の半分で、たったの25%しかないことになる。
雨で裂果しないとか、ショウジョウバエのウジ虫が湧かないとか、などの諸条件を付け加えたら、さらに狭き門になっちまう。
スパルタンとウェイマウスはこの狭い条件をクリアしているんだぜ!。
新品種導入の模索がいかに面倒くさいかわかるだろ。
魅力的な新品種について問題点を言うのは、欠点指摘なんかしても読んでツライいから、ネットで人気は取れんわな。
かといって良いことばかり言うのは、言う訳ねえだろオレは!。
実際の農園で過酷な欠点を見せ付けられるし、変な果実を販売すれば顧客からクレームを言われるのは農園主さ。
長い長い年月をかける果樹栽培、もはや、オレに残された人生は少ない(考え過ぎか?)。
限りあるから、やり直しがつらいから、良い結果でありたい。